中山間に新交通体系、美作で計画 岡山

トヨタ自動車が設立した一般財団法人「トヨタ・モビリティ基金」(理事長・豊田章男社長)は25日、美作市上山地区で超小型電気自動車(EV)を活用して中山間地域の新たな交通体系構築を目指すNPO法人2団体に、総額2億2千万円を助成すると発表した。事業は2016年1月にスタート。同基金が国内の団体に助成するのは初めて。
 「中山間地域の生活・経済活性化のための多様なモビリティ導入プロジェクト」で、上山地区をモデルに、過疎高齢化や傾斜地が目立つ地域での生活維持に向けた移動手段の在り方を探る。現地で棚田の再生を図る「英田上山棚田団」(美作市)、中山間地域の課題解決に取り組む「みんなの集落研究所」(岡山市)の2NPO法人が実施主体で、岡山大や美作市も協力する。
 計画では、1人乗りで小回りが利くトヨタグループの超小型EV「コムス」を最大で50台前後導入し、地区内に駐車スペースを複数確保。カーシェアリングの要領で住民が日常生活、農作業時の足として利用する。観光客向けの貸し出しも行うほか、高齢者らが安心して使えるように自動運転の社会実験も視野に入れる。
 期間は19年9月までの3年9カ月で、助成金はコムスの購入や調査、人件費などに充てる。基金側のスタッフも定期的に現地入りし、用途に応じた車両の改良や専門的な助言を行う。
 基金は、NPO活動が盛んな上山地区に今春から注目。意見交換を重ね、計画の立案能力や実施態勢を評価して助成先に選んだ。
 25日に現地の観光施設で調印式があり、基金の早川茂事務局長(62)は「地域再生にかける地元の熱意を感じた。住民生活の安定、経済の活性化に向け、支援していく」と述べた。
 棚田団の猪野全代代表理事(62)は「みんなが豊かに暮らしていける地域づくりを進める」、集落研究所の石原達也・代表執行役(38)は「中山間地域で生活の足の確保は大きな課題。解決策を見つけ出し、他の地域に広げていきたい」と話した。ズーム
 トヨタ・モビリティ基金
 人やモノのスムーズな移動に取り組む団体などを支援するため、トヨタ自動車が2014年8月に設立。これまでタイ・バンコク、ベトナム・ダナン市内の交通渋滞緩和に向けたプロジェクトに、計約7億5千万円を助成することを決めている。
 上山地区
 美作市南部に位置し、かつては急傾斜地に8300枚もの棚田があったとされる。11月現在の人口は225人で10年前より52人減り、高齢化率は6・01ポイント増の43・55%となっている。
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<小型電気自動車>棚田に導入 トヨタ設立基金が助成、来月から生活調査も 美作・上山 /岡山


棚田の景観で知られる美作市上山で、住民が小型電気自動車を利用した場合、生活にどのような影響や効果があるかを探る調査・研究が1月から始まる。トヨタ自動車が設立した一般財団法人「トヨタ・モビリティ基金」(東京都)が4年間で2億2000万円を地元NPO法人に助成。同社の「コムス」を最大約50台購入する。NPOなどは「高齢化が進む中山間地集落の交通問題解決策を上山で培い、国内外に広めたい」と意気込んでいる。】

 同基金は昨年8月に設立され、これまでにタイとベトナムで渋滞対策事業に助成したが、国内助成は初めて。NPOの「英田上山棚田団」と「みんなの集落研究所」(岡山市北区)を助成先とし、美作市や岡山大などが協力する。

 住民らが農作業や普段の移動で使い、使用者の感想や要望を聞き、乗車人数や荷物積載量を増やすなどの改良につなげる。また、生活実態調査も実施。上山の全住民約160人から聞き取りを行い、年齢や家族構成、生活圏、家事や移動などの方法と経年変化を調べ、カーシェアリングや乗り合いバスの導入などを検討する。

 基金とNPO2法人が25日、助成契約を上山地区で締結した。地域再生に取り組む英田上山棚田団の猪野全代(まさよ)代表理事は「事業を通し、棚田を広く知ってもらえたら。棚田を維持する暮らしについてもわかる体験型観光も企画したい」と話した。

 市などによると、上山の人口の4割近くは65歳以上の高齢者。棚田は奈良時代から整備されたとみられるが、過疎高齢化などで1990年代に耕作放棄地が増加。2007年から関西の住民や移住者らが地元住民と再生に取り組み、棚田100ヘクタールのうち約2割が利用できるようになったという。
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EVで棚田活性化を加速

◇美作・上山地区

 棚田の広がる美作市上山地区で1月から、超小型の電気自動車(EV)を使った生活環境の改善や、地域活性化などに取り組むプロジェクトが始まる。地元のNPO法人などが25日、発表した。3年半かけて効果を検証するといい、「中山間地域の活性化モデルを作る」とする。(三島浩樹)


 ◇機具運搬やツアーに導入

 一般財団法人「トヨタ・モビリティ基金」(東京都)から助成を受け、NPO法人の英田上山棚田団(美作市)とみんなの集落研究所(岡山市北区)が、2019年9月末まで実施する。

 計画では、約2億2000万円の助成を見込み、約6時間の充電で約50キロ走行可能なトヨタの1人乗りEV「コムス」を最大で50台導入。〈1〉日常生活〈2〉農林業作業〈3〉観光振興――で実証実験を行う。

 高齢者らにコムスを移動手段として使ってもらうほか、ワンボックスカー型の乗合バスを導入。美作市や大学などとも連携し、利便性の向上を図る。

 さらに、農機具や農作物の運搬、あぜ道の移動などの利用を想定。車両の改良点を探る。観光面では、棚田の美しい景観や温泉リゾート施設などを生かし、コムスによるツアーや農林業体験などを提案し、収益モデルを確立する。

 英田上山棚田団の猪野全代まさよ代表理事は「地区では高齢化・過疎化が進んでいる。プロジェクトで活性化モデルを成功させ、全国に発信していきたい」と意気込む。

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