岡山、日本三大奇祭のひとつ「西大寺会陽」

 日本三大奇祭のひとつ、岡山の裸祭りです。

 500年余りの歴史をもつ裸祭り、「西大寺会陽」が17日夜行われました。午後10時。約1万人の裸の群れに、香をたきこめた2本の宝木が投げ入れられます。勇壮な争奪戦が繰り広げられ、今年の福を授かる「福男」が決まりました。西大寺会陽が終わると、備前平野に春が来ると言われています。

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熱き男 真剣勝負 ◇岡山 西大寺会陽 1万人激突

 室町時代から伝わる奇祭「西大寺会陽えよう」が17日、岡山市東区の西大寺観音院で行われた。締め込み姿の男衆約1万人が体を激しくぶつけ合い、福を授かるとされる「宝木しんぎ」を奪い合った。

 この日、岡山市内は気温が2・2度まで下がり、男衆は「わっしょい」と声を上げながら「垢離取場こりとりば」で体を清めたあと、境内を練り歩いて本堂に集まった。

 午後10時、高さ4・5メートルの本堂2階から2本の宝木(直径4センチ、長さ20センチ)が投げ込まれると、男衆は福を求めて手を伸ばし、波のように右へ左へとうねった。投下されてから約10分後には、宝木が出たというアナウンスが流れた。

 初めて見に来た兵庫県姫路市、公務員寺田幸市さん(51)は「宝木を奪い合う様子は迫力があって感動した」と話していた。

 宝木を手にして今年の「福男」に選ばれたのは、「柏原グループ」と「林グループ」の計6人。同観音院近くの岡山商工会議所西大寺支所(岡山市東区)に姿を現すと、仲間に祝福されながら喜んだ。

 1本目を獲得したのは、「柏原グループ」(三宅凌雅さん、柏原直行さん、柏原忠幸さん)。県立玉島高校3年の三宅さん(17)は、グループ約20人で本堂の大床に陣取り、宝木が三宅さんの手に渡ると、締め込みの中に隠して本堂を抜け出し、無我夢中で走って仁王門を出た。三宅さんは初参加で、「勉強など色々なことに挑戦する1年にしたい」と声を弾ませた。

 2本目は「林グループ」(横山睦致むつよしさん、小林壯吉さん、高田和明さん)。会社員の横山さん(53)は、リレーで回ってきた宝木を受け取ると、気付かれないように仲間数人に囲ってもらい届けた。同グループからの福男はこれで3年連続。横山さん自身が選ばれるのは初めてといい、「『いつかは自分も』と思っていたのでうれしい。みんなに福を分けられる1年にしたい」と話した。
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