岡山・津山で不審火相次ぐ 今年に入り21件、すべて人気のない建物、夜間に…

 岡山県津山市では今年に入り、計21件の不審火が相次いで発生、住民は不安を募らせている。このうち24日夜は津山市八出の空き家から出火。木造瓦ぶき2階建て約180平方メートルを全焼し、約40分後に鎮火した。けが人はなかった。建物は約10年前から空き家状態で、津山署は放火の可能性もあるとみて捜査している。

 現場はJR津山駅から東へ約1・5キロ、吉井川南岸で、住宅が点在する場所。吉井川北岸の会社事務所にいた男性(52)が24日午後9時20分ごろ、火が出ているのを見つけ、119番通報した。

 同市では、今年に入り、津山駅半径約2・5キロの地域を中心に不審火が相次ぎ、9月中旬以降は、毎週発生。すべて人気のない空き家か倉庫、河川敷や雑木などで、夜間に起きている。

 市消防団は、市内全方面隊を動員して10月8日から夜間パトロールなど、特別警戒を実施。パトロール中の発見で初期消火につながった例もあり、23日までの予定を延期して11月8日まで強化することを決めた。

 市危機管理室は「市民の安全安心を守るため、総力をあげて警戒を強めたい」としている。


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収まらぬ津山の不審火に住民不安

 津山市の吉井川南岸地域で、空き家や倉庫などを狙った放火とみられる連続不審火が収まらない。特に9月13日以降、今月24日までに7週連続で発生し、1月以降では20件に上る。容疑者として浮上してくるのは、地域の事情をよく知る人物。警察や消防、消防団は警戒を強化するが、犯行がやむ気配はない。JR津山駅周辺を中心に住宅が密集し、空き家が点在する地域は多く、住民の不安は募るばかりだ。 「夜に目が覚める。安眠できない」 「脚が悪いので、もし近くで火災が起きたらと思うと不安で仕方ない」 9月から3件の不審火が起きた津山市八出の住民は消火活動を見守りながら、こう漏らした。


■容疑者に土地勘? 津山市内の連続不審火は1月18日に同市八出の空き家が全焼する火災以降続いている。3月6件、4月5件と続発した後、いったん収まったかにみえたが、9月から再び相次いだ。 津山署や津山圏域消防組合の発表を基にまとめると、今月24日までで件数は20件(6月の1件は失火と判明)に上った。現場が半径2・5キロ圏内に集中▽標的は空き家や倉庫といった普段火の気がなく、人の出入りが少ない建物が中心▽午後7時以降の夜間に出火—といった特徴から、津山署は放火の疑いも視野に捜査を進めている。 容疑者として浮上してくるのは、地域の事情をよく知り、土地勘のある人物だ。 9月30日に津山市横山の使っていないアパートが全焼した現場は、入り組んだ場所にあり、細い路地を通らなければたどり着けない。他の現場でも「住民しか知らないような場所。下見でもしておかなければ空き家とは分からない」といった声が聞かれる。 同署には、付近住民から火災発生前後の不審者情報も寄せられている。捜査関係者は「全てが同一犯とは限らない。単独犯、複数犯の両面からも調べている」とする。


■自警を強化 連続不審火を受け、住民らは自警を強化している。 津山市消防団は非常事態と捉え、吉井川南岸地域に位置する同市西新町から同市押渕まで約6キロを夜間巡回。今月8日からは、担当を市内に八つある全方面隊に拡大した。12、18日には警戒中の団員が火災を発見し、被害を最小限に食い止めた。それでも収まらない不審火に、市消防団は11月8日までの警戒延長を決めた。 津山駅前町内会は空き家や消火器設置場所、避難場所などを明記した防災マップを作り、全108世帯に配った。小島一三町内会長(84)は「町内で把握されていない空き家もあると思う。不安だが、住民みんなで気を付けたい」と話した。 津山圏域消防組合の八木清隆危機管理監は「火災が発生し、風が強いと近隣に燃え移る可能性がある。空き家や倉庫などの持ち主の確認とともに、付近住民には燃えやすい物を外に置かないようにしてほしい」と呼び掛けている。

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