「命のビザ」発給 杉原千畝を紹介  福山 (岡山からも行こう!)


 第2次大戦中にナチス・ドイツの迫害から多くのユダヤ人を救った外交官・杉原千畝(1900〜86年)の遺品などを集めた特別展が6月1日、福山市御幸町中津原のホロコースト記念館で始まる。駐リトアニア領事代理として「命のビザ(査証)」を発給し約6千人を救った功績や、「人道優先」を貫いた人物像を紹介している。 「暗やみに光を灯(とも)した人 杉原千畝」と題し、約40点を展示。リトアニアで出会った少年に招かれたパーティーで迫害の現状を知ったエピソードや、領事館前に殺到したユダヤ難民を救おうと約10日考え抜き、日本通過ビザを大量発給したことなどをパネル12枚で解説している。 書籍やカフスボタン、小物入れなどの遺品を並べ、当時使用されたビザの拡大パネルも掲示。リトアニアでの発給者リストの写し、旧ソ連の経済情勢などをまとめた調査報告書(複製)もある。 同記念館では2007年から2年半、杉原をテーマにした特別展を行ったが、より詳しく功績を学んでもらおうと内容を一新。ユダヤ難民が旧ソ連から日本を経てアメリカやオーストラリアなどに逃れたルートが分かるジオラマや、ビザ発給の際に使った領事館印と同デザインのスタンプも作り、親子連れらが追体験できる構成にした。 7月29日午後2時から、外務省外交史料館の白石仁章課長補佐による特別講演会を開く。大塚信館長は「人命を尊重し、平和をつくり出した杉原の勇気と行動力、生き方にぜひ触れてほしい」と来館を呼び掛けている。 入館無料。日、月曜と祝日は休館。問い合わせは同記念館(084—955—8001)。