法案めぐり国会は最大のヤマ場に   「共謀罪」各地で抗議  (加計学園問題,森友問題の隠蔽のためか?)

14日午後5時すぎ、参議院の議長室周辺に集まる、野党の面々。女性議員を「盾」に、与党の国会運営に反発し、激しく抗議した。
午後9時半、国会前には反対の声を上げる人々の姿があった。
参加者は、「いてもたってもいられないっていうのがあって」、「急に、強行採決されるというのも。共謀罪が通ってしまうのは、とても危険なんじゃないかと思って」などと話した。
テロ等準備罪を新設する法案をめぐり、徹夜モードの国会は、最大のヤマ場を迎えている。
きっかけは、14日午前中、民進党が13日に提出した、山本地方創生相の問責決議案が否決されたあとに、自民党が繰り出した、ある奇策にあった。
午前11時半から行われた、自民、民進の参院国対委員長の会談。
部屋の中から漏れ聞こえてくる罵声。
そして、民進党の榛葉参院国対委員長は、「松山さん、ダメだ。あんなことやっちゃ、あなた! そんなの自殺行為だぞ、参議院の。議論やってないじゃないか、法務委員会で! 今、松山さんから、とんでもない提案がありまして...」と述べた。
民進党の榛葉氏が言う、自民党の松山氏からの「とんでもない提案」。
それは、法務委員会での採決を省略できる、「中間報告」という手続きをとり、直接本会議で採決するという提案だった。

民進・榛葉参院国対委員長「中間報告っていうのは、委員会での議論をやめるってことでしょ。良識ある松山さんは思いとどまってくれると思いますけど」
自民・松山参院国対委員長「はい」

中間報告を阻止しようと説得する、榛葉氏。
国対委員長会談は、2時間の間に3回行われた。
しかし、榛葉参院国対委員長は、「九州の人、頑固だな。松山さんとの友情も、きょうで終了しました。話は決裂」と述べた。
野党側が、金田法相の問責決議案を提出したことに対し、審議を続ける状況にないと判断したとして、中間報告という奇策に出た自民党。
菅官房長官は「(委員会採決をして、本会議というプロセスを経るもの。見たところ、非常に乱暴な手法に見えるが?)それは、私から申し上げることではないと思う。ただ、政府において、今日までわかりやすく丁寧な説明を尽くしてきた」と述べた。
野党が中間報告を行わせないよう、徹底抗戦する中、午後7時すぎに行われた、金田法相への問責決議案の審議。

民進・福山哲郎参院議員「安倍政権による、議会制民主主義の否定そのものです。われわれの自由が侵害される。数の力があるということと、正義は同義ではありません」


公明・佐々木 さやか参院議員「金田法相は、毎回の委員会で、各委員に対して、最大の敬意を示しながら、誠実に取り組まれ、丁寧な説明を行うなど、今日まで強い責任感と使命感をもって、職務を遂行されてきている」

その後、自民、公明などの反対で否決された。
さらに、参議院本会議では、中間報告を進めるための動議が可決。
民進党や共産党など、野党側はこれに対し、法案の採決阻止のため、午後9時半ごろ、衆議院に最大の切り札、内閣不信任決議案を提出した。
突然の中間報告戦法による、与党の強行的採決の背景には、いったい何が。
こうした中、加計学園の獣医学部の新設をめぐる、「総理のご意向」などと書かれた文書問題。
松野文科相は「今、調査を、ヒアリング等含め、続けている最中。公表の時期は、今後、また調整したい」と述べた。
文科省は、15日にも再調査の結果を公表する方針ということだが、圧力をかけたとされる内閣府も、一転、調査を行う方針を固め、近く表明するものとみられている。

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「説明、手順めちゃくちゃ」 「共謀罪」各地で抗議

 多くの懸念が出され、賛否が割れる法案を、法務委員会での審議を打ち切ってまで成立させてしまうのか。「共謀罪」法案を巡る与野党の攻防が参議院で続いた14日。国会周辺で、全国各地で、人々は深夜まで抗議の声を上げ続けた。


14日午後8時過ぎ、参院本会議。法務委員会での「共謀罪」法案の審議打ち切りを決める「中間報告」動議の採決が始まった。

 名前を呼ばれた議員が順番に、議長席前の演台まで歩き、票を投じていく。約10分後、伊達忠一議長が投票結果を読み上げ、宣言した。「本動議は可決されました」

 与党議員の拍手に、野党議員のやじが交錯する。「議長、まったく説明がないじゃないか」「参院なんかなくなりますよ」「議長は与党と官邸の下請けか」

 国会会期末を控え、与党はこの日、「共謀罪」法案を本会議で直接採決する異例の「中間報告」を野党側に提案。野党側は対抗措置として、金田勝年法相の問責決議案を出し、午後6時半過ぎに参院本会議で、その趣旨説明が始まった。

 「我が国の民主主義の歴史に惨禍を残す」「なぜ強引に(『共謀罪』)法案を成立させようとするのか」「審議は尽くされていない」――。福山哲郎議員(民進)や山添拓議員(共産)ら野党議員が決議案の提案理由を説明しつつ、政府の国会運営について、時に声を荒らげて批判する。

 法案成立を急ぐ政府の姿は、プライバシー権に関する国連の特別報告者ジョセフ・カナタチ氏からも批判を浴びていた。

 だが、伊達議長は淡々と、「時間がありません」「早くしてください」。何度も演説の打ち切りを促した。午後8時、問責決議案が否決されると、与党議員から一斉に拍手が起きた。

 「中間報告」の動議が採決された後、仁比聡平議員(共産)は議場の外で言った。「委員会から審議を取り上げるという前代未聞の国会だ。審議をするのが国会議員の本来の姿なのに、国会を壊して『中間報告』に向かう。こんな本会議は国会とは言えない」

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「共謀罪」攻防 民進「権力のありよう正さなければ」

 政府・与党は14日、「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案を同日中にも参院本会議で採決する方針を打ち出した。同法案をめぐる与野党の攻防が激しさを増している。

●2時31分

参院本会議が再開。共謀罪法案の「中間報告」に関する動議が議題に

●2時00分

自民の二階俊博幹事長が党参院議員総会に出席し、「最後まで自民党らしく頑張って欲しい」と激励

●1時57分

内閣不信任案が自民、公明両党や日本維新の会の反対多数で否決

●15日0時12分

衆院本会議が再開。民進の安住淳代表代行が内閣不信任案の提案理由を説明。「共謀罪法案や加計学園、森友学園疑惑に共通しているのは、権力を持つ者がその権力を自らの保身や親しい人のために使っているという点だ。今のいびつとも言えるこの権力のありようをしっかりと正していかなければならない」

●23時33分

衆院本会議で延会手続き

●21時41分

参院本会議で山本順三・参院議院運営委員長の解任決議案を否決。参院本会議が延会に

●21時33分

民進、共産、自由、社民の野党4党が安倍内閣不信任決議案を衆院に提出

●20時01分

参院本会議で金田勝年法相への問責決議案を否決


●18時20分

参院本会議再開。民進の福山哲郎氏が金田勝年法相の問責決議案の賛成討論で「中間報告は究極の審議打ち切り。前代未聞で、考えられない暴挙。恥を知れと言いたい」

●16時27分

民進が山本順三・参院議院運営委員長の解任決議案提出

●15時00分

野党4党が松野博一文部科学相の不信任決議案を衆院に提出

●14時30分

参院の野党4会派代表が郡司彰参院副議長に申し入れ。郡司副議長「思いは共有しているので、議長に伝えたい」

●14時15分

参院の野党4会派代表が伊達参院議長に申し入れ。民進の小川敏夫氏「強行採決以上の強行採決」、伊達議長「各党各会派で話し合って」

●13時30分

自民、民進の参院国対委員長会談。榛葉氏「松山氏との友情も今日で終了。話し合いは決裂」

●13時30分

野党4党幹事長・国対委員長会談。民進の野田佳彦幹事長「あらゆる手段を講じて闘う」

●13時00分

自民、民進の参院国対委員長会談

●正午前

自民の松山政司、民進の榛葉賀津也の両参院国対委員長が会談。松山氏が、組織的犯罪処罰法改正案(「共謀罪」法案)の参院法務委員会での審議を打ち切り、本会議で直接採決する「中間報告」を14日に行うことを提案。榛葉氏「こんなの自殺行為だ、参議院の」と反発

●11時31分

参院本会議で山本幸三地方創生担当相への問責決議案を否決。伊達忠一参院議長「午後1時再開で休憩」と宣言

●11時14分

安倍晋三首相と自民の二階俊博幹事長らが首相官邸で会談

●10時00分

参院本会議

●8時00分

自民と公明の幹事長、国会対策委員長、参院幹事長、参院国対委員長が都内のホテルで会談


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維新の会・東徹氏 民進・福山哲郎氏を一喝「ルールぐらい守れ!」


 日本維新の会の東徹参院議員は14日の参院本会議で、民進、共産両党が提出した金田勝年法相への問責決議案の反対討論の冒頭、通告時間を超過し、長時間の賛成討論を行った民進党の福山哲郎幹事長代理に対し「議会のルールぐらい守れ!」と一喝した。

 東氏は13日の参院法務委員会の質問中に、民進、共産両党が問責決議案を提出したため、質疑が打ち切られたことにも触れ、「質問権を奪う卑劣極まりない行為はテロのような不意打ち。処罰に値する」と怒りは収まらなかった。

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文部科学省、15日に文書の再調査結果発表 自民・下村博文幹事長代行が認識

自民党の下村博文幹事長代行は14日のBSフジ番組で、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐり、文部科学省の内部文書とされる文書の再調査について「15日に結果が出てくると思う」と語った。そのうえで、「文科省はしっかりと説明を果たし、国民が納得するような対応をしてもらいたい」とも述べた。

 文科省と内閣府とのやりとりを記録したとされる内部文書には、獣医学部新設のための国家戦略特区の指定をめぐり「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などの文言があった。文科省の前川喜平前事務次官は記者会見で「文書は確実に存在した」と証言している。

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加計学園問題 内閣府も調査が必要だ

学校法人加計学園の獣医学部新設計画を巡る問題で、政府は内閣府を再調査しようとしない。行政がゆがめられたのではないかと疑われているのに、相変わらず解明に後ろ向きだ。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学園の計画である。政府の国家戦略特区制度を活用して愛媛県今治市に設ける。2018年4月に開学すれば、52年ぶりの獣医学部新設となる。

 内閣府から「官邸の最高レベルが言っていること」などと伝えられたとする文部科学省の記録文書については、前川喜平前事務次官が「確実に存在していた」と証言している。取材に対して複数の現役職員も存在を認め、文科省はようやく重い腰を上げた。

 文科省に圧力をかけたのではないか―。特区を担当する内閣府は疑惑の当事者だ。当然、再調査すべきなのに菅義偉官房長官は必要性を否定している。山本幸三地方創生担当相も「既に調査して『総理の意向』などとの発言は全くなかったと確認している」とした。

 「加計学園ありき」を疑わせる事実が明らかになっている。今治市が開示した職員の出張記録などによると、内閣府は学部の新設方針が決まるまでに、公式な会議とは別に少なくとも13回、今治市と特区について協議していた。現地視察もしている。

 同じく学部新設を要望していた京都府とは対応に差がある。京都府の担当者は、同様の協議が4回だったとする。内閣府側が現地を訪れることもなかったという。

 開学時期について、公表前に今治市と内閣府が認識を共有していた可能性も浮かんでいる。18年4月開学の方針が公表されたのは昨年11月中旬だ。一方、市は昨年8月の時点で内閣府職員から依頼を受けて作ったスケジュール表に18年4月と明記していた。

 内閣府は「スケジュールを提供したことはない」などと否定の言葉を繰り返すばかりだ。新設申請前の15年4月に今治市の幹部が首相官邸を訪れたとの指摘には「記録が保存されておらず、確認できなかった」とする。

 獣医学部新設は公平、公正に認められたのか。国民が判断するためには、内閣府側の記録も欠かせない。決定までの経緯、文科省や市などとの具体的なやりとりが分かる文書を示す必要がある。

 首相は自民党役員会で「政府として真摯(しんし)に説明責任を果たし、国民に丁寧に説明する努力を積み重ねる」と述べた。ならば、内閣府も再調査すべきである。 

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加計学園文書の再調査結果、15日にも公表 文科省

安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設をめぐり、文部科学省が内閣府から「総理のご意向」と言われたなどと記録された一連の文書について、文科省は再調査結果を15日にも公表する。


「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと書かれた一連の文書について、松野博一文科相は5月19日に「存在は確認できなかった」と発表した。だが、限定的な調査への批判が高まったことや、前川喜平・前文科事務次官や現役の同省職員から文書が存在したとの証言が相次ぎ、松野文科相は「国民の声が多く寄せられた」として調査のやり直しに追い込まれていた。

 再調査では、担当課以外の関係部署にも範囲を広げているが、文書の存否だけでなく、記載内容が事実かどうかが解明されるかも焦点だ。関係職員への聞き取りの結果などは松野文科相に随時、報告されているという。だが、再調査の結果発表が国会会期末ぎりぎりになることで、調査結果についての国会審議の時間はほとんどないことになる。
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