両備はスト「めぐりん」新路線運行開始  (両備グループ「両備バスなど」 VS 八晃運輸「めぐりん」)

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岡山市の八晃運輸は、27日朝、循環バス「めぐりん」の新路線益野線の運行を始めました。
両備グループはこれに反発していて、27日も労働組合が運賃を受け取らないストライキを行うなど、混乱の中での運行開始になりました。

午前7時ごろ、岡山市東区の停留所から出発した八晃運輸の循環バス・めぐりんです。
新路線、益野線の運行が始まりました。
岡山市中心部から東区西大寺までの、1周約24kmを循環する路線で、運賃は東山より西のエリアが100円、東のエリアが250円の均一です。
平日は、約15分間隔で51便が運行されます。
この区間では、長年、両備バスの岡山西大寺線が運行してきました。
新路線の運行初日、利用者の反応は様々です。
めぐりんの新路線に反発する両備バスの労働組合は、26日から、岡山西大寺線で運賃の受け取りを放棄する「集改札スト」を行っています。
27日は岡山電気軌道の路面電車と両備バスの合わせて539本で終日続きます。
当初予定されていた、運休を伴うストは回避されました。
新規参入をめぐっては、両備グループが過当競争で大幅な減収が見込まれると赤字路線の廃止を発表。
その後撤回しましたが、現在も許認可に不備があったとして、国や岡山市に取り消しを求めるなど混乱が続いています。
公共交通の専門家は、問題提起には一定の評価を示しています。
めぐりんの運行初日に大々的に行ったストについて、労働組合は関連を否定しませんでした。
市民が望む安定した公共交通の維持に向けて、行政も積極的に関わっての前向きな解決が待たれます。

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「めぐりん」岡山・益野線運行スタート 両備バスは集改札スト

八晃運輸(岡山市中区倉益)は27日、市内循環バス「めぐりん」の新路線・益野線の運行を始めた。市中心部と東区西大寺地区を結ぶ1周23・9キロ。両備ホールディングス(HD、同市北区錦町)の両備バス労働組合は、競合する西大寺線で終日ストライキを行ったが、乗客から運賃を取らない「集改札スト」により、利用者が通勤や生活の足を奪われる事態は回避された。

 益野線は新橋の停留所(同市東区西大寺中野)を発着点に、山陽女子中学・高校前や岡山駅前などを経由し、平日に51往復、休日に48往復する。運賃は市中心部(岡山駅前―東山間)100円、それ以外は250円(小学生130円)。

 この日、記念行事はなく、午前7時前に始発のバスが乗客を乗せて西大寺地区を出発し、約50分ほどで岡山駅前に到着した。八晃運輸の成石敏昭社長は「健全な競争によって市場を活性化させ、利用者により充実したサービスを提供していきたい」とコメントした。

 集改札ストは、両備バス労組のほか、同じ両備グループの岡山電気軌道(同市中区徳吉町)の岡山電気軌道労働組合が路面電車全2路線で実施。車内アナウンスや張り紙で、終日運賃を取らないことを知らせた。

 両労組は益野線の開設で会社の収益が下がり、組合員の雇用と賃金を維持できなくなるなどと主張している。23日に西大寺線で運休ストを行い、26日以降も計画していたが、会社側が3年間は賃下げしないことなどを約束したため、利用者に配慮して集改札ストに方針転換した。

 両備バス労組の高木秀治執行委員長は「今後は利用者に迷惑を掛ける形でのストはしない」としている。

 益野線を巡っては、両備HDと岡電が国の認可取り消しを求め、東京地裁に提訴した。

「めぐりん」岡山・益野線運行スタート 両備バスは集改札スト
並んで設けられためぐりん益野線と両備ホールディングス西大寺線の停留所=岡山市東区西大寺中野
 岡山市の中心部と西大寺地区を結ぶ八晃運輸(同市)の循環バス「めぐりん」益野線が開設された27日、両備グループ(同市)の両備バス、岡山電気軌道の両労働組合は競合路線などで運賃を終日無料にする「集改札ストライキ」に踏み切った。新規参入に伴う組合員の雇用や賃金の不安解消を会社側に促す異例の争議行為。利用者の間には路線開設の歓迎ムードと戸惑いが交錯した。

 「マイカー通勤は駐車場代がばかにならない。運賃が安く、バス通勤を検討したい」と話すのは同市中区、女性会社員(34)。最寄りの益野線バス停で小学4年の娘(9)と“お試し”でめぐりんに乗り込み、JR岡山駅前で下車すると「始発だからか早く着いた」と笑顔を見せた。同駅前から乗った同市北区、会社員男性(53)は「自分の地域でも運行してくれるとうれしい。高齢化で車に乗れない人は増えるだけに、参入によるサービス向上を歓迎したい」と話した。

 ストを決行したこと自体や運賃を取らない手法には疑問の声も。通勤で両備バスを利用した同市東区、会社員(53)は公共交通の在り方を問題提起したいという両備側の狙いに理解を示しながらも「利用者が不安を抱く手法が取られたことには賛同できない」。同じバスの同市中区、専門学校生(19)は「会社同士で話し合い、行政も調整してほしい」と求めた。

 両備グループのバスは28日以降、同じく集改札ストを行った路面電車とともに平常運行となる見込み。八晃運輸と同グループの停留所が並ぶ同市東区益野町でバスを待っていた地元の女性(60)は「本数が多いと待ち時間が少なくて済む。利用者に会社の事情は関係なく、お互い共存する道を目指してほしい」と訴えた。
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「運賃受け取りません」バスと路面電車でスト 両備労組


 ドル箱路線で他社と競合すると、ほかの赤字路線が維持できない――。岡山県を中心にバス事業などを展開する両備グループ(岡山市)が、新規参入を国が認可したのは違法だと訴えている問題で、競合他社の八晃(はっこう)運輸(同市)のバスの運行が27日、始まった。両備の労働組合は抗議のため、バスと路面電車を運賃無料で運行する「集改札スト」を同日朝から始めた。

 午前6時55分、岡山市東区。八晃の循環バス「めぐりん」の益野線の始発が出発した。両備の基幹路線・西大寺線に沿う形でJR岡山駅に向けて走る。市中心部は運賃100円均一など両備の路線に比べて30〜55%安い。利用した岡山市中区の会社員女性(34)は「普段は車通勤だが、めぐりんの方が安い。バス通勤に切り替えたい」と話した。

 岡山市中心部で循環バスを走らせてきた八晃は昨春、この路線への参入を国に申請。両備は今年2月、年3億円近い減収になって全路線の維持が難しくなるとし、赤字31路線の廃止届を出した。3月に取り下げたが、今月17日には国土交通省に認可の取り消しを求めて提訴するなど反発を強めている。

 両備グループの両備バス労働組合(約480人)と岡山電気軌道労働組合(約180人)は27日、西大寺線と市中心部を走る路面電車全線で集改札ストを実施。料金箱に「運賃収受を行いません」と書いた布がかけられた。路面電車を通学で利用していた中学2年生の秋山創太さんは「無料になってうれしいけど、会社の経営が悪くなって路面電車がなくならないか心配」と話した。

 両備グループの小嶋光信代表は27日、「バス路線網が消えていく過当競争をあおる認可は理解できない」とのコメントを出した。同グループの広報担当者は「今回の間違った認可について改めるよう、今後も裁判などで国に訴えていく」と話している。

 八晃運輸は「担当者が不在のためコメントできない」としている。

 奈良県立大の新納克広教授(交通論)は集改札ストについて、「競合他社にダメージを与える効果を狙っていると考えられる。行政側への不満をアピールする意味もあるだろう」との見方を示す。
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両備バス労組のストに知事が疑問

 岡山県の伊原木隆太知事は27日の定例会見で、両備バス労働組合による西大寺線のストライキについて、「学校の休校などで困る人もいる。本来、味方にすべき人たちの生活を混乱させることが本当に良いやり方なのか」と述べ、疑問を呈した。 知事は、23日の運休ストやその後に集改札ストに切り替えた経緯などについて「どういう理由でストをやり、その後に中止や縮小をすることになったのか、ロジック(論理)がよく分からない」とも指摘した。一方、県としての対応策については「現在も地域をまたぐ路線には補助をしている。(地方公共交通の在り方などを検討する)市町村ごとの協議会を補完するようなことをやる」と述べるにとどめた。

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