岡山 中国道の母娘死亡事故 スペアタイヤは固定器具ごと外れたか


岡山県の中国自動車道で、トラックから落下したスペアタイヤにトレーラーが乗り上げて横転し、路肩に避難していた親子2人が巻き込まれて死亡した事故で、スペアタイヤを車体に固定するための器具がタイヤと一緒に現場に落ちていたことが捜査関係者への取材でわかりました。警察はタイヤが器具ごと外れたと見て、器具が取り付けられた経緯や整備の状況について詳しく調べています。

先月18日、岡山県津山市の中国自動車道で、落ちていたタイヤに乗り上げて車が動かなくなったため、路肩に避難していた広島市安芸区の中村美香さん(49)と、長女で大学4年生の亜美さん(21)が同じタイヤに乗り上げて横転した大型トレーラーにはねられて死亡しました。

落ちていたのは、広島県に本社のある運送会社の大型トラックから落下したスペアタイヤでしたが、その後の調べで、事故現場からスペアタイヤを取り付けるためのチェーンのほか、車体に固定するための器具も見つかっていたことが捜査関係者への取材でわかりました。

国土交通省によりますと、スペアタイヤは法律上、荷物に位置づけられているため、3か月に1度の点検や出発前の安全点検で固定状況を確認することは義務づけられていません。

警察は、スペアタイヤが車体に固定する器具ごと外れたと見て、器具が取り付けられた経緯や整備の状況などについて詳しく調べています。
【運送会社 事故を受けスペアタイヤの固定状況を点検】国土交通省は、全国の運送会社などにスペアタイヤの固定状況を調べるよう指示しています。

岡山県トラック協会は、事故の2日後の先月20日に加盟する1262の事業所に同様の点検をすでに指示していて、新見市にある「井倉運輸」では、所有する145台すべての大型トラックの緊急点検を行っています。

2日は、ドライバーが車体の下にもぐり込んで、スペアタイヤを固定するためのボルトが緩んでいないかや、サビや腐食がないかなどを確認していました。これまでの点検では、2台のトラックでスペアタイヤを取り付けるためのチェーンが緩んでいたということで、すぐにしっかりと固定したということです。

また、今回の事故を受けてこの会社では、出発前の点検でドライバーが目視などで固定状況を確認することにしたほか、3か月に1度の定期点検では、スペアタイヤを取り付けるための器具の点検も依頼することにしています。

井倉運輸の林田誠専務は「スペアタイヤが落下するとは考えてもいなかった。同じような事故を繰り返さないために、しっかりと点検したい」と話していました。