岡山 「晴れの国」ロケ地の宝庫<ニュース・アイ>  ◇経済効果期待 観光客呼び込み
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◇都会と田舎 地の利評価  ◇経済効果期待 観光客呼び込み

 県内で近年、映画やドラマの撮影が相次いでいる。「晴れの国」といわれる天候の良さや、交通の利便性などが評価されているという。岡山が選ばれる理由を、ロケを機に観光客誘致につなげようとする試みとともに探った。

 「お年寄りの女性が一人で住んでいるような、一本道の奥にある一軒家を撮りたい」「人が自殺できる感じの岩はないか」――。

 県観光連盟(岡山市北区)に事務局を置く「県フィルムコミッション連絡協議会」には、制作会社から問い合わせが寄せられる。担当者の妹尾真由子さん(30)は要望を聞き取り、県内にある七つのコミッションと全市町村の情報を集め、候補地を提案している。

 映画のロケ地に選ばれているのは、学校や市民病院、駅、草原など様々だ。「君と100回目の恋」では、瀬戸内市の牛窓ヨットハーバーにエキストラ200人を動員し、ライブの様子を再現する大掛かりなロケを敢行。路面電車が走る街並みも好評で、最近は岡山市中心部に架かる「京橋」でのロケも増えており、「先生!」などが撮影された。

 同協議会では、「都会のシーンも撮れるし、車で30分走れば海や山、田舎、古い街並みもある」と、岡山ならではの地の利を強調してロケを誘致している。

 空港や新幹線など交通網が整っているため、撮影期間や制作費の予算に応じて効率良く撮影できる。また、雨の日が少なく安定した気候は、同じシーンを数日かけて撮影し、編集する場合などに好まれ、全国的には知られていない街並みや風景は、ストーリー設定が岡山ではない作品を撮るのにも向くという。

 妹尾さんは「地元の何気ない風景でも、映画を通して魅力に気付くこともある。地域の活性化にもつながれば」と期待を込める。

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 ロケを契機に、地域に根差した観光振興や誘客を目指す「ロケツーリズム」の動きも出てきた。

 「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年公開)では、撮影が行われた高松市の防波堤や公園に若者が押し寄せる「セカチュー」ブームが起きた。大ヒットとなった「君の名は。」でも、ファンがモデルとなった場所を訪ねる「聖地巡礼」が話題に。地方の新たな観光資源の掘り起こしにもなった。

 「ひるね姫」の舞台になった倉敷市は、「君の名は。」に登場する岐阜県飛騨市の取り組みを参考にし、映画プロモーション事業費3900万円を昨年度の補正予算に計上。ロケ地を巡るスタンプラリーや関東圏の映画館でのCM放映、バスや電車のラッピング費用に充てた。

 スタンプラリーの応募者数は、5月の大型連休明けに1300人を突破。6月末までに2000人を見込んでおり、倉敷市観光課は「全国公開の映画で倉敷をPRするチャンス。関東圏での知名度をアップさせたい」と意気込んでいる。

 経済効果にも期待が懸かる。県フィルムコミッション連絡協議会によると、撮影期間や制作費にもよるが、1か月間のロケで制作関係者らが宿泊費やレンタカー代、食事代などとして使う金額は約5000万円になるとも言われている。

 県観光課の石井謙次課長は「街の魅力も一つの観光資源。ロケが相次ぎ、岡山に観光客を呼び込めるような流れが来ている」と話す。

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 県民の関心も高まっており、同協議会の「エキストラ人材バンク」には3500人(3月末現在)が登録。前年同期より1000人以上増え、参加実績は5倍の延べ1270人に上った。

 一方で、好調な県内ロケに水を差しかねない出来事も。ロケを見かけた人がツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿した情報が広がり、大勢の人が集まってスタッフが対応に追われるなど撮影現場が混乱したり、路上駐車で周辺の店舗などに迷惑がかかったりしたケースがあったという。

 同協議会は「県内ロケは、エキストラとして撮影にも参加できる貴重な機会で、県出身の映画人育成にもつながる。ロケを近くで見ることがあっても、マナーを守ってほしい」と呼び掛けている。