「瑞風」おもてなしの準備着々 岡山駅

瑞風 列車


 17日に運行を始めたJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」。京都・大阪と下関を発着駅に山陽・山陰を巡る全5コースがあり、岡山県内へは21日、岡山駅に初めて乗り入れる。「走るホテル」の異名を取る列車の運行を地域振興につなげようと、地元関係者らはおもてなし準備を着々と進め、岡山の魅力をアピールするチャンスと期待を膨らませている。 「歴史や自然など園の良さをしっかり伝えたい」。後楽園(岡山市)で制服姿の瑞風専任ガイド女性(47)は張り切る。 専任ガイドは、立ち寄り先となる同園が昨秋から養成。県郷土文化財団研究員から週1回、園に関する知識から言葉遣い、立ち居振る舞いまで案内・接客技術の指導を受けてきた。 乗客は、藩主の居間として使われた延養亭の特別公開により園内随一とされる眺望を楽しめるほか、能舞台で伝統芸能「備中神楽」も鑑賞できる。同園の野崎正志所長は「ワンランク上のおもてなしを追求するいい機会。サービスの向上が一般客の増加につながる波及効果も期待できる」と力を込める。 瑞風は1泊2日の片道、2泊3日の周遊コースがあり、県内へは周遊コースで岡山駅に、片道の「山陽下りコース」で倉敷駅に停車する。倉敷市内への立ち寄りは24日が初日となり、美観地区や大原美術館、原則非公開の大原家旧別邸・有隣荘などを見学する。 「瑞風の立ち寄り観光を機に倉敷ファンを増やしたい」と、倉敷観光コンベンションビューローの丹下恒夫専務理事。 岡山を代表する銘菓もアピールする。後楽園の能舞台で「大手まんぢゅう」(大手饅頭伊部屋)、美観地区内では「むらすゞめ」(橘香堂)を堪能してもらう。大手饅頭伊部屋(岡山市北区京橋町)は沿線の工場で横断幕を掲げて瑞風を出迎える予定で、大岸聡武常務は「会社を挙げて歓迎したい」と話す。 瑞風車内には、備前焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)伊勢崎淳氏=備前市=の茶わんや花入れが置かれ、倉敷市・鷲羽山沖の瀬戸内海といった中国地方の風景を切り取った写真家の故緑川洋一氏=瀬戸内市出身=の作品も飾られる。 JR岡山支社の森本卓寿支社長は「岡山をはじめ、中国地方の魅力をいっぱいに詰め込んだ列車。今後も地元との連携を深め、地域の素晴らしさの発信や再発見へとつなげていきたい」と話している。