大蛇の影絵劇 夏祭りに合わせ奉納 岡山

 岡山県美咲町の三宮八幡神社(同町西垪和、東垪和)の氏子らによるグループが31日に行われる同神社の夏祭り・夏越(なごし)の大祓(おおはらえ)に合わせ影絵を奉納する。3年目となる今回は、古事記に登場する「八岐大蛇(やまたのおろち)」を上演予定で、神楽の本場・石見神楽(島根県)を参考に作ったミニチュア版の大蛇を舞台で躍動させる。 グループは、6年前まで県内外で公演活動をしていた影絵劇団「めだか屋」が母体。主宰していた高井和子さん(73)と満雄さん(72)夫妻=同町=をはじめ、同神社禰宜(ねぎ)の矢木公久さん(46)、箏奏者の有美さん(46)夫妻=同町、同町や真庭市に住む氏子や同劇団のかつてのメンバーら6人が加わった。 「めだか屋パート2」として2015年から夏祭りに合わせて神話などをテーマにした作品を上演してきた。 「八岐大蛇」の上演に当たり、高井、矢木両夫妻は4月、島根県浜田市を訪問し、神楽上演やちょうちんのような構造で伸縮でき、大蛇の動きを表現する蛇胴(じゃどう)の製作工房などを見学した。 その経験を生かして高井満雄さんが、現地の石州和紙を使って直径11センチ、長さ2・5メートルの蛇胴を約2カ月かけて手作り。今月初旬からメンバーが高井さんの影絵工房に集まり、通し稽古で人形の動きと朗読、BGMのタイミングを確認している。 上演のクライマックスは、須佐之男命(すさのおのみこと)が稲田姫を救おうと八岐大蛇と格闘する場面。通常は平面的な影絵が、スクリーン(縦80センチ、横120センチ)から飛び出す大蛇や須佐之男命をブラックライトで幻想的に浮かび上がらせることで、3D映像を見るような臨場感を味わえる。 上演は同神社拝殿であり、子どもとキツネの交流を描いた宮沢賢治作の「雪わたり」との2部構成。午後7時半に開演(開場同7時)し、上演時間は合わせて40分程度。入場無料。 禰宜の矢木さんは「格闘シーンが最大の見どころ。神聖な場所で神話の世界に浸ってもらいたい」と話している。 拝殿前には無病息災や家内安全を祈願する茅(ち)の輪が設けられ、一日中参拝できる。