国際情勢 中国 米国をWTOに提訴 / 6月の米雇用統計 市場予想上回り堅調 / 松本死刑囚ら7人の刑執行、EUが反対声明

中国 米国をWTOに提訴

 世界第1位と2位の経済大国の“貿易戦争”が、ついに現実のものとなりました。アメリカが中国製品に追加関税を課す制裁措置を発動したことを受けて、中国は直ちに報復措置を取るとともに、WTO=世界貿易機関に提訴しました。

 中国政府は6日、アメリカが340億ドル、日本円にしておよそ3兆7400億円相当の中国製品に25%の追加関税を課したことを受け、直ちに同規模の報復措置を発動しました。アメリカ側が通信衛星やロボット、航空機など中国が力を入れているハイテク製品を主な対象にしているのに対し、中国側は大豆や牛肉、自動車などを対象としていて、トランプ大統領の支持基盤に揺さぶりをかける狙いもありそうです。

 中国政府は、アメリカが「WTO=世界貿易機関のルールに違反し、史上最大の貿易戦争を仕掛けた」と強く非難し、追加関税措置の発動についてWTOに提訴しました。

 米中双方はさらに第2弾として、160億ドル相当の制裁をすでに決めているほか、トランプ大統領がさらに2000億ドル相当の制裁の検討を指示するなど、事実上の貿易戦争に突入していて、世界経済への影響は避けられない情勢です。

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6月の米雇用統計 市場予想上回り堅調 


 アメリカ労働省は6日、6月の雇用統計を発表し、就業者数が市場の予想を上回るなど、力強いアメリカ経済を反映する内容となりました。

 アメリカ労働省が6日発表した6月の雇用統計で、景気の現状を敏感に反映する「非農業部門の就業者数」は、前の月と比べ21万3000人の増加と、市場予想を上回りました。失業率は4.0%と、前の月よりも0.2ポイント悪化しましたが、これは求人数の増加にあわせて新たに職を求める人が増えた結果だとして、前向きに受け止められています。

 一方で、中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が重視する賃金の伸びは、前の年の同じ月と比べ2.7%の増加にとどまりました。ただ、米中の貿易戦争への懸念が高まるなかで、製造業の雇用者数が去年12月以来の高い伸び率を示すなど、全体としてはアメリカ経済の力強さを反映する内容となりました。

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国連人道問題調整室長 7年ぶり北朝鮮訪問へ

 OCHA=国連人道問題調整室の室長が今月9日から北朝鮮を7年ぶりに訪問し、国連の食料支援の状況などを確認することにしています。

 6日付の国連の発表によりますと、北朝鮮を訪問するのは国連人道問題調整室のローコック室長で、今月9日から12日の日程になるということです。

 発表によりますと、北朝鮮は国民のおよそ4割にあたる、1000万人以上が、人道支援を必要としているということです。特に栄養不足などで子ども5人につき1人が発育不全となっており、水や衛生、健康管理が急務であるとしています。

 こうしたなか、4月に北朝鮮にむけた人道支援機関による救援計画も始まりましたが、基金は当初の10%程にとどまっているということです。このため、ローコック室長は北朝鮮の政府、人道援助関係者や支援を受けている人々に会い、人道支援の現状を把握することにしています。
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松本死刑囚ら7人の刑執行、EUが反対声明

 死刑制度に反対するEU=欧州連合は加盟国の駐日大使らがオウム真理教の教団元代表、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚らの刑が執行されたことに反対する声明を出しました。

 EUの駐日代表部やEU加盟国の駐日大使らが出した共同声明では、地下鉄サリン事件が日本にとって特殊な事件であり、テロ行為を断じて非難するとしていますが、事件の重大性にかかわらず死刑の執行には明白に反対し、死刑制度の廃止を目指すとしています。その理由として、死刑は残忍で冷酷であり、犯罪抑止効果がないとしていて、司法判断に誤りがあっても極刑は不可逆的だとしています。

 そのうえで、改めて日本政府に対し、死刑を廃止することを視野に執行停止を呼びかけるとしています。

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仏政府「世界中で死刑廃止を呼びかける」

 死刑反対の立場のフランス政府は今回の死刑執行を受けて、「世界中で死刑廃止を呼びかける」との声明を出しました。

 声明はローランピック駐日フランス大使がフランス政府を代表して発表しました。

 声明で、「フランスは多数の人命を奪ったテロの標的になったこともあり、テロとの闘いに断固たる決意で取り組むとともに、化学兵器使用を断固非難します」と地下鉄サリン事件の被害者、遺族と苦しみを共有するとしています。そのうえで、改めて死刑反対の立場を表明し、「世界中で死刑廃止を呼びかけます」と結んでいます。

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