中国軍は、8日から台湾周辺でパトロールと軍事演習を始め、制空権などを奪取する能力を重点的に検証したとしています。
台湾側は中国軍の戦闘機など、のべ71機が周辺の空域で活動しているのが確認されたとしていて、緊張の高まりが懸念されます。
中国軍は8日、台湾海峡と台湾の北部、南部、東部の海域や空域で、パトロールと軍事演習を10日までの3日間の日程で行うと発表しました。
台湾の蔡英文総統とアメリカのマッカーシー下院議長が会談したことへの対抗措置とみられます。
8日は陸海空軍とロケット軍が参加し、制空権や制海権などを奪取する能力を重点的に検証するとともに、台湾を取り囲むように威圧する態勢を作り上げたとしています。
国営の中国中央テレビは8日夜、演習の様子だとして、海上を航行する艦艇の映像などを伝えていますが、いつ、どこで撮影されたのかは説明していません。
一方、台湾国防部の発表によりますと、日本時間8日午前7時から午後5時までの間に、中国軍の戦闘機など、のべ71機が台湾周辺の空域で活動し、このうち、のべ45機が台湾海峡の「中間線」を越えたり台湾南西沖の防空識別圏に進入したりしたということです。
中国軍のシンクタンク「軍事科学院」の研究員はメディアに対し、西太平洋で初めて訓練を行っていた初の国産空母「山東」が演習に参加するという見方を示していて、緊張の高まりが懸念されます。
米国防総省 「状況を注意深く監視」
中国軍が台湾周辺でパトロールと軍事演習を始めたことについて、アメリカ国防総省の報道担当者は8日、「状況を注意深く監視している」とする声明を出しました。
そして、台湾の蔡英文総統が経由地としてアメリカに滞在したことについて「アメリカの長年にわたる政策と一致したものだ」としたうえで「今回の経由を中国は、事実をねじ曲げたり過剰な反応への口実として使ったりする理由はない」とけん制しました。
そして「アメリカ軍は引き続き国際法が許すかぎり安全かつ責任ある飛行や航行、活動を行っていく」としています。
そして、台湾の蔡英文総統が経由地としてアメリカに滞在したことについて「アメリカの長年にわたる政策と一致したものだ」としたうえで「今回の経由を中国は、事実をねじ曲げたり過剰な反応への口実として使ったりする理由はない」とけん制しました。
そして「アメリカ軍は引き続き国際法が許すかぎり安全かつ責任ある飛行や航行、活動を行っていく」としています。
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“台湾周辺で軍事演習” 中国のねらい 台湾の受け止め
中国軍は8日から3日間の日程で、台湾周辺でパトロールと軍事演習を始めたと発表しました。台湾の蔡英文総統とアメリカのマッカーシー下院議長の会談への対抗措置とみられ、8日は制海権や制空権などを奪取する能力を重点的に検証したとしています。
中国軍は8日から3日間の日程で、台湾周辺でパトロールと軍事演習を始めたと発表しました。台湾の蔡英文総統とアメリカのマッカーシー下院議長の会談への対抗措置とみられ、8日は制海権や制空権などを奪取する能力を重点的に検証したとしています。
中国軍 発表する情報少なく 抑制的に対応か
Q. 去年は大規模な軍事演習が行われたが、今回をどうみるか?
A.(中国総局・松田智樹記者)
中国軍が発表する情報が少なく、抑制的に対応しているようにも感じます。
去年は当時議長だったペロシ氏の台湾到着後、すぐに演習の具体的な区域や内容が発表されましたが、今回は対応が遅い印象です。
台湾で来年1月に行われる総統選挙に向けて台湾の世論に配慮するとともに、マッカーシー議長が台湾を訪問しなかったことに加えアメリカとの対立をこれ以上悪化させたくない思惑もありそうです。
ただ、中国ではこれまで外務省などが「対抗措置をとる」と繰り返し強調してきただけに、国民から弱腰とみられるような対応はとれません。
中国としては情勢を見極めながら台湾に圧力をかけ続けていく方針です。
Q. 去年は大規模な軍事演習が行われたが、今回をどうみるか?
A.(中国総局・松田智樹記者)
中国軍が発表する情報が少なく、抑制的に対応しているようにも感じます。
去年は当時議長だったペロシ氏の台湾到着後、すぐに演習の具体的な区域や内容が発表されましたが、今回は対応が遅い印象です。
台湾で来年1月に行われる総統選挙に向けて台湾の世論に配慮するとともに、マッカーシー議長が台湾を訪問しなかったことに加えアメリカとの対立をこれ以上悪化させたくない思惑もありそうです。
ただ、中国ではこれまで外務省などが「対抗措置をとる」と繰り返し強調してきただけに、国民から弱腰とみられるような対応はとれません。
中国としては情勢を見極めながら台湾に圧力をかけ続けていく方針です。
A.(中国総局・松田智樹記者)
中国軍が発表する情報が少なく、抑制的に対応しているようにも感じます。
去年は当時議長だったペロシ氏の台湾到着後、すぐに演習の具体的な区域や内容が発表されましたが、今回は対応が遅い印象です。
台湾で来年1月に行われる総統選挙に向けて台湾の世論に配慮するとともに、マッカーシー議長が台湾を訪問しなかったことに加えアメリカとの対立をこれ以上悪化させたくない思惑もありそうです。
ただ、中国ではこれまで外務省などが「対抗措置をとる」と繰り返し強調してきただけに、国民から弱腰とみられるような対応はとれません。
中国としては情勢を見極めながら台湾に圧力をかけ続けていく方針です。
台湾 世論の風向きどうなるか読み切れず
Q. 台湾の受け止めは?
A.(台北支局・逵健雄支局長)
ひとことで言うと、落ち着いています。
台北市内の公園や商業地区を何か所か見て回っても、人出や雰囲気はふだんの週末と変わらないように感じますし、テレビ各局もこのニュースを大きくは扱っていません。
与党の民進党は「軍事的にどう喝しても、台湾の人々がますます心を一つにして団結するだけだ」と、中国を強く非難しています。
一方、最大野党の国民党は「台湾海峡の両岸が最大の努力を尽くして平和と安定を追求すべきだ」とコメントしました。
中国に自制を求めることに加え、「蔡英文政権がアメリカと連携して中国と対抗しているのもよくない」と暗に批判した形です。
中国軍の行動には、総統選挙に向けた揺さぶりという面もありそうですが、世論の風向きがどうなるかは台湾の与野党、そして中国とも今の時点では読み切れないと思います。
Q. 台湾の受け止めは?
A.(台北支局・逵健雄支局長)
ひとことで言うと、落ち着いています。
台北市内の公園や商業地区を何か所か見て回っても、人出や雰囲気はふだんの週末と変わらないように感じますし、テレビ各局もこのニュースを大きくは扱っていません。
与党の民進党は「軍事的にどう喝しても、台湾の人々がますます心を一つにして団結するだけだ」と、中国を強く非難しています。
一方、最大野党の国民党は「台湾海峡の両岸が最大の努力を尽くして平和と安定を追求すべきだ」とコメントしました。
中国に自制を求めることに加え、「蔡英文政権がアメリカと連携して中国と対抗しているのもよくない」と暗に批判した形です。
中国軍の行動には、総統選挙に向けた揺さぶりという面もありそうですが、世論の風向きがどうなるかは台湾の与野党、そして中国とも今の時点では読み切れないと思います。
A.(台北支局・逵健雄支局長)
ひとことで言うと、落ち着いています。
台北市内の公園や商業地区を何か所か見て回っても、人出や雰囲気はふだんの週末と変わらないように感じますし、テレビ各局もこのニュースを大きくは扱っていません。
与党の民進党は「軍事的にどう喝しても、台湾の人々がますます心を一つにして団結するだけだ」と、中国を強く非難しています。
一方、最大野党の国民党は「台湾海峡の両岸が最大の努力を尽くして平和と安定を追求すべきだ」とコメントしました。
中国に自制を求めることに加え、「蔡英文政権がアメリカと連携して中国と対抗しているのもよくない」と暗に批判した形です。
中国軍の行動には、総統選挙に向けた揺さぶりという面もありそうですが、世論の風向きがどうなるかは台湾の与野党、そして中国とも今の時点では読み切れないと思います。