アメフト危険タックル問題、日大「近日中に直接謝罪」
アメフト 日大

 日大アメリカンフットボール部の守備選手が悪質な反則をした問題で、日大アメフト部は、近日中に、けがをした関西学院大の選手に直接謝罪する意向を示しました。

 日大アメフト部が17日夜、発表したコメントでは、けがをした関西学院大の選手に「心より謝罪いたします」としたうえで、近日中に「責任者」が直接謝罪する意向を示しました。

 関西学院大は、日大アメフト部の内田正人監督などの謝罪を求めています。

 今回の反則行為については「指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた」「指導方法に関し、深く反省しております」としました。

 問題発覚後、日大の内田監督は公の場に姿を見せず、このコメントでも、日大は会見予定について触れていません。
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関学大監督「日大監督は被害選手に謝罪を」

 アメリカンフットボールの定期戦で日本大の選手が関西学院大の選手に悪質な反則行為をした問題で、関学大アメフト部は17日、兵庫県西宮市内の同大学で記者会見し、抗議文書で求めた日大の内田正人監督からの直接の謝罪がないことに、関学大の鳥内秀晃監督は「まず(けがをした)学生と保護者に謝罪すべきだ」と不満を示した。

 会見では15日に日大から受け取った抗議文書に対する回答書を公表した。反則をした選手が内田監督の指示に従ったという趣旨の話をしていることが明らかになっているが、回答書では「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた」と監督による指示を否定。その上で反則行為をするに至った経緯の確認を続けており、24日をめどに再回答するとした。

 日大選手は、パスを投げ終えて無防備な状態だった関学大選手に背後からタックルして負傷退場させ、その後もラフプレーを繰り返して資格没収(退場)となった。鳥内監督は「私なら(最初の反則行為で)ベンチに下げる」と、プレーを続けさせた内田監督の姿勢を問題視。「あのプレーは非常に悪質。それを認めるとスポーツではなくなってしまう」と憤った。

 関学大の小野宏ディレクターは「今の両チームは決定的に信頼関係が崩壊している」と話し、日大や関東学生連盟による真相究明を要求。「そこで納得がいかない限り、この問題は解決しない」と述べた。
日大から関学大への回答全文 アメフト違反行為問題

関西学院大学体育会アメリカンフットボール部

部長 池埜聡様

ディレクター 小野宏様

監督 鳥内秀晃様

日本大学保健体育審議会アメリカンフットボール部

部長 加藤直人

監督 内田正人

第51回定期戦における弊部選手による反則行為に係る貴部からの申し入れに対する回答について

平成30年5月6日に行われました定期戦において発生した弊部選手の反則行為について、負傷された貴部選手にお見舞い申し上げますとともに心より謝罪いたします。そして、一日も早い回復をお祈り申し上げます。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫(わ)び申し上げます。

平成30年5月10日付で送付いただきました貴部からの申し入れに対し、以下のとおり回答いたします。

1.弊部選手の前半第1攻撃シリーズ1プレー目の反則行為に対するチームとしての見解及び行為を受けた貴部選手並びに保護者へのチームからの正式な謝罪について

弊部としましては、アメリカンフットボール公式規則に掲げるフットボール綱領を尊重しており、意図的な乱暴行為を行うこと等を選手へ教えることは全くございません。

弊部の指導方針は、ルールに基づいた「厳しさ」を求めるものでありますが、今回、指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていたことが問題の本質と認識しており、指導方法に関し、深く反省しております。

弊部選手による反則行為を受けました貴部選手及び保護者の方に心よりお詫び申し上げます。

2.弊部監督が試合終了後にメディアに対して出したコメントに対する見解と同コメントの撤回及び指導者として当該事案が発生したことについての正式な謝罪について

上記1で御説明いたしましたとおり、弊部は規則に基づいた指導を行っております。同コメントは、もとより規則に違反してもよいと意図するものではなく、選手に「厳しさ」を求めていることから発したものでした。

しかし、真意が伝わらず反則行為を容認する発言と受け取られかねないものであり、本意ではありませんため、ここに、試合終了直後にメディアに対して発した弊部監督のコメントは、撤回させていただきます。

当該事案が発生したことについて、ご迷惑をおかけしました関係者の皆様に指導者として謝罪いたします。

また、一部メディアで報道されております、当日のミーティングにおける弊部監督が選手に対して発した発言も、規則に違反し貴部選手を負傷させる意図は全くなく、選手全員に「厳しさ」を求め、士気を上げるために行ったものでした。

繰り返しになりますが、ご迷惑をおかけしました関係者の皆様にお詫びいたします。

※「事実」「経緯」等のチームとしての見解について

弊部として把握する事実、当該プレーに至った経緯、それまでの指導内容、試合後の対応等についてですが、速やかな回答が必要なことは十分に認識しておりますが、弊部において現在、確認作業及び再発防止策の策定を行っております。恐縮ですがお時間をいただき、平成30年5月24日(木)を目処(めど)に回答させていただければと存じます。何とぞ今しばらく猶予をいただきますようお願い申し上げます。

重ねてではございますが、このたびの反則行為により負傷された貴部選手並びに保護者の方に対し、心より謝罪いたします。また、ご迷惑をおかけしました貴部関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。

今後、二度とこのような行為が行われないよう、ルール及びスポーツマンシップ教育・指導の徹底を図ってまいりますことをお誓い申し上げます。以上
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日本中で日本大への批判氾濫…アメフト悪質タックル「不誠実対応」に青学の原監督が持論

 6日に行われた関西学院大学と日本大学によるアメリカンフットボール定期戦で、日大の選手が悪質なタックルをして関学大の選手を負傷させたことが話題になり、その騒動は日を追うごとに拡大している。日大の対応の悪さも火に油を注ぐ原因になっている。
 関学大のクオーターバック(QB)がボールを投げ終わってから約2秒後、日大の選手が背後からタックルして全治3週間の怪我を負わせた。日大の選手は、このタックルの数十秒後に、もう一度悪質なタックルを決行。同選手はさらに、その数十秒後に関学大の選手を殴打した。連続して3度のファウルをしたことで退場処分となった。
 14日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)では、今回の行為について元アメフト選手の河口正史氏にインタビュー。すると河口氏は「むちゃくちゃですよね。“ついいってしまった”とかいうレベルではない」「絶対に狙わないとできないです」と厳しく断罪。さらに関学大アメフト部監督の烏内秀晃氏も、「ちょっと度を越した初めてのプレーです。フットボールと違います。明らかに傷つけることを目的にしている」と答え、同部ディレクターの小野宏氏も「生命にかかわる行為」との見解を述べた。
 この問題に対して日大の内田正人監督は、6日付の日刊スポーツ記事で「力がないから、厳しくプレシャーをかけている。待ちでなく、攻めて戦わないと。選手も必死。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」と答えており、自身が選手に指示したことを暗に認めていた。
 さらに選手や関係者からの証言として、内田監督が「試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい」という指示をしていたとの報道もある。しかし日大側は、内田監督からそのような指示はなかったと否定している。
 日大側が公式に記者会見を開かず、また関学大への謝罪もなかったことから、関学大は日大に謝罪と経緯の説明を求めた。15日夜に日大が謝罪文を関学大に届けたが、関学大は17日に記者会見を開き、「弊部の抱える疑問、疑念を解消できておらず、現時点では誠意ある回答とは判断しかねる」として、日大にあらためて誠意ある対応を求めた。
 泥沼状態と化してきた今回の騒動。17日放送の『ビビット』(TBS系)では、青山学院大学で陸上競技部の監督を務めている原晋氏が「騒動から1週間たっても監督が前面に出てこないのは問題」と疑問の声を上げている。インターネット上でも「(日大の監督は)完全にクロ」「傷害事件として調査してほしい」「タックルした選手と監督は永久追放が当然」「選手生命というか、1人の人生を壊すかのような指示をした監督と実行した選手の罪の重さは計り知れない」と、日大に対して批判の声が続出している。
 果たして真相はいつ明らかになるのだろうか。


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アメフト悪質タックル事件を、アメリカから考えると

<アメリカのNFLでもラフプレーは問題視されているが、今回のように露骨にやることはあり得ない>

問題の日大選手のタックルについては、何度もビデオで確認したのですが、アメリカでプロや大学、高校の試合を見てきた自分としては、全く見たことのないプレーだと感じました。悪質といえばもちろん悪質なのですが、行為として危険だという意味の悪質性に加えて、あんな風に露骨にやるというのが非常に不思議です。

あくまで推測ですが、ラフプレーを命じられてやったというだけでなく、「確かに自分は堂々とやった」というアピールをしなくてはならない、タックルを行った選手はそのような圧力を受けていた可能性が感じられます。とにかく、あのプレーの後もラフなプレーを2回繰り返して退場になるまでやったというのは、そうでもない限り説明がつきません。

もう一つ不思議なのは、仮に「命じられて」やったのであり、チームなり監督なりに対して「露骨にやったというアピール」をしなくてはならなかったとして、タックルをした側の選手は猛烈なコストを払わされる可能性があるわけです。永久追放とか、その後の就活における困難など、人生を狂わされるほどのコストです。それにも関わらず、仮に命令があって拒否できない、そのくらいの心理的な圧迫があったのだとしたら、それはカルチャーとして異常だと思います。

では本場のアメリカでは100%クリーンにプレーされているかというと、決してそんなことはありません。アメリカンフットボールというのは、巨体と巨体が衝突する肉弾戦であり、危険とは隣り合わせです。高校レベルから大学、プロと、どのレベルでもケガは付き物で、決して良いことではないのですが、その危険性もある程度は許容されてしまっています。

2000年代以降は、その中で特に脳しんとう(コンカッション)の問題がクローズアップされています。多くの引退したNFL(プロリーグ)の元選手を調べたところ、かなり高い率で脳の損傷が見つかったこともあり、ルール改正を含めてリーグ全体が、安全確保に取り組んでいるところです。

この「脳しんとう防止」という運動と同時に、例えばプロの場合ですと、ニューオーリンズ・セインツというチームで、チームぐるみで「相手選手を傷つけるようなラフなプレー」を命じていたという問題がありました。今回の日大の事件との比較という意味で、少し詳しく紹介したいと思います。

セインツは、2010年に内部告発があったことからNFLの厳しい取り調べを受けました。実際は、意図的に相手チームのQB(クオーターバック)へ激しいラフプレーを仕掛けていたのですが、その深刻さの割には処分が軽かったのです。事件の中心人物であったコーチ、監督は出場停止処分を受けましたが、コーチは移籍して現在も活躍中、監督の方は処分後もセインツに復帰して現在も監督を務めています。

どうして処分が甘かったのかというと、意図的な悪質タックルなどの行為は、規則によって厳格に摘発されるべきで、審判が発見できなかった違反行為に関しては厳しく処罰できないという考えがベースにあったからです。そこで、問題視されたのは、「闇のボーナス」制度でした。つまり「ラフなプレー」をしたり、「相手の選手を負傷させ」たりした場合にチームが裏金からボーナスを出していた点が問題視されたのです。

もちろん、相手にケガをさせるという指示が出ていたのは倫理的には許されることではありませんが、とにかく審判が現場で摘発できないプレーを、後から倫理的に問題だからという形で処分するのは難しいのです。そこで、連盟として厳格にやっている「給与総額の管理」に違反して、裏金からボーナスを払ったのは規約違反だとして、これを問題視したのでした。もう一つの問題となった「脳しんとう」の原因となる危険行為については、厳格に調査がされました。

しかし、それ以外はプレーの範囲ということになり、かなり甘い処分になったのです。その理由の一つは、この「闇のボーナス」を運用していた期間について調べてみると、セインツの対戦相手のデータを分析してみても「特に負傷率がアップしたわけではない」という結果になったからとも言われています。

要するにチームの指示があり、ボーナスをエサとしてつられていても、実際のプレーの中で選手たちは、自分たちが懲罰を受けるような汚いプレーはできなかったし、ある一線を越えて仕掛けることはなかったのだと思われます。

この「ある一線」ということについて言えば、それは現場の選手は長年のプレーを通じてよく知っているはずです。それは、アメリカのプロも、日本の大学チームも大きくは変わらないと思います。その一線が簡単に越えられてしまったことの背景には、やはり組織の問題があったと考えざるを得ません。
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デーブも言及!日大アメフト“殺人タックル”に指摘される「元凶はパワハラだ」


 日本アメフト界に輝かしい実績を残す日本大学アメリカンフットボール部「フェニックス」が、その伝統に大きな傷がつく窮地に立たされている。5月6日に行われた日大と関西学院大学との定期戦で、日大の守備選手が関学のQBに悪質な反則タックルを浴びせて負傷退場に追い込んだもの。

 このプレーはふだんアメフトを取り扱わない各局の情報番組でも大きく取り上げられ、出演者からは「決して許されない危険なプレー」として非難の声が続出している。その中でアメリカ人ならではの視点をデーブ・スペクターが披露したと話題になっているという。アメフトに詳しいスポーツライターが指摘する。

「16日放送の『とくダネ!』(フジテレビ系)にてデーブは『これ、アメリカで同じこと起きたら、即、関係者辞職ですよ』と指摘しました。多くの識者が反則タックルそのものについて語る中、選手やチームを取り巻く環境について言及したデーブはさすが、アメフトの本場から来たアメリカ人だと実感しましたね」

 この反則プレーに関しては一部スポーツ紙やアメフト専門メディアにおいて、日大の監督から選手に対して相手を潰せとの指示があったと報じられているほか、当該選手に対してコーチ陣からプレッシャーが掛けられていたとの報道もある。当の日大では関学からの抗議文に対して「意図的な乱暴行為を行うこと等を選手へ教えることはない」と否定。指導者による指導と選手の受け取り方に乖離が起きていたことが問題の本質と回答している。

 そして監督からの指示という報道について一部の関係者からは、「なぜ勇気をもって反則プレーの指示を断らなかったのか?」と反則選手を責める声も出ているようだ。だが、その考え方は問題の解決を導かず、本質を見誤ったものだという。

「日大の監督は単なるスポーツ指導者ではなく、日大の理事会において人事担当の常務理事という要職に就いている重要人物の一人。学生にとっては明らかな絶対権力者であり、その指示に逆らうことなど考えられません。それゆえ今回の件はもはやスポーツの次元を離れ、教育現場におけるハラスメントの問題だと認識すべきではないでしょうか。教授による学生へのパワハラはよく耳にする話ですが、スポーツ界にもパワハラは付き物。もし当該選手が勇気をもって指示を拒否していたら、単にその選手が干されていただけ。そして別の選手が同じように追い込まれ、反則をしでかしたかもしれません。このように本件の原因がパワハラなのであれば当該選手も被害者の一人であり、もはや文部科学省も巻き込む一大スキャンダルに発展する可能性も危惧しなければならないでしょう」(前出・スポーツライター)

 はたしてデーブが指摘するように関係者の辞職はあるのだろうか。
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