文化遺産や自然生かした観光議論 岡山 「国際観光シンポジウム」



 国連の「持続可能な観光国際年」(2017年)を記念して岡山市で開催中の「国際観光シンポジウム」(観光庁、同市主催)は2日目の16日、メインのシンポジウムを岡山コンベンションセンター(同市北区駅元町)で実施。講演やパネルディスカッションを通じ、文化遺産や自然を生かした観光振興について議論を深めた。 国連世界観光機関(UNWTO)のコルドラ・ヴォルムター国際関係機関連携室部長が基調講演し、16年に12億3500万人だった世界の海外旅行者は、30年に18億人に達するとの予測を紹介。観光客誘致は経済的な波及効果だけでなく、交流や相互理解を深めるとし、「世界の平和や繁栄にもつながる」と意義を強調した。 観光客の呼び込みに向けては独自の強みのアピールや文化遺産の活用を提案、「旅行者にとっては『本物を見る』ことが重要。訪れる人が増えて収入が入れば、遺産の保存もできる」と説明した。観光客と接することで、地域の文化や歴史に誇りを持つ住民が増えることも指摘。地方自治体に対しては、中央政府や民間との連携促進を求めた。 大森雅夫市長も講演し、岡山城をカラフルなマスキングテープで装飾するなどの取り組みを紹介。歴史や文化遺産の活用、自然と市民の関わりをテーマにした討論もあり、アジアやアフリカなど海外16カ国を含め、行政や観光関係者ら約300人が聞き入った。 シンポは17日までで、最終日は林原美術館などを視察する。