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2020年05月

重要 デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う〜 / 新型コロナ「中国は何を隠ぺいしているのか?」をめぐるテレビ番組から見えたこと
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NHKドキュメンタリーセレクション▽


「デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う〜」

政府や犯罪者が隠そうとする真実をあばけ!ウェブで公開されている画像やSNSの情報を徹底的に解析することで真相に迫る、デジタル時代の新たなジャーナリストに密着。

政府や犯罪者が隠そうとする真実をあばけ!ウェブで公開されている画像やSNSの情報、データベースを解析することで真相に迫る、デジタル時代の新たなジャーナリストたちに密着。先駆者はひとりのイギリス人ゲームオタクだった。いまや彼の仲間たちはBBCやニューヨーク・タイムズなど世界の主要メディアの精鋭として大活躍。中国のコロナ危機の実態から、謎の航空機墜落事件まで、巨大な国家権力との息詰まる攻防を描く。

デジタルハンター~謎のネット調査集団を追う



【科学ジャーナリスト賞受賞】衛星画像・SNSなどを徹底解析して、“国家の秘密”を暴こうとする世界のジャーナリストたち。権力と息詰まる攻防から報道の未来が見える!



政府や犯罪者が隠そうとする真実を暴け!ネットで公開されている画像、SNSの情報やデータベースを解析することで真相に迫る、デジタル時代の新たなジャーナリストたちに密着。先駆者はひとりのイギリス人ゲームオタクだった。いまや彼の仲間たちはBBCやニューヨーク・タイムズなど世界の主要メディアの精鋭として大活躍。中国のコロナ危機の実態から、謎の航空機墜落事件まで、巨大な国家権力との息詰まる攻防を描く。

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「世界一面白いゲームだ」ネット情報から事件の真相に迫る“デジタルハンター”の素顔とは

 中国の習近平主席、ロシアのプーチン大統領ら超大国の首脳、あるいはシリアのアサド大統領のような独裁者が明るみに出そうとしない「不都合な真実」を調査報道の力で暴き出しているジャーナリストたちがいる。



世界中の報道機関が注目する方法

NHK「デジタルハンター~謎のネット調査集団を追う~」より

 彼らの武器はラップトップのパソコンだけ。集団的な虐殺事件や民間航空機の墜落などの真相に迫ろうとインターネット上に存在する画像や映像を検証し、時には国家や組織の関与を暴いてみせる。こうした調査方法は「オープン・ソース・インベスティゲーション」(公開情報調査)と呼ばれ、いま世界中の報道機関が注目する方法だ。

 昨年5月、NHKが「BS1スペシャル」で日本の報道機関として初めてその最前線を本格的に取材して番組にした。「デジタルハンター~謎のネット調査集団を追う~」。ネットを駆使した調査報道のやり方は革命と言えるもので衝撃を受けた。

 ネット上の映像や画像を分析しながら「真相」に迫る。「デジタルハンター」という形容そのままに貪欲に獲物を探していく。だがハンターたちは20代前半の男性を筆頭にみな若く、一見どこにでもいそうな若者たちだ。

虐殺はいつ、どこで、誰が?
 番組では、イギリスのBBCが行った「公開情報調査」を例に出す。

 2018年7月にSNSで拡散された動画。見知らぬ国で自動小銃を手にした兵士らしい男らに荒地を歩かされている黒い肌の女性と子どもたち。次の場面で兵士らは無抵抗の女性らを次々に銃殺する。集団虐殺の場面はアフリカと思われるがどこか分からない正体不明の動画だ。

 まず動画に写り込んだ現場の地形を、地図ソフトに映し出された3次元の地形と照合する。背景の山の稜線に注目して一致する地形を探り当てる。道路、建物、木々などが衛星から撮影された地図ソフトの画像と一致する場所を探し出す。行き着いたのはカメルーンのある村。隣国ナイジェリアとの国境まで数百メートルの地点だった。

 そして動画に写り込んだ景色を過去の衛星画像と照合し、「季節」を絞り込むために動画に写る兵士の影に着目。太陽の位置と影の長さを割り出して方向を精密に計算した。その結果、撮影されたのは「2015年3月20日から4月5日までの間」と特定された。

さらに兵士たちの軍服の細かい特徴に注目。カメルーンの兵士がフェイスブックに上げているデータと照合した。銃はセルビア製と突き止めた。この地域では珍しい銃でカメルーン軍の一部の部隊で使用されているものだった。以上から実行犯はカメルーンの軍人たちと断定された。調査開始から3か月後、BBCは判明した詳細な事実を報道してカメルーン政府に見解を問いただした。

 その結果、カメルーン政府は7人の兵士たちを逮捕してその氏名と階級を明らかにした。

 この調査報道の中心になったのはオーストラリア人の若い男性ベンジャミン・ストリックだ。同僚によるとオタク気質だという。

 BBCの幹部は「今、ジャーナリズムの世界ではオープン・ソースの調査は必須の技術」だと語る。ネット上にあふれる映像や画像を分析して「いつどこで誰が何をしていたのか」を特定する技術。ネットにつながった部屋の中で国際的な犯罪や国家権力による不正やウソを追いつめていく。そんな革命的な調査報道の「最前線」が次々に紹介される。

現地を取材できない新疆ウイグル自治区の実態を探る
 シンクタンクのオーストラリア戦略政策研究所は中国の新疆ウイグル自治区での政府による大規模な弾圧を調査している。外国メディアによる現地調査はほとんどできないため、同研究所は中国政府が「職業訓練や反テロのための教育施設」だと説明する建物に注目して衛星画像を分析した。6重のフェンスなど異様なほど警戒が厳重だ。地方政府が発注したこの建物について公共工事の入札情報をネット上に見つけ、施設は「隔離のため」で「監視システムを作る」と明記されていたことも判明した。新疆ウイグル自治区で200以上のこうした施設が砂漠の中に次々と建設されていることが判明した。

 この分析を行ったネイサン・ルーサーは20代前半。大学生だった頃にネット上のトレーニングアプリの使用記録からアメリカ政府が中東の砂漠に置いた秘密基地の存在を暴いて一躍注目を集めた若者だ。

「世界中の仲間たちと協力し合ってゲームを攻略する」という発想
 ストリックやルーサーにこうした調査報道の手法を教えたのがイギリス人のエリオット・ヒギンズだ。オランダにオフィスを置く調査集団べリングキャットの創設者だ。ネットを通じて世界中に協力メンバーを募り、ストリックやルーサーも仲間だった。ヒギンズ自身はジャーナリストの経験は以前なく「ゲームの達人」として知られる存在だった。オンラインゲームで身につけた「世界中の仲間たちと協力し合ってゲームを攻略する」という発想で世界中の協力メンバーとともに秘密を暴いていく。

 彼に言わせれば、超大国の陰謀を暴く調査報道も「世界で一番面白いコンピュータ・ゲームを見つけた」とゲームの延長線の感覚だ。

 最初にベリングキャットが手がけたのは、2014年7月にウクライナ上空で起きたマレーシア航空機の撃墜事件の真相究明だった。何者かが地上から発射したミサイルで298人の命が奪われた。墜落現場はロシアが支援してウクライナからの分離独立を求める武装グループが実効支配する地域だった。

 ヒギンズは軍事に詳しい人やロシア語に堪能な人に呼びかけてSNS上の画像や動画を探り、墜落の数時間前に「ミサイル搭載車両」が移動していたルートを詳細に解明した。前月にロシア国内にいたこの車両が事件のあった当日にはウクライナ国内の墜落現場付近を移動していた。そして事件翌日には再びロシアとの国境の方へと姿を消す。その時の動画ではミサイルが1発なくなっていることも確認された。

 ミサイルの発射命令を出した人物を特定するべく、公表されていた電話傍受の記録やロシア軍の幹部学校のサイトや軍人たちが情報交換をするサイトなどを調べていった。

 ベリングキャットは事件から5年経った2019年、指示を出した容疑者たちを特定して報道した。ロシア政府の情報機関の幹部や元幹部らが含まれていた。撃墜事件を捜査する国際合同捜査チームも元幹部らのうち4人を殺人の疑いで起訴した。

 これに対して、ロシアのプーチン大統領は疑惑を否定。ロシア政府はベリングキャットを名指しして、報道は「フェイクニュース」だと反論した。

ベリングキャットとニューヨーク・タイムズの協力など増える「連携の報道」
 アメリカを代表する新聞社「ニューヨーク・タイムズ」は調査報道でピューリッツァー賞に幾度となく選ばれ、国際的にも定評があるメディアだが、「オープン・ソース・インベスティゲーション」のテクニックを使ってさらに充実したスクープを放ち、この分野の最高峰と言われている。世界中から集めたビジュアル・インベスティゲーション・チームという専門チームで調査や分析を進めている。その中にはべリングキャットから加わったクリスティアン・トリベートもいる。

 2020年1月、176人が乗ったウクライナ航空の旅客機がイランで離陸直後に墜落して全員が死亡した。イラン当局は「事故」だと発表した。ところが、近所の住民がSNSに投稿した映像から、トリベートはヒギンズと連携して動画を解析し、旅客機の離陸直後にミサイルが当たって撃墜されたことを突き止めた。

 ニューヨーク・タイムズの別の記者がアメリカの情報機関からイランの防空システムから2発のロシア製の地対空ミサイルが発射されていたという裏付けも取って、ニューヨーク・タイムズとべリングキャットは同時にこの事件は事故ではなく「撃墜」だと結論づけて事件の翌日に報道した。その2日後、イランのロウハニ大統領はイラン側が誤ってミサイルを発射し撃ち落としてしまったと認めた。

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41歳のゲーマー、部屋から一歩も出ずに権力者の不都合な真実を暴く

謎のネット調査集団を追え

謎のネット調査集団

いま、世界を席巻している「ベリングキャット」と呼ばれる謎の調査集団について聞いたことがあるだろうか? あるいは、彼らが採用している革命的な技法「オープンソース・インベスティゲーション」については?

ラップトップ一台を武器に、世界中、いつどこからでも調査報道を行い、プーチン大統領や中国政府など、国際政治を動かす強大な権力と対峙して、世界の耳目を集める事件の真相を暴いていく。

ロシアの関与が疑われる、ウクライナ上空でのマレーシア航空機撃墜事件の真相や、アフリカでのカメルーン軍兵士らによる母子銃殺、あるいは新型コロナウイルスの震源となった武漢での惨状の実態など、いずれも政府当局が隠蔽しようとした「不都合な真実」の真相を次々と暴いていく。



NHKBS1で5月31日(日)午後11時から再放送するBS1スペシャル「デジタルハンター~謎のネット調査集団を追う~」では、アメリカ・イギリス・オランダ・オーストラリアに取材し、いまや世界のジャーナリズムの主流となりつつある「調査報道革命」の実態を密着取材したドキュメンタリーとしてお送りする。

こう書くと、何かアサンジ氏のウィキリークスのようなイメージを持たれるかもしれないが、それとは全く違う。はるかに能動的で、自らインターネット情報の海に分け入り、必要な情報を見つけ出し、分析して答えを出す。

そのようなことが可能になったのは、現在では、重大事件が起きれば、必ず周囲にいる人がスマホで画像・映像を撮影し、それらの大量のデジタル情報がSNSなどにアップされるからだ。

マレーシア航空機撃墜事件であれば、撃墜したミサイルを搭載した車両が、ロシア領内からウクライナ東部の撃墜現場に移動し、発射後はロシア国境に向かったという移動ルートを、その各地で地元の人が撮影しアップした映像を見つけて時系列的に解析することで暴けるのだ。

2014年7月ウクライナでのマレーシア航空機撃墜事件2014年7月ウクライナでのマレーシア航空機撃墜事件〔PHOTO〕NHK
しかし、これは簡単なことではない。画像や映像をアップする市民は、分析する側の都合など考えずにそれぞれが「勝手に」好きなSNSにアップしていくのであり、関係ない無限の他のデジタル情報の中に埋もれている。それらを効率よく見つけ出し、互いに照合することが重要だ。

さらに、画像や動画には「いつどこで誰が撮った」といった正確なキャプション情報をつけてくれているわけでもないから、それらを確定する分析技術が必要になる。そのために、画面の端にたまたま映っている樹木の影の長さと角度から撮影日時を割り出す、あるいは店の看板に注目する、そのほかあらゆる驚くような手法で事実を解明していくのだ。

驚くことにこうした作業は部屋から一歩も出ずに、粘り強くPC画面と向き合い、ネットからリアルの世界の真実に踏み込んでいくことで可能となる。

いま、急速に広がりつつあるこの調査報道革命は、世界を代表するメディアBBCやニューヨークタイムズでもチームが立ち上げられ、次々と成果を上げている。


中年ゲーマー、権力者と戦う

だが、この「オープンソース・インベスティゲーション」を世界に広めたのは、一人の冴えない(すみません、でも見かけはどうみてもパッとしないおじさんです)中年のゲームオタクだった。

その名をエリオット・ヒギンズという41歳のイギリス人で、前半生はサラリーマンとして様々な職を転々としていた。同時に、趣味のオンラインゲームの達人として、その世界では名が知られることもあったという。

それがあるとき、ゲームだけに自らのデジタル能力を使うのではなく、世界の難事件の解決に立ち向かおうと考え、プロのジャーナリストの経験は全くなかったものの、国際メディアを賑わす謎の事件を探るようになった。


それぞれの特殊技能を持つ世界各地の仲間(たとえばロシア語に詳しい人、兵器オタク、そのほか)にオンラインで声をかけ、ネットワークで調査を行うスタイルを確立した。

そしてこの調査集団を「ベリングキャット」と名付け、前述の2014年7月にウクライナ上空で起きたマレーシア航空機撃墜事件(乗客乗員298人全員死亡)の調査結果を発表、その背後にいたGRU(ロシア軍参謀本部情報総局)の幹部など具体的な責任者たちの名も明らかにした。

ベリングキャット創設者エリオット・ヒギンズとプーチン大統領ベリングキャット創設者エリオット・ヒギンズとプーチン大統領〔PHOTO〕NHK
ちなみに、「ベリングキャット」の由来は、「ネコの首に誰が鈴をつけるか」というネズミたちの悩みを描いたイソップ童話にちなんだもので、「権力者が暴虐を働けば、それを世界に知らせるぞ」という意気込みが込められている。

このマレーシア航空機撃墜事件で「ベリングキャット」の名は世界に知れ渡り、ヒギンズ氏もその創設者として名を馳せることになったが、重要なのは単にベリングキャットが自らのウェブサイトやSNSで調査結果を発表したのみならず、彼らが名指しした「容疑者」たちが、現在この事件を捜査中の公的な国際捜査機関「JIT(被害者が多かったオランダ・マレーシア当局などが共同して立ち上げた捜査機関)」によってオランダの法廷に起訴されたということだ。

ベリングキャットの調査が、検察当局という権威ある公的機関によってお墨付きを得た。そして、ベリングキャットもこのことを歓迎している。

「自分たちはデジタルで新手法を開発し、これまでの既成の権威やオールドメディアに対抗するのだ」といった独りよがりな姿勢はなく、旧来の勢力とうまく共同戦線を張っているところが発展の秘訣になっている。

創設者のヒギンズ氏は、オールドメディアの代表格であるBBCやニューヨークタイムズ(NYT)に自分たちの「弟子」にあたるベリングキャットの第二世代を送り込み、彼らがそれらの組織であげた成果がBBCやNYTの圧倒的な国際発信力で世界に伝わり、「オープンソース・インベスティゲーション」の威力が知られ、ひいては「ベリングキャット」のプレステージを高める好循環を生み出しているのだ。

このあたりは、ヒギンズ氏が元から持っていたプロデューサー的な能力の賜物だろう。


新手法と旧来の取材の融合

さらには、今年(2020)初めにイランのテヘランで起きたウクライナ航空機の撃墜事件(乗客乗員176人死亡)を、ヒギンズ氏に見出されてNYTに移籍したオランダ人の若き調査員クリスティアン・トリベート氏が、「イラン側のミサイルによる撃墜」と解明したケースも興味深い。

NYTの「デジタルハンター」クリスティアン・トリベート氏NYTの「デジタルハンター」クリスティアン・トリベート氏〔PHOTO〕NHK
オープンソース・インベスティゲーションだけでなく、NYTの記者によるアメリカ情報機関への取材という、旧来の報道機関が得意とする地道な「足で稼ぐ」情報と突き合わせることで真実を見出した。

ネット調査の新手法と旧来の報道取材の手法は、考えてみれば当たり前のことだが、決して互いに競い合うものではなく、それらを融合させることで大きな力になりうるのだ。

やはりベリングキャット出身の若い調査員ベンジャミン・ストリック氏(オーストラリア人)を採用して大きな成果を上げたBBCのチームの上司は、ネット調査に没頭するストリック氏を「オタク(nerd)」と表現し、「そのテクニックを説明されても私にはわからないことが多い」と、そのオールドメディア的な態度をあらわにしながらも「彼のような人材は私たちにとって今や必須です」と認めている。

今後は、というよりすでにそうなっているが、世界の報道機関で、こうした「オールド」と「ニュー」の融合が進み、世界各地の隠された真実を「オープンソース・インベスティゲーション」と「足の取材」で暴いていくことが当然のやり方になっていくだろう。



中国の実情を暴く

このように、この番組で紹介するオープンソース・インベスティゲーションの対象は多岐にわたるが、いま大きな存在となってきているのが中国の実情だ。

一つは、新彊ウイグル自治区のウイグル族の人々に何が起きているのか、という問題であり、もう一つは新型コロナウイルスを巡る中国の市民と当局との「情報戦」の実態だ。

前者の調査の主役となっているのは、オーストラリアを代表するシンクタンクであるオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)で、衛星画像分析の天才的エキスパートが、当局の規制で地上からの取材がほぼ不可能な「教育施設」が実は「収容所」ではないかという疑惑を徹底調査している。

教育施設か?収容所か?衛星写真で調査する〔PHOTO〕NHK
さらにチームには中国語に堪能な研究員がおり、中国国内でのこうした「教育施設」のための建設業者への入札情報(もちろんすべて中国語で書かれている)をネットで探り出し、そこに「監視システム」といったキーワードがあることも暴いている。 

このチームの中には生粋の中国人の若者もおり、中国ではエリートとして大学で英語を学びオーストラリアに留学した後で、天安門事件などそれまで知らなかった「負の現代史」に触れ、母国の真実を知りたい、とこの研究所に参加している。

もちろん、この中国人の若者には中国当局からやSNSでの非難が殺到しているが、それでもオーストラリアからの調査を続ける覚悟を固めている。オーストラリアは経済的には中国に大きく依存しているが、国際政治の中では対立する面もある。そうした国際政治の一断面が、ここにも表れている。


中国当局の検閲に抗う動き

もう一つの「オープンソース・インベスティゲーション」と中国との接点は、新型コロナウイルスだ。

当初、武漢が感染の中心地となった時、現地の惨状を伝える叫びのような動画が市民によって中国国内のSNSにアップされ、それが世界にも拡散した。しかしある時から、これらの動画が次々と削除される現象が発生する。中国当局が検閲を行ったことは明らかだ。

ところが今度はyou tubeなど中国当局の手が及ばない海外のサイトやSNSなどに、削除された映像が何者かによってアップされていった。つまり、当局の削除を防いで現地の実情を伝える貴重な映像を保存しよういう動きが始まっていたのだ。

一連の動きをNYTのチームが逐一観察し、削除されたデジタル情報を保存した中国国内の若者をネットで探り当ててインタビューを行い、大きな注目を集めた。これもまた、オープンソース・インベスティゲーションの応用例である。

番組では、こうした世界各地の現在進行形の「報道革命」の現場に取材し、多角的に描いていく。スタッフたちによるロケ取材は、今年2月を中心に行われ、欧米などを新型コロナウイルスが本格的に襲うまさに直前のことで、その後の編集・制作プロセスを経て、この番組を今お届けできることはとても幸運なことだと感じている。

同時に、番組に登場したオープンソース・インベスティゲーションの担い手たちの多くは、ロックダウンで自宅にいながらも、PCとネットで今も調査を続けている。コロナ時代にまさにフィットした調査報道の手法であることがはからずも証明されている。

日本の状況は?

今回の取材対象は海外だったが、ひるがえって日本の状況はどうだろうか?

それは視聴者のみなさまに判断をお任せしたいが、自戒を込めて私自身が感じたのは、こうしたネットを通じた積極的な調査報道という分野は、日本ではかなり遅れているのではないか、ということである。

インターネットと報道、という話になると、日本で先行しているのは新しいネットの報道プラットフォームの興隆という印象を持っているが、それは調査報道などコンテンツの充実ではなく、いかに他人のふんどしで相撲を取るかという話をしているように感じられる。

あるいは、「ファクトチェック」といったことが実践されることもあり、それはもちろん素晴らしいが、このオープンソース・インベスティゲーションのように、もっと積極的に、権力が隠蔽する真実を暴く、という「スクープ」にこだわる調査報道の王道に新しい手法を取り入れていくことはできないのだろうか?

世界がどんどん進んでいく現状を目の当たりにして、そのように感じざるを得ない。

この番組を通して、そうした問題提起につながればと願っている。

なお、この番組の英語版が「Digital Detectives」としてNHKワールドジャパンですでに世界に発信され、現在では下記のサイトでいつでも無料で視聴可能になっています。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/video/3016070/

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現場主義を壊す「デジタルハンター」の世界

NHK・BS1で「デジタルハンター」という番組を見た。これ、すごい。

ウェブで公開されている情報、とくに画像・動画なとを元に真相に迫る新たなジャーナリズムの手法だ。これをオープンソース・インベスティゲーション(公開情報調査)と呼ぶ。違法ではなく、公開されている情報から、政府や犯罪者が隠している情報を割り出していくのだ。



なにしろ、アフリカのどこともわからぬ殺戮現場の動画、それも数分のものから、映り込んでいる背景の地形、建物や木の大きさ……などを元に衛星画像と突き合わせて場所を割り出す。そして人の影から年月まで読み取る。

ウクライナで撃墜されたマレーシア航空機を誰が撃ったのかも、各地のSNSを精査して、ミサイルを積んだトラックを発見し、その走ったルートと行きと帰りは積んでいるミサイルが減っていることまで見つける。明らかにロシア軍の犯行だと証明したのだ。

ウクライナに発射したミサイルを積んでいたロシア軍トラック。

ほかにも中国のウイグル族の強制収容所を見つけ出してそこで何が行われているか探り出したり、武漢における新型コロナ肺炎の蔓延具合をいち早く見つけ出したり、おそるべき調査能力だ。それを、すべて小さなパソコンだけで行ってしまうデジタル世界の新たなジャーナリストが生まれていることを知って戦慄した。彼らの多くは本来はゲーマーだったりするのだが、今や世界のメディアが競ってリクルートしているそうだ。BBCもワシントンポストも、みんな彼らを雇っている。



しかし、この時代、どんな閉鎖した国でも、ネットに上げられている情報があるものだ。先のミサイルも、市民が何気なくネットに上げた映像を拾いだしたのだから。

ただ私が思ったのは、これはデジタルの話ではない、ということだ。ようは情報を読み取る能力が必要なのだ。
対極にあるジャーナリズムの「現場主義」というのを、私はあまり信じていない。もちろん現場に行くのもよいが、そこで見聞きしたことをいかに分析する能力があるかが問われている。見たことが真実と思い込むのは浅はかだ。それなら幽霊を見た、UFOを見た、だから霊界は存在する、宇宙人がいる、と主張するようなものである。目にした現象がなぜ起きたのか分析しなけりゃジャーナリズムにならない。また被取材者の言い分を丸飲みするのも危険だろう。それこそ広報・宣伝に利用される。
現場百編、というのはもう古いのかもしれない。現場に足を運ぶのは一度で良いから、いかに情報を読み解くかが問われる。

私はとてもデジタル世界を精査する能力はないが、負けずにコツコツとアナログも含めた公開情報を分析して隠された事実を掘り出したい。(ちょっと武者震い)

ちなみに、この番組、明日の深夜にも再放送するみたい。BS1午後11時。


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新型コロナ「中国は何を隠ぺいしているのか?」をめぐるテレビ番組から見えたこと


トランプ大統領の新型コロナでの中国批判。いつもの自国ファースト?

 米国のトランプ大統領が新型コロナをめぐって中国や「中国寄り」だとしてWHOへの批判を強めている。
 トランプ米大統領は18日、オンライン会議形式で年次総会を開催している世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長に宛てた書簡をツイッターで公開した。新型コロナウイルスの感染拡大の対応で「WHOは驚くほど中国からの独立性を欠いている」と、中国寄りの姿勢を批判。30日以内に実質的な改善が見られなければ、停止中のWHOへの資金拠出を恒久的にやめ、脱退も検討するとした。トランプ氏は「現在のWHOの状況は米国の利益にならないのは明らかだ」としている。
 トランプ米政権は4月、WHOの姿勢が「極めて中国寄りだ」と批判し、WHOの対応を検証する間、資金拠出を停止すると発表していた。情報開示に消極的な中国の言い分をWHOがうのみにしているとの主張で、中国に圧力をかけつつWHO改革に向けて強い影響力を発揮するのが狙い。

出典:毎日新聞(5月19日)「米、WHO脱退も視野 中国寄りを批判 トランプ氏、テドロス氏への書簡で」
 トランプ大統領の書簡ではWHOおよび中国への批判はかなり具体的なものだ。
 4ページにわたる書簡では、新型コロナウイルスが中国の武漢で広がり始めたとする、去年12月ごろからのWHOの対応を時系列で記し、感染に関する信頼に足る情報を無視し、ヒトからヒトへの感染を示す情報を世界に共有しなかったうえ、ウイルスに関して不正確もしくは誤解を招く説明を繰り返したと主張しました。

さらに、テドロス事務局長に対し、中国の国内での移動制限措置を称賛する一方、アメリカの中国からの入国禁止措置には反対するなど政治的な対応をとったと主張し、「あなたとあなたの組織のたび重なる失策が世界に極めて甚大な犠牲をもたらした」と非難しました。

出典:NHK NEWS WEB (5月19日)「トランプ大統領 WHOに改善なければ加盟考え直す 新型コロナ」
 このニュースをどう見ればいいのか。
 解説が欲しいが、ほとんどのニュース番組や新聞記事は背景や解説を加えないままニュースだけを報道した。
 いつもの「自国ファースト」ばかり訴えているトランプ大統領がまたもや国際社会で物議を醸したという印象だけが残ってしまう。
 現在の新聞記事や「ニュース番組」の多くが、情報を受ける側のニーズに応えられずに不十分な点があるのではないかと筆者は考えている。
 このニュースについて注目して見たところ、テレビ番組で解説していたのは「ニュース番組」ではなく「ワイドショー」だった。

テレビの「ワイドショー」だけが“背景”を解説した

 テレビ朝日『大下容子ワイド!スクランブル』は5月20日(水)の番組冒頭でこのニュースを取りあげた。

「トランプ側の事情」を重視したテレ朝『ワイド!スクランブル』

 VTRでトランプ大統領の言葉などを伝えた後で、コメンテーターの柳澤秀夫氏が解説した。
(ジャーナリスト柳澤秀夫氏)
「国内で新型コロナウイルスに対する対応がまずかったと批判を浴びてますよね。その批判をかわしたいというのがトランプ大統領の思惑だと思う。面白いのは直接、中国を批判するのではなく、WHOという機関を批判しているところです。30日以内にどうするかというのを具体的にはしていませんから、この後いろいろ含みをもたせた対応をとってくるのだと思います」

 国際記者が長かった人らしい立場から「トランプ氏の思惑」に重点を置いて解説した。
 
 「中国側の責任」を重視して、かなり長時間報道したのがTBS『ひるおび!』だった。
「中国側の責任」を重視したTBS『ひるおび!』

 TBS『ひるおび!』も5月20日(水)、トランプ米大統領がWHOのテドロス事務局長に宛てた書簡をツイッターで公開したことについて、総計でおよそ50分の時間を使って背景を掘り下げて伝えた。
(恵俊彰キャスター)
「八代さん、このコロナの話題になった当初から、考えてみれば、中国がいろいろなものを隠ぺいしていたんじゃないかという話にはなっていましたよね?」
(八代英輝弁護士)
「なっていましたね。当初のウイルスというものを公開しなかった、とか、他の国に提供しなかったとか、それから、いわゆる第1の感染者ですよね。『ペイシェント・ゼロ』と呼ばれる人を明らかにしなかったり、もっともっと前から、実は2019年の年末から、ヒト-ヒト感染という状況をつかんでいながら、他の国への情報提供を断ったと。WHOのルールに違反しているんじゃないかということはかつてから言われてました」

 『ひるおび!』はトランプ大統領の今回の書簡での指摘にはもっともな点があるとして、読売新聞の記事を元にこの書簡の要旨をパネルで展開した。
(5月20日の読売新聞の記事をまとめた『ひるおび!』のパネル)
WHOは、中国の武漢で昨年12月初旬かそれより前にウイルスが広がっているという信頼できる情報を無視し続けた。WHOの北京事務所は12月30日までには武漢で深刻な公衆衛生上の懸念があることを知っていた。ウイルスが新しい病気を引き起こし約180人を苦しめていると報告した。
次の日まで台湾当局はWHOに対し、ウイルスが人から人に感染することを示した情報を伝えたが、WHOはこの非常に重要な情報を世界に提供しなかった。おそらく政治的な理由があった。

(5月20日の読売新聞の記事をまとめた『ひるおび!』のパネル)
1月14日にはWHOは「中国の調査では武漢での人から人への感染の明確な根拠は得られなかった」としてウイルスは人から人へは感染しないとする中国の主張をむやみに繰り返した。

 さらに『ひるおび!』では自分たちがどのように報道していたかについてもパネルにしている。
 するとトランプ大統領の書簡に書いてあるように、武漢市での新型コロナウイルスの感染の広がりは去年12月初旬かそれよりも前だったと振り返っている。
 去年12月8日、武漢で最初に新型コロナ肺炎患者が発生。
 12月31日、武漢市当局 初めて感染者27人の存在を認める
 大半が市内の海鮮市場関係者で「ヒトからヒトに感染する明確な証拠はない」と説明
 中国当局 新型肺炎の事例をWHO中国事務所へ通知

 トランプ書簡にあるように台湾もWHOに警告していた事実を番組で伝えていたと振り返る。
(台湾政府で新型コロナウイルス対策本部のトップの陳時中・衛生福利部長によると)
WHOに対し、12月31日に武漢で原因不明の肺炎にかかった人がいることについてWHO側に電子メールで通報。「複数の患者が隔離治療されている」としてヒトからヒトへの感染の可能性を示唆し警告したものの無視されたという。

 こうなってくると、中国やWHOが新型コロナウイルスに関連して、何かを隠ぺいしていたのかという問題になってくる。

 こうした点での調査報道ではNHKが5月17日(日)に放送したBS1スペシャル『デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う〜』というドキュメンタリー番組の中で非常に興味深い場面があった。
 このドキュメンタリーは、インターネット上にある画像や動画、情報などをテクノロジーを使って分析する「オープンソース・インベスティゲーション」と呼ばれる新しい調査報道の手法に焦点を当てたものだ。アメリカやイギリス、オーストラリアなどの国際的なメディア組織やシンクタンクなどが天才的な専門家をスカウトして、世界中の重大事件の真相を解き明かしている事例を紹介した。
 その中では米紙「ニューヨーク・タイムズ」が行った武漢市での新型コロナウイルス感染に関する調査報道のシーンがあった。

NHK-BS1『デジタルハンター』中国の感染者らの投稿の削除と復旧を追跡した米紙を報道

 
 米紙「ニューヨーク・タイムズ」のビジュアル・インベスティゲーションチームのクリストフ・ケトルさんは今年2月に中国の武漢市について、インターネットで調査していたときに興味深い動きに気がついたという。
 市民の窮状を訴える動画や画像が中国国内のSNSで拡散されていた。
 「もう嫌だ!倒れている人々を運び去ってくれ!」という医療従事者や医療機関で泣き叫ぶ人々。「助けて!誰か来てください!」と叫ぶ患者等の動画などが一時期拡散されていたのが、次々に削除されていた。
(クリストフ・ケトルさん・「ニューヨーク・タイムズ」ビジュアル・インベスティゲーションチーム)
「中国では検閲が頻繁に行われています。新型コロナウイルスはその最たる例です」

 さらに調べると、YouTubeなど、中国政府の検閲が及ばない海外のサイトやSNSに削除された画像などが再びアップされていることが分かった。さらに、ITに詳しい人が利用するサイトに記事やブログなどが保存されていた。
 意図的にこうしたデジタル情報を集め、当局による削除を防いでいる人たちがいたことをインターネットで突き止めて、ケトルさんは5人の若者たちにインタビューして動画などでオンラインで報道した。
(中国の若者=女性)
「私の使命はこの情報が削除されないようにすることです」

(中国の若者=女性)
「当局にどの情報が検閲されるかわかりません。先手を打っています」

 中国政府は武漢市の都市封鎖が解除されてウイルスの制圧が進んでいると世界にアピールしているが、その実態はどうなのかニューヨーク・タイムズは当局と人々のインターネットをめぐるせめぎ合いについてその後も取材を進めている。
(クリストフ・ケトルさん・「ニューヨーク・タイムズ」ビジュアル・インベスティゲーションチーム)
「人々の声を聞いて届けることが重要です。政府は一部の情報しか出していない。新しい病院を建設するとか、『すべてアンダー・コントロールだ』とか良い話を伝えますが、実際は混乱しているはずです」

 この『デジタルハンター』というドキュメンタリーでは、「オープンソース・インベスティゲーション」について欧米ではメディア組織同士などの間で国際的な連携が進み、少しずつ成果を見せているという現状を伝えていた。
 日本のメディアがこうした分野の取材をやっているという話は筆者はまだ聞いたことがないが、日本でも今後は必要な分野だと思う。
 たとえ当局がいくら隠そうとしても、そのうちにこうした手法で明らかになっていく情報は数多いに違いない。

 隠された事実を掘り起こす最先端の調査報道の「質」を高めていく。
 さらに「正確な事実」を元に「議論」をして「世論形成」を進めていく役割。
 ネット時代のメディアにとって求められる役割だと思う。特に後者は現状では民放テレビのワイドショーが果たす役割が大きい。
 TBS『ひるおび!』はアメリカだけでなく、イギリスやドイツ、オーストラリアなども中国政府に対しては批判的な姿勢だと紹介しつつ、コメンテーターとして中国問題の専門家・興梠一朗(こうろぎ・いちろう)神田外語大学教授に話を聞いていた。
 興梠教授のコメントは日頃から中国情勢をウォッチしている人ならではの興味深い情報にあふれていた。
(興梠一朗・神田外語大学教授)
「地方政府は武漢市の市長が証言していまして、『中央政府に伝えた』と。『だけど中央が抑えた』と生のインタビューで言ってしまっているんですね。
中国外交部の報道官がツイッターで、(去年)10月に武漢市で軍人の運動会があったんですが、そのときに『アメリカ人が(ウイルスを)持ってきた』というような、それを思わせることを言っていた。だったら(去年)10月に(新型コロナウイルスに)感染していたことを証明したようなことになりますよね。これは掘れば掘るほど、(新型コロナウイルスの感染を中国政府が知ったのが)いつなのかというの(問題)が出てくるんです」

 新型コロナをめぐっては、米中という大国がいがみあっている場合ではない、もっとお互いに協調してこの世界的危機に立ち向かうべきではないかという意見が根強くある。それも世界的な状況を見れば正論であると思う。だが、残念なことにリアルな国際政治の世界では理想は脇へ追いやられて互いの国益をめぐる綱引きがどうしても影を落としてしまう。
 一方、大国側の言い分であっても、実態を反映しているのではあれば細かく事実を検証していくのも報道機関の役割だし、それを伝えていくことには意味があると思う。 
 この日の『ひるおび!』も時間を割いて伝えていたが、米中のつばぜり合いは新型コロナのワクチン開発をめぐる大国同士の「権益争い」という様相を見せている。こうした視点からの報道もこれからも必要になってくるだろう。

「正義」はひとつではないというメディアの姿勢が大事では?

 今、テレビのワイドショーが多く展開する「報道」は、新聞社の記事などを素材にしてわかりやすいパネルにし、そこに詳しい背景情報を知る識者らに解説コメントを求めるスタイルが多い。ニュースになる「事実」を集める一次的な取材や報道は、「ニュース番組」や「新聞記事」などに委ねて、自分たちは「整理」して「解説」していく部分に専念する姿勢にも見える。
 新型コロナに関しては多様な情報があふれる中で、ワイドショーの視聴率が比較的高めで安定していることは、こうした番組制作の姿勢が視聴者からは受け入れられているせいだと感じる。一つの「正しさ」だけを求めるのでなく、いろいろな情報を整理して「多角的に提示」して、場合によってはその都度、修正(アップデート)していく柔軟な報道スタイルだが、出演者が多角的に議論しつつ進めるこのやり方が、多様な情報が大量に流れるインターネット時代には好ましい報道といえるだろう。
 テレビ報道も、欧米のように国家のウソを明るみに出すなど「調査報道」の質を高めることが求められる一方で、正確な事実をベースにした「議論の場」をつくる役割へのニーズも大きい。
 新型コロナをめぐる中国の現状についての最近のワイドショーやドキュメンタリー番組は、そうしたテレビの役割について改めて考えさせるものだった。 


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岡山 小学校で遅れ取り戻す土曜授業


 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校の影響で遅れてしまった授業を進めるため、倉敷市の小中学校で、通常では休みの土曜日の30日に授業が行われました。

倉敷市にある葦高小学校では、マスク姿の子どもたちが元気に登校しました。
6年生の教室では換気のため窓を開けた上、地区ごとに登校日を分ける分散登校で人数を減らし、子ども同士の距離を確保しています。
6年生は今月までに162時間の授業を終える予定でしたが、1か月あまり続いた臨時休校のため29日までに39時間しか終えられていないということです。
1時間目の国語の授業で子どもたちは、文章の段落ごとの内容を理解する方法を学んでいました。
倉敷市教育委員会では、ほとんどの小中学校で7月までに土曜日の授業をあと4回行うほか、今年度は夏休みの期間を8月1日から24日までに短くして授業の遅れを取り戻す方針です。
6年生の男の子は「土曜日に学校に来るのは少しめんどくさかったけどこれまでたくさん休んだし、学校でみんなと一緒に勉強するほうが理解が深まるのでよかったです」と話していました。
6年生の担任の上林雅広教諭は「6年生は中学校に進学するので、学び残しがないよう勉強を進めていきたい」と話していました。

岡山市中心部で発砲事件 / 暴力団事務所で発砲 2人けが


 岡山市北区田町の暴力団事務所前の路上で発砲事件がありました。撃たれた暴力団幹部の男性と逃走する車にはねられた組員の男性が重傷です。

5月30日午後2時40分ごろ「拳銃の発砲音のような音がした。
男性が倒れている」と、119番通報がありました。
撃たれたのは神戸山口組系の指定暴力団「池田組」の幹部の男性で重傷を負っています。
逃走しようとした車にはねられた同じ組員の男性も骨折などで重傷です。
現場は岡山市中心部の繁華街にある池田組本部事務所前の路上です。
警察は現場近くで鳥取県米子市に本部を置く6代目山口組系大同会の幹部岸本晃生容疑者を銃刀法違反の疑いで逮捕しています。

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暴力団事務所で発砲 2人けが


30日午後、岡山市にある神戸山口組系の暴力団事務所で発砲事件があり、暴力団幹部ら2人が拳銃で撃たれるなどしてけがをしました。
警察は、現場近くで拳銃を所持していた山口組系の暴力団幹部を逮捕し、詳しく調べています。

30日午後2時半過ぎ、岡山市北区にある神戸山口組系の暴力団「池田組」の事務所で「発砲事件があった」と警察に通報がありました。
警察によりますと、58歳の暴力団幹部が拳銃で撃たれてけがをしたほか、62歳の組員もけがをしました。
いずれも命に別状はないということです。
警察は、現場の近くで拳銃を所持していた鳥取県米子市の山口組系の暴力団幹部、岸本晃生容疑者(52)を銃刀法違反の疑いでその場で逮捕し、詳しく調べています。
池田組は30日に岡山市内で、平成28年に山口組分裂に伴う抗争事件で殺害された組員の法要を開いていたということです。
現場は岡山市の中心部にある飲食店が建ち並ぶ繁華街で、事件を受けて警察官が鑑識活動したり警備にあたったりしてあたりは一時、騒然となりました。
現場近くにいた女性は「ぱんぱんと銃声のような音が2回聞こえました。とても驚いています」と話していました。
また、同じく近くにいた男性は「事務所の外で男性が仰向けに倒れていた。物騒なことでとてもいやです」と話していました。

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暴力団幹部が銃撃される 岡山市で発砲事件【岡山・岡山市】

30日午後、岡山市中心部で暴力団幹部が銃撃される事件がありました。警察は暴力団組員の男を銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕しました。

(大杉侑也記者)
「現場には規制線が張られ、鑑識作業が行われています」

30日尾後2時40分頃、岡山市北区田町で暴力団神戸山口組傘下の池田組事務所前で、池田組の男性幹部が銃撃されました。警察によりますと、男性幹部は腹を撃たれ、病院に運ばれましたが、命に別状はないということです。

(近所の住民は)
「煙たいから燃えているのかと思い、急いで降りた。びっくりして足が震える」

警察は、鳥取県米子市の暴力団組員、岸本晃生容疑者(52)を銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕しました。
岸本容疑者は発砲事件への関与をほのめかす供述をしているということです。
警察では、暴力団同士の抗争事件の可能性も視野に捜査しています。
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岡山で神戸山口系組幹部撃たれ負傷 県警、拳銃所持の山口組系組幹部逮捕 逃走車両に接触した1人もけが

30日午後2時35分ごろ、岡山市北区田町、特定抗争指定暴力団神戸山口組系池田組事務所の駐車場で、「発砲事件が起きた」と組員から110番があった。岡山県警の警察官が駆け付けたところ、池田組幹部の男性(58)=愛媛県四国中央市=が腹部に銃弾を受けており、現場から逃走する車両に接触した60代の男性組員も負傷して病院に搬送された。いずれも重傷のもよう。


発砲事件の現場

 県警は、池田組関係者を狙った発砲事件とみて緊急配備。現場から北西約2キロの同奉還町の路上で、逃走車両とみられる乗用車をパトカーが発見、運転していた男が車内に拳銃を隠し持っていたため、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。

 男は、特定抗争指定暴力団山口組系大同会(鳥取県米子市)幹部の岸本晃生容疑者(52)=同市古豊千。県警は山口組と神戸山口組の対立抗争事件との見方を強めており、池田組幹部を銃撃した殺人未遂容疑でも調べる。

 逮捕容疑は30日午後3時5分ごろ、車内で回転式拳銃1丁を所持した疑い。県警によると、岸本容疑者は発砲についてもほのめかしている。池田組幹部が受けた銃弾は1発とみられるが、発砲音は複数あったとの情報もある。

 池田組では2016年5月31日、同組の高木忠幹部=当時(55)=が岡山市内で銃撃され死亡。山口組系の元組員が一、二審で無期懲役の判決を受け、最高裁で確定した。

 この日は高木幹部の法要が岡山市内で営まれ、事件は法要を終えた後に発生。池田組関係者が集まっていたため、県警が警戒を強めていた。

 現場はJR岡山駅の南東約1キロの歓楽街の一角。
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繁華街の神戸山口組系組事務所前で組の幹部ら2人が銃撃される 山口組系の暴力団幹部逮捕 岡山市



30日午後、岡山市の繁華街で神戸山口組系暴力団の幹部が銃撃され幹部ら2人が搬送されました。警察は山口組系の暴力団幹部の男を銃刀法違反の疑いで逮捕しました

 30日午後2時40分頃、岡山市北区の指定暴力団神戸山口組池田組の事務所前で発砲音がしたと複数の通報がありました。

(現場を目撃した人 話)
「4回音が鳴ってそれから3回」「黒のRV車で西へ逃げていきました」

警察によりますと銃撃されたのは神戸山口組池田組の58歳の幹部で、腹を撃たれていました。この幹部を含め2人が病院に搬送されました。幹部の容体は分かっていません。

 警察は拳銃を所持していたとして鳥取県米子市の6代目山口組大同会幹部の岸本晃生容疑者(52)を逮捕し、詳しい事情を聴いています。
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岡山市が定額給付金を2重支給

 現金10万円を一律に給付する「特別定額給付金」について、岡山市は、郵送とオンラインで申請した1世帯2人に誤って、2重に支給したと発表しました。
県内で、特別定額給付金の支給ミスが明らかになったのは、これが初めてです。

「特別定額給付金」について、岡山市では、5月12日までに行われたオンライン申請は市が審査を行い、郵送での申請は、審査を業者に委託しています。
重複して支給するのを防ぐため、審査が済んだかどうかの情報は、市と業者の間で共有する仕組みになっていましたが、市によりますと、互いに審査をパスしたかどうかを確認しないまま、支給を決定してしまったということです。
2重に支給した世帯には、これまでのところ連絡が取れていないということで、岡山市は連絡が取れ次第、謝罪したうえで、余分に支給した20万円を返還するよう依頼することにしています。
県内で、特別定額給付金の支給ミスが明らかになったのは、これが初めてです。
また岡山市は、オンラインでの申請については、入力ミスが相次いだことから5月24日で受け付けを終了しています。
岡山市は「ご迷惑をおかけし、大変申し訳ありません。業者との情報共有を密にして再発防止に努めます」とコメントしています。

岡山県内高校、売り込みに苦慮 コロナでオープンスクール開けず


  新型コロナウイルスの影響を受け、岡山県内の高校がオープンスクールを開けずにいる。これから夏休みにかけては、進路を決めかねている受験生に学校の魅力を売り込む絶好の機会だが、大人数が集まるため感染拡大を助長する恐れがあるからだ。県教委は、8月末までの大規模開催を禁止した。それでも各校は、インターネットを活用したりして開催できないか模索している。

 「毎年オープンスクールで入学を決める生徒が多い。この時期にアピールできないのは正直とても痛い」

 今月23日に開催する計画だった一宮(岡山市)の片山肇指導教諭は悔しそうに話す。

 同高は毎年、年2回のオープンスクールを実施し、2019年度は計約1400人が訪れた。今年は5、8月に開く予定だったが、ともに中止を決めた。動画配信のほか、少人数の地域説明会などの開催を検討している。

■魅力発信

 19年度に県立高でオープンスクールを開催したのは全51校。今年も10月までに全校が開くが、県教委は現時点で、8月末まで100人以上が集まるのを禁止しているため、その間に予定されていた49校(計65回)は中止や延期、開催方法の変更をせざるを得なくなった。

 実業高校にとっては特性をアピールする貴重な場だが、笠岡工業(笠岡市)は7、8月に2回予定していたオープンスクールを中止する。例年ロボットを使った実習やものづくり体験などが好評で、「他校と違った魅力を発信できる機会だったが、仕方ない」と話す。勝間田(勝央町)も8月のオープンスクールを10月に延期する方向で調整している。このほか、総社南(総社市)は対面で実施せず、授業や部活動の様子を動画で紹介する専用のホームページ(HP)を立ち上げる。

 私立でも中止や延期の対応が相次ぐ。創志学園(岡山市)は11月までに4回行うオープンスクールのうち、初回の6月20日はウェブ開催で対応。授業風景などを約30分間の動画にまとめ、48時間限定でHPに公開する。

 川崎医科大付属(倉敷市)は5月に東京、福岡、名古屋、大阪の4都市で予定していた学校説明会を中止した。金光学園(浅口市)は7月までのオープンスクールや説明会の計11回を双方向のオンライン配信で実施する。

■判断材料

 一方で、中学生にとってオープンスクールは進路選択のための大きな判断材料。ほとんどの生徒が、自分が受験する予定の高校のオープンスクールに参加する。津山市立鶴山中で進路指導を担当する小川浩教諭は「公立と私立など複数行く生徒も多く、自分の目で学校を見ておく意義は大きい」と強調する。

 岡山市立芳泉中の小倉明子教頭は「例年この時期に多くの高校からオープンスクールの案内が届くが、今年はほとんど来ていない。早く状況が分かればありがたい」とする。

 同市内の中学3年女子は「授業や部活の雰囲気を知らないまま入学してしまうと、思っていたのと違っていたら困る。普段は高校との接点がないのでオープンスクールにはぜひ参加したい」と話す。

 県教委高校教育課は「受験生のため、早めに県立高の開催状況を示したい」として7月ごろにまとめてHPなどで公表する予定だ。

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