国際情勢 米朝首脳が共同声明に署名、非核化の具体策は先送り / 米朝首脳会談、米メディアは成果乏しいとの論調も CVID(米国) vs CVIG(北朝鮮) 2:8  で 北朝鮮の勝ち!? 要所で「戦術的勝利」を手にした金正恩氏
初 米朝会談a 320

(中身にない「政治ショー」になった。結論を一言で言うと「スカスカ」である。 CVID(米国) vs CVIG(北朝鮮)が CD(米国)VS G+α(北朝鮮)で 北朝鮮ペースであり、「逃げられた」! 「誰が、どこで、いつまでに」がまったくない! 2:8 で 北朝鮮の勝ち!? 要所で「戦術的勝利」を手にした金正恩氏。
CVID(米国)は、北挑戦ペースで「段階的・同時並行」という「サラミ戦術」にはまった。 さらに、非核化の費用は、韓国と日本が出す? ・・・)


 史上初の米朝首脳会談を終えたトランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は12日夜、帰国の途につきました。「朝鮮半島の完全な非核化に断固として取り組む」などとした共同声明に署名しましたが、非核化の具体策は先送りとなりました。

 共同声明では、トランプ大統領が北朝鮮の安全を確約する一方、金党委員長は朝鮮半島の完全な非核化に断固として取り組むことを約束するといった内容が盛り込まれました。ただ、北朝鮮の非核化に向けた具体的な道筋は示されませんでした。

 「完全な非核化には長時間を要する、科学的にだ。一定の期間が必要です、いろいろなことが起きる」(アメリカ トランプ大統領)

 トランプ氏は、対話が続いている間は米韓合同軍事演習を中止する意向を表明し、今後、自身が北朝鮮を訪れることや、金党委員長をホワイトハウスに招くことに意欲を示すなど、トップ同士が信頼関係を築きながら非核化を目指す考えを強調しました。また、日本人の拉致問題については、議題としては取り上げたものの声明には入らなかったと説明しました。

 米朝双方は2人の出会いや2人きりでのホテル前の散策など友好を演出しましたが、核兵器という現実の問題は残されたままです。2人は12日夜、3日間の日程を終え帰国の途につきました。
/////

海外政府・メディア、緊張緩和を評価 共同声明「中身ない」批判も 


12日に開かれたトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長による首脳会談について、各国政府関係者やメディアの間では緊張緩和を評価する声が上がる一方、共同声明に具体的な内容が乏しいことへの批判も相次いだ。

 欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は声明で「(非核化の)目標は達成できるという明確なシグナルを与えている」とひとまず歓迎する姿勢を示した。

 一方、イラン政府報道官は「トランプ氏が帰国するまでの間に合意したことを取り消さない保証はない」と述べて北朝鮮に注意を促した。イラン国営通信が伝えた。トランプ氏がイラン核合意から一方的な離脱を表明したことを受け、米国を皮肉った形だ。

 米国の対北朝鮮核交渉経験者の評価は厳しい。6カ国協議の首席代表を務めたクリストファー・ヒル元米国務次官補は12日、米MSNBC番組で「共同声明は事実上、北朝鮮に何もしなくていいと言っているのに等しい」と指摘した。同じく6カ国協議経験者で米国家安全保障会議(NSC)の元アジア部長のビクター・チャ氏は「この合意をするためにわざわざ首脳会談をやる必要があったのかと思わざるを得ない」と批判した。

 ウェンディ・シャーマン元米国務次官は同番組で「会うこと自体はいいこと」としたうえで「過去の非核化に関する合意のほうが圧倒的に具体的だった。ポンペオ国務長官は歴史を学んだほうがいい」と指摘した。

 メディアの反応も分かれた。米紙ニューヨーク・タイムズはこれまで開催自体が危ぶまれていた米朝会談が開催されたことについて「米国と北朝鮮の外交官はそれぞれの主張の溝を埋めるべく努力してきた」と述べ、会談の実現を前向きに報じた。

 英紙フィナンシャル・タイムズも「両国は一時、戦争寸前の状態までいった」として軍事的な衝突が遠のいたことを評価した。

 もっとも、「トランプ氏が『包括的』と説明した文書には、非核化の道筋についてほとんど具体的な中身がなかった」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)などと、共同声明の内容には厳しい報道が目立った。韓国経済新聞も13日付早版で、米朝首脳会談が「ショーで終わるのではないかとの懸念が出そうだ」と論評した。

 米紙ワシントン・ポストは金正恩氏に向けて親指を立てるしぐさを見せたトランプ氏の写真を掲載し、「(カナダで行われた)主要7カ国(G7)首脳会議では見せなかった笑顔」と形容。「米本土をミサイルで脅かすような独裁者に示す態度ではない」と評した。
/////
トランプ大統領、米朝会談(合意文書(全文))
 


The United States and the DPRK commit to establish new U.S.-DPRK relations in accordance with the desire of the peoples of the two countries for peace and prosperity.

The United States and the DPRK will join their efforts to build a lasting and stable peace regime on the Korean Peninsula.

Reaffirming the April 27. 2018 Panmunjom Declaretion, the DPRK commits work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.

The United States and the DPRK commit to recovering POW/MIA remains, including the immediate repatriation of those already indentified.


自前の日本語訳は以下

米国と北朝鮮は、両国民の平和と繁栄の願いに応えるために、新しい米朝関係を樹立することを約束する。
米国と朝鮮民主主義人民共和国は、朝鮮半島における持続可能で安定した平和体制を構築するため努力する。
朝鮮半島の完全非核化に向けて、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は2018年4月27日ののパンムンジョン宣言(板門店宣言)を再確認した。
米国と北朝鮮は、すでに確認されている者の即時送還を含む、戦時捕虜、戦時行方不明者の(遺骨の)祖国復帰を約束している。
これといって進展がないです

/////

安倍首相、拉致問題「米大統領から伝えていただいた」

 米朝首脳会談を受けて、アメリカのトランプ大統領と電話会談した安倍総理は、拉致問題についての自らの考えを会談で「大統領から明確に伝えていただいた」と述べたうえで、日朝首脳会談への意欲を改めて示しました。

 「トランプ大統領に伝えたこの(拉致)問題についての私の考えについては、トランプ大統領から金正恩委員長に明確に伝えていただいた」(安倍首相)

 安倍総理は12日夜、大統領専用機で帰国途中のトランプ大統領と電話会談し、米朝会談について説明を受け、拉致問題を取り上げたことへの感謝の意を伝えました。そのうえで、「日本が北朝鮮と直接向き合い、解決していかなければいけない」と、日朝首脳会談に改めて意欲を示しました。

 ただ、拉致問題をめぐるやりとりについては「今の段階では詳細について申し上げることはできない」と述べるにとどめています。
/////

共同声明で拉致問題触れず、横田さん「悲観してない」

 米朝首脳会談でトランプ大統領が拉致問題に言及したものの共同声明では触れられなかったことについて、横田めぐみさんの母・早紀江さん(82)は「悲観はしていない」と述べました。

 「最初の瞬間がね、アメリカと北朝鮮というんじゃなくて人間同士、一生懸命見てましたけどね、パッと心を変えて新しい感覚で出て行こうと本当に思っている人なのかどうか、それは分かりませんけど、これから見ていかないと。うまく話ができていくといいなと思っています。悲観はしていません」(横田早紀江さん)
Q.会談は解決に向けた第一歩と前向きに捉えるか?
 「そうですね、これから見えてくるものがいっぱいあるし、だから何とかして早く、みんなが元気な間に一刻も早く再会の時を与えていただきたい」(横田早紀江さん)
/////

韓国大統領がトランプ氏と電話会談、「平和の基礎築いた」

 米朝の首脳会談を終え、帰路に就いているトランプ大統領は、専用機の中から韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と電話で会談し、会談の成果を説明しました。

 韓国大統領府によりますと、トランプ大統領は、12日午後8時20分からおよそ20分間、文在寅大統領と電話で会談しました。冒頭、文大統領から、「トランプ大統領は米朝首脳会談を成功させ、世界平和の大きな基礎を築いた」と挨拶すると、トランプ大統領は「期待以上の成果をあげた」と満足感を露わにしたということです。

 また、トランプ大統領は、会談内容を説明する中で、「金正恩(キム・ジョンウン)党委員長がミサイルエンジンの実験場を廃棄すると約束をしたことは、固い意思のあらわれ」と強調しました。

 一方、トランプ大統領がシンガポールでの記者会見で、米韓の合同軍事演習の取りやめに言及したことに、韓国で大きな波紋が広がっています。聯合ニュースは「爆弾発言」と大々的に伝え、訓練の中止が在韓米軍の撤退につながる試金石になると論評しています。
/////
中国、米朝首脳会談の成果を高く評価

 中国政府は、米朝首脳会談の成果を高く評価した上で、非核化をめぐる今後の議論に積極的に関与していく姿勢を示しています。

 中国政府は、「今回の会談とその成果は、朝鮮半島の非核化と平和と繁栄の実現という目標に向けた正確かつ重要な一歩だ」「米朝の指導者の政治的決断を高く称賛する」との声明を発表しました。

 「中国の一連の提案と各国への働きかけが、朝鮮半島情勢の進展に、積極的かつ建設的な役割を果たした」(中国外務省・耿爽報道官)

 外務省の耿爽報道官は、「対話による解決を呼びかけてきた中国の期待通りだ」と歓迎した上で、「米朝の指導者が相互信頼を築き非核化に向けて踏み出すよう、中国は引き続き建設的な役割を果たす」と述べました。

 一方、アメリカのトランプ大統領が記者会見で、「中国が最近、制裁を緩和しているようだ」と指摘したことについて、耿爽報道官は、「国連安保理の制裁決議は北朝鮮の履行状況に応じて一時停止や解除を検討すると規定している」と述べ、政治的解決のプロセスを進めるためにも、制裁の緩和を検討すべきとの立場を示しました。

/////

米朝首脳会談、米メディアは成果乏しいとの論調も

 米朝首脳会談を受けて、アメリカのメディアからは歴史的会談と評価する一方で、北朝鮮の非核化に向けた具体的な成果が乏しかったことを批判する論調も目立ちます。

 史上初となる今回の会談について、アメリカのテレビ局は特別番組を編成して速報。トランプ大統領の記者会見はアメリカでは深夜から明け方にかかる時間帯でしたが、リアルタイムでその様子を伝えました。

 ニューヨークタイムズは「世界最大の核保有国と最も孤立した国家にとって新たな章の幕開けとなる重大な一歩」と報じるなど、多くのメディアが歴史的な会談だと伝えています。一方で、共同声明の中でも非核化に向けた具体的なプロセスが示されなかったことについては「物足りない」などの指摘が見られました。

 ウォールストリートジャーナルが「2人の指導者は絆を構築することはできたようだが、北朝鮮の核問題について言えば、合意の成果がはるかに足りないものであることは疑いようがなかった」と報じたほか、ワシントンポスト紙は「象徴的なイメージは大事だが、中身がすべてだ」などと指摘しています。
/////



朝米の非核化直談判 序盤の折衝が成否左右  CVID vs CVIG  明記焦点?

米政府
「完全で検証可能かつ不可逆的な非核化」(CVID)を目指す
Complete, Verifiable and Irreversible Denuclearization
非核化の明確化
核兵器・核関連施設の廃棄
査察の徹底


北朝鮮
「完全で検証可能かつ不可逆的な体制保証」(CVIG)を目指す
Complete, Verifiable and Irreversible Gurantee
終戦宣言

/////

米朝首脳署名式発言全文 


 米朝首脳会談の署名式でのトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩委員長の発言全文は次の通り。


 ▽トランプ氏

 本当にありがとう。われわれは非常に重要な文書に署名している。極めて包括的な文書だ。われわれは実に良い関係を築いた。間もなく記者会見を開く。(文書について)詳細に話し合おう。

 その間、金委員長と私に代わって事務方が(文書を)配布するだろう。われわれは共に文書に署名でき、とても誇りに思う。

 ▽金氏

 われわれは今日、歴史的なこの出会いで、過去を乗り越え、新たな出発を知らせる歴史的な文書に署名するに至った。世界は恐らく重大な変化を見ることになるだろう。今日のために努力してくれたトランプ大統領に謝意を表明する。ありがとう。

 ▽トランプ氏

 本当にありがとう。

 (非核化について)われわれは非常に迅速にそのプロセスを始める。非常に迅速に、間違いなく。

 (北朝鮮の核兵器については)もう少したてば全て明らかになる。われわれが署名している文書は非常に包括的で、双方とも結果に非常に感動を覚えると思う。多くの善意が向けられ、多くの仕事、多くの準備をこなしてきた。双方の関係者全員に感謝したい。ポンペオ国務長官や北朝鮮外相はじめ全員非常に優秀だ。

 本当にありがとう。夢のようだ。

 本当にありがとう、みんな。もう少し後でまた(記者会見で)会おう。今日起きたことはわれわれにはとても誇りだ。北朝鮮、そして朝鮮半島との関係は過去とは全く異なる状況に向かうだろう。

 われわれは共に何かを成し遂げたいと考えているし、何かを成し遂げようとしている。われわれは特別な絆を築いたのだ。

 みんな感動を覚えるだろう。とても幸せに感じるだろう。われわれは世界にとってとても大きく、とても危険な問題に対処しようとしている。

 金委員長に感謝したい。今日は長時間、非常に実のある時間を共に過ごした。誰もが予想しなかったほど、はるかに良い結果が出たと実際に言えるだろう。私はいろいろな報道を見たが、誰の予測よりもはるかに良かったと思う。

 これはもっと、もっと、もっと(多くの結果に)つながるだろう。(金氏と)一緒にいられて非常に光栄だ。ありがとう。関係者のみなさん、本当にありがとう。

 (金氏をホワイトハウスに招待するのかとの問いに)間違いなく、そうするだろう。

 【署名式後、首脳会談会場を出発前に】

 ▽トランプ氏

 (金氏は)素晴らしい性格で、そして非常に賢い。うまく組み合わさっている。

 交渉に値する人物だ。とても立派で、とても賢い。われわれは非常に良い日を過ごし、お互いと互いの国について多くを学んだ。

 彼が才能豊かな男だと学んだ。また彼が自分の国を非常に愛していると知った。

 われわれは何度も会うことになるだろう。(共同)
/////

【米朝首脳会談】会談の主導権めぐる「攻防」 余裕をみせたトランプ氏、要所で「戦術的勝利」を手にした金正恩氏

トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による、シンガポールでの史上初の米朝首脳会談では、どちらが会談の主導権を握っているかをボディーランゲージ(肉体言語)で世界に誇示しようとする「攻防」も、予想外の見せ場となった。

 首脳会談の冒頭、主導権を握ろうとまず動いたのはトランプ氏だ。初めて金氏と握手した後にすかさず声をかけ、緊張を解いて笑顔にさせた。

 金氏も黙ってはいない。通訳を従え、並んで廊下を進むトランプ氏に、金氏は打ち解けた様子で通訳を介して「世界の多くの人は、これをSF映画(の場面)と思うでしょう」と語りかけ、トランプ氏を笑わせにかかった。

 両首脳の「駆け引き」が頂点に達したのは、会談終了後の共同文書への署名式だ。署名会場となったホテルの広間で取材陣と言葉を交わすのはトランプ氏ばかり。ペンを執った金氏に「OK」と言って署名を促したりもした。

 金氏も署名を終えて席を立った後、巻き返しを試みたかに見えた。金氏は笑みを浮かべ、並んで歩くトランプ氏の背中をぎこちなく押して先を促した。しかし、すかさずトランプ氏が、金氏の背中をたたき返し、記者たちからは失笑が漏れた。年の差が倍もあるトランプ氏が、まるで「お前が俺の背中を押すには若すぎる」と言わんばかりだった。

 署名式に先立ち、トランプ氏は金氏に通称「ビースト」と呼ばれる重装備の米大統領専用車を見せ、ドアを開けて「機密」であるはずの車内を公開するなどの余裕まで示していた。

 だが、会談の結果を見る限り、トランプ氏が主導権を握っていたとは必ずしも言い難い。

 北朝鮮は今回の首脳会談に向け、核放棄の段階的な実行と、その見返りとしての体制保証を強く求めて交渉の先延ばしを図った。結果として共同声明には「恒久的な平和体制の構築」といった、北朝鮮が望む体制保証につながる文言がしっかりと盛り込まれた。

 朝鮮戦争当時の米軍の戦時捕虜や戦闘時行方不明兵の遺骨の送還合意に関しても、北朝鮮の体制にとり都合の悪い人権問題への矛先をかわそうとする常套手段の側面も強い。

 金氏は、朝鮮半島の「完全非核化」には応じたものの、要所では「戦術的勝利」を手にしたといえる。

■板門店宣言と大差なし

 「金正恩は必ず非核化するよ。確信している」

 トランプ米大統領は12日夕、米朝首脳会談が行われたシンガポール南部セントーサ島のカペラホテルで行った記者会見で自信を込めて言い切った。

 しかし、約1時間5分にわたった会見で会談の「成果」を滔々と述べ立てるトランプ氏に対し、記者団からは肝心の非核化を具体的にどう進めるのかについて、疑問と不安交じりの質問が絶えなかった。

 両首脳が署名した共同声明では、「朝鮮半島の完全な非核化」がうたわれたものの、トランプ政権が繰り返し北朝鮮に要求してきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)という文言はどこにも見あたらない。4月の南北首脳会談で完全な非核化目標を確認した「板門店宣言」と大差はなかった。

 トランプ氏は、北朝鮮が核放棄を確実に履行したことを確認するための検証は「米国と国際機関の合同で行う」と指摘。しかし、北朝鮮が国際査察を受け入れることに合意したかどうかは明確にしなかった。

 しかも、具体的な非核化プロセスが明記されなかった点を突かれると、「時間がなかった」と開き直り気味に答えもした。

 トランプ氏はまた、北朝鮮が「完全な非核化」に本気であることを示す根拠として、金氏が北朝鮮国内にある弾道ミサイルのエンジン燃焼試験場の破壊を約束したと明かしたが、この約束は共同声明では言及されておらず、単なる口約束で終わる恐れを残した。

■透ける過度の配慮

 さらに懸念されるのは、トランプ氏が米韓合同演習の中止を表明したことだ。

 トランプ氏は記者会見で米韓演習について「(北朝鮮に対して)挑発的だ」「米国にとって多大な費用負担となっている」などと主張。北朝鮮が今後の非核化交渉をほごにした場合は演習を復活させる可能性に言及はしたものの、米韓演習の中止を長年要求してきた北朝鮮に対する見過ごせない譲歩であることに変わりはない。

 トランプ氏はしかも、「ソウル近郊に何千万人もの人口が集中している。戦争は回避しなくてはならない」と主張。北朝鮮は「炎と怒り」に見舞われるとした自身の過去の発言も事実上封印すると表明した。

 軍事的選択肢をちらつかせながら北朝鮮に「最大限の圧力」をかけてきたここまでの路線を放棄し、「ソウルを火の海にする」と豪語して米軍の軍事行動を封じる材料にしてきた北朝鮮の思惑に乗せられ、今後の北朝鮮政策の幅をせばめることにもなりかねない。

 ポンペオ国務長官は米朝首脳会談の前日、記者団に「歴代政権のように、破られるだけに終わる合意をする気はない」とする趣旨の発言をしていた。

 しかし、今回の共同声明はまさに、北朝鮮に非核化を確実に履行させる言及を欠いている点では、過去の合意文書と本質的な変化はなく、むしろ合意実現に向けた北朝鮮への過度の配慮が透けて見える。

 ただ、一方でトランプ氏が「北朝鮮の核が米国にとって問題とならなくなるまで制裁を解除しない」との大方針の堅持を明確に打ち出したのは救いといえる。金氏は元日の「新年の辞」でも9月の建国70年の節目を強調し、経済面での成果が求められているだけに、制裁圧力はなお有力な切り札だからだ。

 トランプ氏によると、今回の会談を受けてポンペオ氏を筆頭とする米政府代表団は来週、北朝鮮側と合意事項の履行に向けた実務協議を行う。

 トランプ氏の「有言実行」の真価が問われるのはこれからだ。

/////
北メディア「重大な意義」米朝会談報じる

北朝鮮の国営メディアが12日の米朝首脳会談について報じた。「米朝関係を画期的に転換する上で重大な意義を持つ」と評価している。

朝鮮中央通信は13日朝、米朝首脳会談の詳細と共同声明の全文を報じ、「会談は米朝関係を画期的に転換する上で重大な意義を持つ大きな出来事となった」と評価した。

また、会談で金正恩委員長が米韓合同軍事演習の中止を求め、トランプ大統領は対話が進んでいる間は演習を中止する意向を示したと伝えた。

焦点の非核化については、「両首脳が段階的、同時行動の原則を順守することが重要との認識を共にした」としている。

また、両首脳がそれぞれアメリカと平壌を今後、訪問することで同意したという。
/////