瀬戸内の森陶岳さん 窯焚き完了 岡山
入学式 おかあん ありがとう

備前焼の岡山県重要無形文化財保持者・森陶岳さん(78)=瀬戸内市牛窓町長浜=が同所に築いた空前の「新大窯」(全長85メートル、幅6メートル)で、107日間にわたって続いた窯焚(だ)きが20日朝、終了した。森さんが古備前の神髄を求めて1970年代から取り組む大プロジェクトの最終段階。窯出しは冷却期間を経て、7月下旬から始まる見込み。
 午前8時10分、小雨が降る中、窯内部を確認した森さんが「よっしゃ、いい焼けだ。火を止めよう」と大きな声を上げて指示を出した。窯の横に開いた小穴にわら、薪(まき)をくべていた弟子6人は作業を止め、約100あるうち、まだ閉じられていない6の小穴に次々ふたをかぶせ、周囲を土で塗り固めた。最上部の「煙道」の吹き出し口の穴16カ所も換気口となる一部を除き、ふさいだ。
 「新大窯」は2008年7月に完成。中に人が入れるほどの「五石甕(ごこくがめ)」(焼成前の高さ1・65メートル、胴径1・4メートル)など大甕97点と大小のつぼなど数千点を11回に分けて詰めた。
 1月4日に火入れし、3月22日から仕上げの横焚きが始まった。窯の下段から最上部まで緩やかに傾斜した内部に1カ月かけて火を巡らせ、ピーク時は1200度に達した。弟子6人を中心に約40人のスタッフが昼夜を問わず関わった。
 森さんは「無事に終わり、ほっとした。大甕も凛(りん)と立っており、ここまでのところほぼ成功といっていい」と安堵(あんど)の表情を見せた。