岡山 「コンシェルジュ」が移住後押し (2011年の東日本大震災 「3.11」)


2011年の東日本大震災を機に、千葉県鎌ケ谷市から赤磐市に移住した糸曽真由さん(36)が、昨秋から同市の嘱託職員「移住コンシェルジュ」として勤務している。移住希望者の窓口となる業務で、糸曽さんは、移住を決意してから実際に移り住むまで苦労した自身の経験を踏まえ「多くの人の力になりたい」と意欲を見せている。 移住コンシェルジュは、赤磐市への移住希望者の相談対応や市内案内に当たるほか、インターネットでの情報発信なども手掛ける。同市が昨年初めて募集しているのを知り、糸曽さんは迷わず志願したという。 移住の際、家探しなどの情報収集の苦労は想像以上で、その支援に携わることができればと考えたからだ。 東京都内で仕事中に震災に遭遇し「普段は便利な都会のもろさを痛感した」。家族4人での移住を決意し、12年に初めて訪れた赤磐市の自然豊かな環境を気に入り、移住先に決めた。ところが空き家の改修や夫が就農するための準備などに時間がかかり、引っ越しを終えたのは14年3月のことだった。「縁のない土地でどんな暮らしができるのか分からず、全てが手探り状態だった」と振り返る。 昨年10月に採用され、これまでに100組近い家族から相談を受けた。移住が実現したのは3組。「どれだけの収入があれば生活できるのかを心配する人が多い。わが家を例に、食費や教育費などを具体的に説明している」。自身の経験を生かし職務に励んでいる。 NPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)によると、震災後、岡山は移住希望先ランキングで常に上位に入っている。糸曽さんは「自分が求めていたサービスを全て提供し、移住にあと一歩踏み出せない人たちを後押ししたい」と話している。