方谷生誕210年記念し企画展  岡山 山田方谷
山田方谷

備中松山藩元締役兼吟味役(財政責任者)として藩政改革を担った山田方谷(1805-77年)の生誕210年を記念した企画展「幕末の群像 -山田方谷をめぐる人々」が、高梁市歴史美術館(同市原田北町)で開かれている。江戸時代末期から明治維新期を生きた方谷と弟子らの人物像を紹介している。
 方谷を中心とし、弟子の三島中洲(1830-1919年)、川田甕江(1830-96年)、方谷を登用した藩主板倉勝静(1823-89年)らの資料56件を展覧。日本画家・小倉魚禾による穏やかな表情の方谷肖像画や藩主と別れた時の心情をつづった漢詩のほか、部下150人の命を救うため自刃した藩の重臣熊田恰(25-68年)の顕彰碑の拓本、勝静の陣刀などゆかりの品が並ぶ。
 方谷が学頭を務めた藩校有終館蔵書(岡山県重要文化財)の「資治通鑑綱目」(1671年)は朱子学者によく読まれた本で、方谷が勝静に侍講したとされる。「左伝経世鈔」(江戸時代)は、中国・春秋時代の歴史書の注釈書で、川田の墨書で1856年、方谷が求めて藩校の蔵書にしたことが記されている。加古一朗主任学芸員は「激動の時代を生きた方谷と周囲の人々がどのように学び、行動したかを知り、その思いに触れてほしい」と話している。
 6月21日まで。火曜休館。一般300円、小中学生150円。5月16日、6月13日の午後2時からは展示解説が行われる。