有森さん 8年ぶり完走「感無量」  おかやまマラソン

arimiri yuuko

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おかやま マラソン ランナー

「こんなに沿道に人が出てくれるなんて。途切れない応援に後押しされて走り切れた。感無量」。8日行われたおかやまマラソンで、8年ぶりにフルマラソンを完走した女子マラソン五輪メダリスト有森裕子さん(48)=岡山市出身=は、4時間46分32秒でゴールすると、うっすらと涙を浮かべた。
 1992年のバルセロナ五輪で銀、96年のアトランタ五輪でも銅を獲得した名ランナーだが、2007年の現役引退後はほとんど練習しておらず、不安を抱えていたという。20キロ付近で脚が止まり、「リタイアも頭をよぎった」が子どもらの声援を受け「前へ前へ」と走り続けた。「動かなかった脚が応援を受けて動き始めた。感謝しかない」
 さらに目に焼き付いたのは、同市南区藤田地区の田園風景や高低差17メートルの岡南大橋から見渡す市街地の遠景。「岡山の素晴らしい場所を見ることができた。最高の景色だった」と感慨深く振り返った。
 現役引退レースは、市民マラソンブームの火付け役となった第1回の東京マラソンだった。ランナーとスタッフ、沿道の強い一体感が心に残った。「岡山でもマラソンで地域を一つにしたい」。開催を県に提案。そして実現した今大会では、PR役のスペシャルアンバサダーを務め、コースの監修にも携わった。
 この日、全国から1万4千人ものランナーが集い、4300人のボランティアが支え、13万4千人が沿道を埋めた。「こんなにも岡山が一つになるとは思っていなかった。携わった人、すべての姿が圧巻だった」。次回以降にも目を向け「岡山の人に愛され、子どもに夢を与えられる大会になってほしい」と願いを口にした。