岡山 <高梁市>工事代金1億円未払い 口頭で発注、事務処理怠る

 高梁市は21日、2012〜16年度に市が発注した205件の工事について、19業者への代金計1億255万円が未払いになっていると発表した。職員が業者に口頭で工事を発注し、契約書を交わすなどの事務処理を怠っていたことが原因という。市は業者と正式に契約し、代金を支払うための補正予算案を9月市議会に上程する。

 市によると、今年6月に業者から未精算の工事があるとの指摘があり、発覚した。全庁的に調査したところ、農林、建設、上下水道の3課で未払いがあった。

 205件は、災害復旧のための道路修繕や仮設道路の整備、水路の修繕など。業者それぞれの代金は56万〜825万円で、最も多い業者で36件が未払いになっていた。いずれも金額が低いことや緊急性が高いことなどを理由に入札が不要な工事だった。

 市では11〜13年に大雨災害が相次ぎ、緊急のため職員が業者に口頭で工事を発注することが常態化。14年以降も繁忙を理由に是正されなかった。一方、業者からも正式な請求は一度もなかったといい、市は「いずれ支払ってくれると思っていたのではないか」としている。調査の結果、業者への利益供与や市への損害はなかったというが、関係職員7人の処分を検討する。

 21日の市議会全員協議会で、近藤隆則市長は「不適切な事務処理は市民の信頼を裏切るもので、深くおわび申し上げる」と謝罪した。