岡山 後楽園と岡山城17年度入場者増   (過去40年で最多  イベント:岡山城の「烏城灯源郷」と後楽園の「幻想庭園」が半数越え)
後楽園 から みた岡山城 秋

 
 岡山県と岡山市は、後楽園と岡山城の2017年度入園・入場者数をまとめた。後楽園は前年度比0・6%増の88万7303人と過去15年で最多。岡山城も2・6%増の35万9356人とこの40年で最も多かった。アジアを中心とする外国人客の増加や、後楽園と岡山城の連携イベントが寄与したようだ。 後楽園—台北線増便で外国人客けん引 県が管理する後楽園の入園者は4年連続で増加。入園料収入も前年度比1・8%増の2億2164万円と5年連続で増えた。 外国人入園者は21・1%増の15万349人と過去最多を更新。国・地域別では台湾が54・0%で最も多く、岡山—台北線が17年度に週3往復から7往復に増えたことが影響したとみられる。次いで韓国(14・0%)、フランス(4・6%)—の順。 月別で見た外国人客は、中国などの春節(旧正月)がある2月が56・6%増の1万86人と大幅に伸びた。 後楽園入園者は、新幹線が岡山まで開通した直後の1972年度の208万人がピーク。その後は下落傾向にあり、94年度に100万人を割り込んだ。2014年度からは岡山城を管理する岡山市と連携を強化。岡山城「烏城灯源郷」と後楽園「幻想庭園」の両ライトアップイベントの同時開催などで客数は回復基調にある。 県はさらなる集客に向けて18年度、後楽園内での和文化体験プログラムを拡充し、既存の折り紙作りに加えて茶道や墨絵も検討する。岡山市とは共同で幻想庭園と烏城灯源郷を紹介する外国語のちらしも作る。 県都市計画課は「外国人観光客は地方に目を向け始めている。この好機を生かし、園の魅力を一層磨いていきたい」としている。 岡山城—共通券利用者9・1%増 岡山城の入場者は、1966年の天守閣再建以来でみても歴代4位となった。 月別では、観光企画の一環で天守閣をマスキングテープで装飾した4月が13・0%増の3万7309人と伸び率が最も大きく、7、8、10月を除き前年度を上回った。入場者数のトップは大型連休のある5月の4万5684人で、夏休みとなる8月の4万3389人が続いた。 外国人は6万3678人で過去最多。訪日ブームを背景に42・8%増と急伸し、統計を取り始めた14年度から約3倍になった。最多は台湾からで、約1万8千人だった。 入場者のうち、後楽園との共通入場券利用者は9・1%増の18万2290人。岡山城の「烏城灯源郷」と後楽園の「幻想庭園」の同時開催効果もあり、全体に占める割合は50・7%と初めて半数を超えた。 市は18年度、築城主・宇喜多秀家をテーマにした常設展示や天守閣の夜間貸し切り利用を始める計画で、市観光振興課は「いっそうの魅力アップに努め、入場者の増加につなげたい」としている。 市は16年度に策定した観光振興アクションプランで、20年度の天守閣入場者数を47万4千人に増やす目標を掲げている。


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岡山 <岡山城>「天守閣で酒宴」実現 一般貸し出しへ

岡山 <岡山城>「天守閣で酒宴」実現 一般貸し出しへ

 岡山城天守閣が7月から、夜の閉館時間に一般貸し出しされる。一部のフロアには飲食物の持ち込みも可能で、会議や宴会での利用を想定している。全国的にも珍しい取り組みで、天守閣を所有する岡山市の大森雅夫市長は「天守閣が文化財でないということから逆転の発想で生まれた企画。ぜひ活用して」と話している。

 貸し出されるのは、天守閣の地階から最上階の6階までの全フロア延べ約1600平方メートル。通常の観覧時間が終了した午後5時半〜午後9時半の4時間利用することができる。1日1組限定で、定員は100人。1、5、6階にはアルコール類を含む飲食物を持ち込める。料金は1回7万円。照明代1万800円も原則必要になる。また、別途料金を支払うことで、金びょうぶや音響機器を借りることができ、よろいかぶとや着物の着用体験もできる。

 天守閣はこれまでも国際会議に限って貸し出してきたが、対象を一般にまで拡大した。また、天守閣の他に不明門(あかずのもん)の内部に上がれるスペース約190平方メートルも新たに貸し出す。午前9時〜午後9時半の数時間単位で利用が可能だ。

 利用開始は7月1日から。申し込みや問い合わせは、おかやま観光コンベンション協会(086・227・0015)へ。

 ◇「非文化財」逆手に

 現在の場所にある岡山城は、安土桃山時代に宇喜多秀家が城郭を建造したのが始まり。明治時代に大半が取り壊され、1945年の岡山空襲で焼失したが、66年に復元された。現在の天守閣は鉄筋コンクリート造りで6階建て。黒色の外壁が特徴で、「烏城(うじょう)」の愛称で親しまれている街のシンボルだ。

 ここ最近は入場者数が増え、2016、17年度と2年連続で年間入場者数が35万人を超えた。10年前はその半分程度しかなく、岡山後楽園の入園者数と比べると4倍の格差があった。その原因の一つに、岡山城を所有する市と、後楽園を所有する県の連携不足が指摘されていた。そこで市と県は14年に連携推進協議会を設立。岡山城と後楽園のライトアップ日時を合わせたり、両スポットを結ぶシャトルバスを走らせたりし、連携を強めてきた。

 17年には、JRと県が実施した観光キャンペーンの一環で、天守閣の外壁を大判のマスキングテープで彩った。また、市は同年、宇喜多秀家らのよろいかぶとやイラストなどを天守閣内に並べるイベントを開いた。よろいかぶとは実物をモデルに創作したもので、本物にはこだわらない発想で集客を実現している。

 天守閣の貸し出しは、近現代に復元されて文化財としての制約がない建物だからこそ可能な取り組みだ。全国でも、戦後建てられた模擬天守の平戸城天守閣(長崎県平戸市)は昨年、1組限定で1泊できる企画を実現した。大森雅夫・岡山市長は「今まで観光施設だった岡山城だが、これからは市民、県民が自ら活用する施設になれば」と期待する。

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 ◆岡山城天守閣の年間入場者数(岡山市調べ)

2006年度 14万9617人

2007年度 18万3169人

2008年度 16万7710人

2009年度 19万 624人

2010年度 18万3664人

2011年度 19万7888人

2012年度 19万9606人

2013年度 19万7268人

2014年度 23万5276人

2015年度 29万2260人

2016年度 35万 324人

2017年度 35万9356人

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