岡山 真備町 課題を検証 / 豪雨5日 今日の被災地 (夕方の岡山県内各地で土砂降り)


「ハザードマップで広大な浸水域が示されながら、災害への危機感が薄かった!」
今回の豪雨では岡山県で初めての特別警報が発令され、堤防が決壊した倉敷市真備町では甚大な被害が発生しました。
命を守ること、被害を抑えることはできなかったのか、課題を検証しました。
小田川の堤防が決壊し4600世帯が水没した倉敷市真備町。
今月8日までの6日間に1ヵ月雨量の実に2倍、記録的な大雨に見舞われました。
ヘリコプターやボートなどにより救助されたのは2400人、九死に一生を得ました。
こちらは真備町で堤防が決壊した場合の浸水地域を記した倉敷市のハザードマップです。
今回水没した地域とほぼ重なることが分かります。
市が真備町全域に避難勧告を出したのは7月6日の午後10時。
その40分後、特別警報が発令。
市は小田川の南側に午後11時45分、避難指示、北側に避難指示を出したのは2時間近く経過した午前1時半でした。
しかし、その4分後、小田川に流れ込む高馬川で堤防が決壊。
そして午前6時52分には小田川。
あわせて8ヵ所で堤防が決壊したことが確認されました。
決壊した堤防を調査した専門家は小田川に加え、その支線の川も逆流し堤防の決壊が起きたとみられると説明。
ハザードマップで広大な浸水域が示されながら、災害への危機感が薄かったと述べました。
真備町の災害対応の拠点となるはずだった市役所の真備支所も水没しました。
避難勧告・指示は基準にのっとって発令したと説明しています。
大雨のたび被害が懸念されてきた小田川ですが、被災した住民からは過去の経験から避難の判断が遅れたという声も聞かれました。
大雨の被害に見舞われることの少ない晴れの国、岡山。
しかし、温暖化により豪雨は、いつ、どこを襲うか分りません。
行政も、住民も防災に対する考え方を一新する必要がありそうです。
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防災の学習力は「地域の防災学習・認知力」か?

「ハザードマップで広大な浸水域が示されながら、災害への危機感が薄かった!」
岡山 倉敷 真備 ハザード

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岡山 倉敷と愛媛 大洲の浸水推定範囲の地図公表 国土地理院
岡山 真備 浸水域


 国土地理院は、今回の記録的な豪雨で河川が氾濫した岡山県倉敷市と愛媛県大洲市で浸水したとみられる範囲を示した地図をホームページで公表しました。

国土地理院は、岡山県倉敷市と愛媛県大洲市で川が氾濫した今月7日にツイッターに投稿された画像や動画をもとに、周辺の標高のデータと組み合わせて浸水の範囲や深さを推定しました。

このうち岡山県倉敷市真備町では、市内を東西に流れる小田川の北側を中心に浸水が広がり、浸水の深さは最も深いところで4.8メートルに達したとみられるということです。

また、愛媛県大洲市では、肱川の東側を中心に浸水が広がっていて、最も深いところで4.6メートルと推定されるということです。

国土地理院がツイッターの投稿をもとに浸水範囲を推定した地図を作成するのは初めてで、「悪天候で航空写真が手に入らなくてもなるべく早く情報を提供しようと考えた。救助や復旧活動に役立ててもらえれば」と話しています。
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豪雨5日 今日の被災地

 記録的な豪雨から5日、岡山県は警察や消防と確認できたとして、倉敷市内の行方不明者をきょう大幅に増やし発表しました。
行方不明とされた40人あまりの中には西日本放送の取材で無事を確認した人が9人含まれていました。
未曾有の災害に行政の混乱が続いているようです。
岡山県はきょう正午過ぎ、初めて倉敷市の行方不明者28人の名前や住所を公表しましたが、西日本放送の取材でこのうち8人の無事が確認されました。
午後4時に再び発表されたリストでは行方不明者が43人に増えましたが、依然無事な人が9人含まれていました。
岡山県には今年初めての高温注意情報が出されました。
厳しい暑さの中、行方不明者を探す活動が行われています。
地域を流れる川では浸水被害で泥だらけになったアルバムを川の水で洗い流す男性もいました。
朝は早くから住民たちが水に浸かった家具を運び出していました。
自家用車が浸水し収集場所まで運べない人も多く、道路に山積みになったゴミの量は日に日に増えています。
浸水被害を受けた地元のスーパーでは営業再開の準備を行っていました。
今週の土曜日には店を開けたいとしています。

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夕方の岡山県内各地で土砂降り

 岡山県内は11日夕、大気の状態が不安定になり、真庭市下呰部で50・5ミリの1時間雨量を観測するなど、県中北部などで一時、激しく雨が降った。 岡山地方気象台が午後7時までにまとめた各地の1時間雨量は赤磐市22・5ミリ、美咲町20・0ミリ、奈義町18・5ミリ、岡山市北区建部町福渡14・0ミリ、矢掛町11・5ミリ、高梁市10・0ミリ—など。 西日本豪雨で面積の3割が浸水した倉敷市真備町地区でも夕方、土砂降りとなった。 高梁市災害対策本部は降雨による土砂崩れの危険があるとして夕方から一時、同市高倉町田井の一部5世帯に避難勧告を出した。同地区では西日本豪雨で高梁川沿いの民家2軒が倒壊し、女性1人が重傷を負った。 岡山市は同日夜、同市北区の津島地区と建部地区の計1911世帯4090人に避難準備・高齢者等避難開始を発令した。 岡山地方気象台は「12日は午後、大気の状態が不安定となり、雨や雷雨となる所がある」としている。
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〔大気不安定〕岡山県北部で激しい雨、発達した雨雲が南下も(11日17時現在)

岡山地方気象台発表は11日16:39、「大雨に関する岡山県気象情報 第2号」を発表しました。
岡山県北部では発達した雨雲がかかり、16:00までの1時間に約40mmの激しい雨が降って
います。きょう夜遅くにかけて雨雲は南下し、北部を中心に非常に激しい雨の降るおそれがあります。
河川の増水や氾濫に警戒し、土砂災害や低地の浸水に注意してください。また、落雷や突風にも注意してください。

【1時間雨量】
・岡山県  奈義町   奈義    18.5mm(〜11日16:20)

■今後の見通し
【予想1時間最大降水量】(11日)
・北部 50mm
・南部 40mm

◆用語解説「非常に激しい雨」
・1時間50〜80mmの雨、滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)状態で、傘は全く役に立たなくなる。水しぶきであたり一面が白っぽくなり視界が悪くなり、車の運転は危険とされる。土石流が起こりやすくなったり、都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込むなど、多くの災害が発生するおそれが。

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<西日本豪雨>「無念…」水害の危険訴え続けた旧真備町議

 ◇河川の改良工事求め続け、実現しようとした矢先に…

 岡山県倉敷市真備(まび)町地区で起きた水害に、やるせない思いを抱く住民がいる。合併前の旧真備町議を務めた黒瀬正典さん(64)。地区は過去に何度も河川の氾濫に見舞われた。町議時代に河川の改良工事を求め続け、それが実現しようとした矢先に起きた今回の水害。今、避難所のボランティアとして、古里のために再び力を尽くしている。

 「おにぎりはいくつでも持って行って」。一時2000人以上が避難した市立岡田小学校の体育館。疲労が目立つ被災者に声を掛ける黒瀬さんの姿があった。「もっと早く河川工事が始まっていれば−−」。その思いが心から離れない。

 1級河川・高梁川と支流の小田川に囲まれた真備町地区は、洪水に繰り返し悩まされてきた。1972年には流域の住宅約7300戸に浸水。227戸が全半壊し、死者・行方不明者は15人に上った。黒瀬さんは当時高校生。「自宅は被害を免れたが、多くの友人らが被災した。旧国鉄のバスが1週間近く運行中止となり、学校にも通えなくなった」と振り返る。

 住民は半世紀にわたり、水害の原因となる高梁川と小田川の合流地点を下流部に付け替えるよう改修工事を国に要望してきた。2000年に町議になった黒瀬さんも活動に加わった。ただ、県は長年、地元の意見をまとめられず、工事計画はこう着状態になった。

 まずは住民の防災意識を高めようと、黒瀬さんは地元の「岡田地区まちづくり推進協議会」のメンバーとともに4年前から避難訓練を始めた。年に1回、約100人が参加し、自宅から避難所への経路を点検してもらった。

 一方、懸案だった河川改修はようやく正式に決定。合流点を約5キロ下流に移し、流れをスムーズにする工事が来年度に始まる予定だった。しかし、故郷は再び濁流にのみこまれた。

 黒瀬さんが避難所の岡田小学校に駆け付けた際、駐車場は入りきれないほどの車でごった返していた。食事も足りず、近くの農家から米を分けてもらい、協議会の仲間とおにぎり1000個を握って提供した。黒瀬さんはその後も連日、ボランティアの受け入れ調整や救援物資の仕分けなどに汗を流している。

 「水害で町を離れる人が出るのが一番悲しい。地域が一つになり、助け合って乗り越えていきたい」
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2015 0915


倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ (平成28年8月作成、平成29年2月更新)

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ハザードマップと重なった浸水域、それでも犠牲者防げず (岡山県倉敷市真備)



  住宅地が大規模に冠水した岡山県倉敷市真備(まび)町は、過去にも同じ河川が繰り返し氾濫(はんらん)していた。危険を知らせる洪水ハザードマップは、今回とほぼ同じ浸水域を想定しており、河川改修も計画していた。予測していた災害で、なぜ30人近い犠牲者を出したのか。

■真備町、水の流れにくい河川

 「一挙に水が出た。急激な水位上昇があった」

 8日夜、倉敷市防災危機管理室の河野裕・危機管理監は、想像以上の速度で河川の水位が上がっていった状況を記者団に語った。

 真備町は1級河川の高梁川へと注ぐ支流の小田川流域にある。住宅地や田んぼが広がるが、堤防の決壊で地区の約4分の1にあたる1200ヘクタールが浸水した。倉敷市はほぼ半数の住家が床上浸水したとみている。

 倉敷市は6日午前11時30分、真備町を含む市内全域の山沿いを対象に「避難準備・高齢者等避難開始」を発令。午後10時には真備町全域に「避難勧告」を発令した。地域防災計画では、小田川の氾濫(はんらん)危険水位に達することなどが発令基準になっているが、見回りに出ていた市職員や消防団の情報から、早めに発令することにした。すぐにエリアメールや防災無線などで住民に情報を伝えた。

 しかし、その後も水位の上昇が続き、7日午前0時47分には国土交通省が小田川右岸で水流が堤防を越えたとの緊急速報を出した。倉敷市では、その約40分後までに真備町全域に避難指示を出した。国交省が堤防の「決壊」を把握したのはその約4分後だった。

 真備町は地区の東側を高梁川、南側を小田川に囲まれている。

 岡山大の前野詩朗教授(河川工学)によると、今回の決壊は、高梁川と小田川の合流地点付近が湾曲して水が流れにくくなっているため、上流側の水位が上昇する「バックウォーター現象」が起きたことが原因とみられる。流れなくなった水は勾配が緩やかな小田川の方にたまりやすく、決壊したという見方だ。

 国交省の資料によると、二つの河川の合流地点付近では、1972年や76年などにも大規模な浸水が発生していた。国交省は湾曲部分よりも下流側に合流地点を付け替えて水を流れやすくする工事を計画し、今秋には工事用道路の建設を始める予定だった。

 一方、倉敷市は洪水時の地区ごとの浸水域を色分けして示したハザードマップを作成していた。今回の水害後、国交省がドローンを飛ばして上空から確認すると、地区内の浸水被害は想定とほぼ重なっていた。倉敷市は全戸にハザードマップを配っていたが、住民の男性(48)は「そんなものがあったとは、知らなかった」と言う。

 想定されていたはずの災害。倉敷市の担当者は9日夜、「命を落とした方がいるということは本当に残念だ」と述べたものの、原因について問われると、「その質問に答えるにはまだ早すぎる」と語った。

■ハザードマップ、1300市町村が公開

 浸水が想定される区域や避難場所などを住民に伝える洪水ハザードマップは、市町村が作成する。

 国や都道府県などの河川管理者が、流域に降る雨の量や堤防が切れる場所などを想定して浸水想定区域図をつくり、市町村が避難場所や経路を記入して完成させる。昨年3月時点で約1300市町村が公開している。倉敷市もその一つだ。

 約7万戸が浸水した2000年9月の東海豪雨やその後の水害で、多くの住民が避難場所を知らなかったことが問題になり、水防法が改正されて、大きな被害が予想される川について作成が義務づけられた。

 東京都荒川区は2016年、荒川で最大規模の洪水が起きた際の浸水想定を国土交通省が公表したことを踏まえ、ハザードマップを改定した。区内の11万5千世帯のうち、9万世帯が最大5メートル以上の浸水被害を受けると想定している。

 15年の関東・東北豪雨では、茨城県常総市を流れる鬼怒川の堤防が決壊した際に、多数の住民が自宅に取り残され、ハザードマップが避難行動に結びつかない実態が明らかになった。国交省は16年に手引を改め、「早期の立ち退き避難が必要な区域」も設定することを盛りこんだ。

 荒川や入間川が流れる埼玉県ふじみ野市では、昨年3月からハザードマップにこうした区域を明記している。担当者は「ただマップをつくるのではなく、中身を住民に知ってもらい、水害のリスクを実感してもらうことが重要」と話す。

 ただ、作成が義務づけられているのは一定規模以上の河川が対象で、中小河川では浸水想定区域図がなく、危険性が示されていない場合がある。昨年7月の九州北部豪雨では、浸水想定区域として示されていなかった筑後川の支流があふれて多くの犠牲者が出た。

■避難「地域・個人の力も必要」

 住民に避難を呼びかける自治体の情報提供も、災害のたびに改められてきた。

 市町村長は、災害対策基本法に基づいて避難情報を出す。避難情報には、高齢者らが避難を始める目安の「避難準備・高齢者等避難開始」、住民に避難を促す「避難勧告」、さらに危険性が高まったときの「避難指示(緊急)」がある。

 内閣府は2005年、避難勧告などの判断基準や伝達方法に関するガイドラインをつくった。前年の04年に全国で死者・行方不明者98人を出した台風23号などの災害が相次いだためだ。

 09年に兵庫県佐用町などで死者・行方不明者27人を出した台風9号や11年の東日本大震災を受け、14年にガイドラインを改定。避難情報は空振りを恐れずに早めに出すことを強調した。14年に77人が犠牲になった広島土砂災害が起きると、避難準備情報の段階から「自発的に」避難を始めるという表現をガイドラインに盛り込んだ。

 16年の台風10号では、岩手県岩泉町で高齢者施設の入居者9人が死亡した。町は避難準備情報を出していたが、施設側は高齢者らが避難を始める目安という意味を理解していなかった。これを受け、内閣府は「避難準備情報」の表記を「避難準備・高齢者等避難開始」に改め、「避難指示」は「避難指示(緊急)」に改定した。

 それでも、被害は繰り返された。

 NPO法人のCeMI環境・防災研究所の松尾一郎副所長は「避難情報やハザードマップなど、行政は知らせる努力、住民は知る努力が重要。行政の力だけでなく、地域コミュニティーや個人がきっちり動くことが必要だ」と指摘する。
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