岡山<参院選 選択の視点 >憲法あり方に向き合う 

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◇改正是非 議論しっかり

 岡山市北区にある大型書店。入り口近くの特設コーナーに、日本国憲法の成立過程や改正論議のポイントをまとめた書籍とともに、中国や北朝鮮の情勢を解説した本が並んでいる。


日本国憲法の原本。安全保障が歴史的転換点を迎えた現在、改正論議が高まりをみせている

 

 安全保障関連法が3月29日に施行され、日本の安全保障政策は新たな段階に入った。北朝鮮の核実験や中国の海洋進出で安全保障への関心が高まる中、多くの関連本が出版されている。

 倉敷市で16日に開催された立候補予定者3人の公開討論会。前日に、中国の軍艦による日本領海への侵入が約12年ぶりに確認されたこともあり、「憲法改正」に関する議論は白熱した。

 「安保関連法は必要な仕組みだと思うし、それぞれの意見にもうなずける。ただ、憲法を変える必要があるかどうか判断がつかない」。議論に耳を傾けた会社員男性(37)は慎重に言葉を選んだ。

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 憲法改正について、安倍首相は「在任中に成し遂げたい」と積極的に発言してきた。

 読売新聞社が3月に実施した世論調査で、参院選で憲法への考え方を判断材料に「する」は67%で、「しない」の31%を大きく上回ったものの、改正については「する方がよい」は49%、「しない方がよい」は50%と拮抗きっこうした。

 憲法改正や安保関連法を巡っては、県内でも世論は分かれている。今年3月には反対派の市民グループが誕生。5月には、超党派の地方議員らが「立憲主義を守る」と会を設立し、各所属議会で意見書を発議する準備を進めている。

 ある議員OBは「憲法を変えるなと言っているのではない。現行憲法にのっとった手続きや議論をすべきだと提案したい」と話す。

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 立候補予定者3人の発言も分かれている。

 自民新人の小野田紀美氏(33)は「自主憲法制定は党是で、日本を守ることを考えると、今の情勢にふさわしい憲法に作り変えていくべきだ」。諸派新人で幸福実現党の田部雄治氏(40)も「安保関連法だけでは不十分であり、今の日本に必要なのは十分な国防力だ。戦力不保持の項目はなくすべきだ」とする。

 民進新人の黒石健太郎氏(32)は「現実的な修正の問題は将来あるかもしれないが、近々に迫るテーマではない。今回の選挙で変えるべきではない」と主張する。

 ただ、いずれも街頭演説などでは景気回復を訴えの中心に据え、憲法論議を前面に押し出してはいない。

 神戸学院大の上脇博之教授(憲法)は「政党は票にならないことを争点としない傾向があるが、選挙後に争点外のことをやれば民主主義の原則が崩壊し、不信につながる。主権者と政治家の思いのねじれを防ぐためにも、原点に立ち返って議論すべきだ」と指摘する。

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参院選最大の争点は、やはり憲法改正問題


今回の参院選の争点は何でしょうか?

  世論調査によれば、多くの有権者が重視するのは、医療や年金等の社会保障問題、そしてアベノミクスの成否等の経済・景気問題であるようです。当然ながら、政党や候補者は、そうした有権者の関心にしっかり応える必要があります。むしろ、明快に答えることができなければ十分な支持を得ることはできないでしょう。

  しかし、今回の参院選は政権交代を懸けた選挙ではありません。また、政権与党は衆議院で3分の2以上の勢力を占めています。そのため、今回の参院選によって経済政策や社会保障政策が大幅に変わる可能性はもともと大きくないというのが現実です(もちろん、今回の参院選の結果が、政権交代を問う次の衆院選に大きく影響することは言うまでもありません)。政権与党が余程の惨敗でもすれば話は別かもしれませんが、政権与党が大きく負けるということは、直近の世論調査結果等を見ても、現時点では、考えにくいと言わざるを得ません。

  一方、この参院選を通じて、政権与党等の改憲勢力が衆議院と共に参議院でも3分の2以上の「改憲ライン」を上回る可能性は十分にあります。

朝日新聞によれば、参議院の非改選(つまり2013年当選組)121議席のうち、改憲勢力は84議席。改憲ラインである「3分の2以上」である162議席以上を確保するには、今回の参院選で78議席以上当選させることが必要です。

  大まかにいえば、自民党、公明党等の改憲勢力は2013年参院選より多少悪い結果となっても改憲ラインを上回る議席を確保できる可能性があるのですから、改憲ライン越えは決して困難な目標ではないと言えるでしょう。

  一方、護憲勢力の非改選議席はわずか27議席。そのため、「護憲ライン」である3分の1以上(つまり81議席以上)を確保するためには、54議席以上を獲得しなければなりません。3年前の参院選と違い今回は1人区全てで野党統一候補が実現する方向であるとは言うものの、民進党等の護憲勢力は前回の選挙結果の2倍以上の議席を獲らなければ護憲ラインを死守できないのですから、それは決して低くはないハードルだと言えます。

  このように考えれば、今回の参院選の結果如何で最も大きく変わり得るのは憲法改正をめぐる環境です。1947年5月3日に日本国憲法が施行されて以来存在しなかった状況が、参院選後には誕生するかもしれない、歴史的な分岐点になるかもしれないのです。有権者が最も考え問うべき争点は、やはり「憲法改正問題」であるはずです。

  与党は憲法改正問題を敢えて避けているようですが、野党側は、有権者の関心に答えながらも、明快に、堂々と、憲法改正問題の重要性や「危険性」を訴えるべきです。私も地方議員の一人として、憲法改正問題について、候補者と共にはっきりと訴えていく決意です。

  お読み下さり、ありがとうございます。
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岡山<2016参院選>公示 3新人が立候補予定 各陣営、激しい前哨戦

 参院選は22日公示され、7月10日の投開票に向け論戦がスタートする。岡山選挙区(改選数1)には自民の元東京都北区議、小野田紀美氏(33)=公明推薦▽民進の会社社長、黒石健太郎氏(32)=共産、社民推薦▽幸福実現の党県副代表、田部雄治氏(40)??の新人3人が立候補を予定している。引退を表明した民進、江田五月氏(75)が長年守った議席を巡り各陣営は既に激しい前哨戦を展開。本番を迎え、訴えのボルテージも上がる。

 小野田氏は昨年10月の出馬表明から県選出国会議員8人のサポートで県内をくまなく回り、教育格差の是正などを訴えながら知名度アップに注力してきた。既に約1100の企業・団体から推薦を取り付けた。

 19日には石破茂地方創生担当相が応援に駆けつけ、選挙期間中も閣僚級が来県を予定する。公示日は北区の県庁前に加藤勝信1億総活躍担当相ら県選出の国会議員が顔をそろえ、出陣式を行う。

 黒石氏は出馬表明が今年1月と出遅れたが、「江田後継」を前面に県内全域に1万枚のポスターを掲示した。共産、社民との野党統一候補として支持拡大を訴える。

 民進の地盤が弱い美作や東備、井笠地域などは共産や連合岡山の協力で浸透を図り、既に岡田克也民進党代表や志位和夫共産党委員長ら党首級が応援に駆けつけ、公示後も応援を受ける予定。北区のイオンモール岡山前で第一声を上げる。

 田部氏は北区下中野に事務所を構え、支持者回りや街頭演説で、消費税率の5%への引き下げによる景気浮揚や憲法9条改正による国防強化などの政策を訴える。

 2月の出馬表明から県内全域を一巡し、選挙期間中は街頭での活動を増やし、釈量子党首も応援に駆けつける。公示日は北区のJR岡山駅前で第一声を上げる予定だ。
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