伝説の尼僧行列 厳かに再現  弘法寺 岡山 瀬戸内市牛窓町 /(誕生寺(岡山県久米南町))
スケッチ 瀬戸内美人
(  瀬戸内美人 スケッチ )

奈良時代の伝説の尼僧「中将姫(ちゅうじょうひめ)」が極楽浄土へ向かう様子を演じる「踟(ねり)供養」(県重要無形民俗文化財)が5日、瀬戸内市牛窓町千手の弘法寺で営まれ、大勢の見物者でにぎわった。
 面を着けた観音役や稚児ら約90人が、同寺境内の遍明院を出発し、極楽浄土に見立てた東寿院までの約500メートルをゆっくりと歩いた。東寿院では阿弥陀(あみだ)如来像の被仏(かぶりぼとけ)=県重要文化財=が迎えた。
 稚児役の岡山市立小1年岡嶋よつはさん(6)は「務められてよかった」。母親(36)は「華やかさの中に歴史を感じた。古式ゆかしい行事がずっと続けばいい」と話した。
 弘法寺の踟供養は鎌倉時代に始まったとされ、1967年に本堂などを焼失する火災で一時途絶えたが、97年に復活。当麻寺(奈良県)、誕生寺(岡山県久米南町)とともに「日本三大ねり供養」に数えられる。