<光エネルギー>光合成のたんぱく質構造、岡山大が解明 太陽光発電効率化に期待 /岡山

岡山 美人 スケッチ
(  岡山 美人 スケッチ サポーター )

植物が光合成をする際に、太陽光を高い効率で吸収・利用するたんぱく質複合体の構造の解明に、岡山大の沈建仁(しんけんじん)教授と菅倫寛(みちひろ)助教らの共同研究グループが成功した。光エネルギーを用いる太陽光発電などで、無駄なくエネルギーを活用する技術開発への応用が期待できるという。論文は29日付の米科学誌サイエンスに掲載、表紙を飾った。

 解明したのは「光化学系1複合体」と呼ばれるたんぱく質複合体の構造で、太陽光を吸収して植物の成長に必要な糖を生む働きをしている。研究グループは、エンドウ豆の葉緑体の中にある複合体を結晶化。これを高輝度のX線で解析した結果、複合体に存在するいずれも色素のカロテノイドとクロロフィルの数や配置、向きが明らかになったという。

 これらの配置は、90%以上の伝達効率で光エネルギーを複合体中心部へと伝達するのに適しており、人工的に同様の伝達経路を作れば、太陽光発電などで光エネルギーの利用効率が大幅に改善できる可能性があるという。菅助教は「重要な発見。太陽電池などに応用して実用化できるよう、今後も研究を重ねたい」と話している。