視覚障害理由の配転命令「無効」 岡山短大に賠償命令


 岡山短期大(岡山県倉敷市)の女性准教授が「視覚障害があることを理由に授業を外され、事務職への変更を命じられたのは不当」として、短大を運営する学校法人を相手取り、配転命令の撤回などを求めた訴訟の判決が28日、岡山地裁であった。善元貞彦裁判長は、配転と研究室の明け渡し命令は無効とし、短大側に慰謝料など110万円の支払いを命じた。

 訴えていたのは、倉敷市の山口雪子さん(52)。判決によると、山口さんは1999年に岡山短大の教員となり、幼児教育学科の准教授として勤務してきた。網膜異常で視野が狭くなる「網膜色素変性症」を患い、次第に視力が低下。14年に退職勧奨を受け、私費で視覚補助の補佐員を雇って授業を続けていたが、昨年3月、事務職への変更を命じられたことなどを不服として提訴した。

 裁判で、短大側は「授業中、ラーメンやお菓子を食べている生徒を注意できなかったり、無断退出が横行したりしている」などと主張。これに対し、判決は「適切な視覚補助のあり方に改善すれば、学生の問題行動については対応可能」と指摘。「職務の変更の必要性は十分とは言えず、権利の乱用だ」と退けた。

//////

<岡山短大訴訟>視覚障害准教授の「職務変更は無効」判決

 ◇慰謝料など110万円の支払い命じる

 岡山短大(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(52)が、視覚障害を理由に授業の担当から外されるなどしたのは不当として、短大を運営する学校法人を相手取り、事務職への職務変更命令の無効確認などを求めた訴訟の判決が28日、岡山地裁であった。善元貞彦裁判長は職務変更命令は無効と判断し、慰謝料など110万円の支払いを命じた。

 判決によると、山口准教授は1999年に採用され、生物学などを担当。網膜の異常から次第に視野が狭くなる難病「網膜色素変性症」を患い、文字の判読が困難になった。短大は昨年2月、授業中に無断で教室を出る学生を見つけられなかったことなどを理由に、次年度から学科事務のみを担当するよう命じた。

 善元裁判長は、視覚補助者を置くなど短大側が対応すれば授業の問題は解決できると指摘。「職務変更命令は原告が教える機会を完全に奪うもの。権利乱用で無効だ」と述べた。


//////