岡山 「晴れの国」襲った大水害。「闘将」の反骨バネに立ち上がれ  (7月12日)


 岡山県は「晴れの国おかやま」をキャッチフレーズにしている。気象庁の統計(30年間の平年値)によると、降水量1ミリ未満の日が年間276・8日あり、全都道府県で1位。年間降水量は3番目に少ない。温暖な気候で、豊かな自然と海・山の幸に恵まれ、災害が少ない−とPRしてきた。

 ▼油断したわけではあるまい。小田川などの堤防決壊で水没した倉敷市の真備(まび)町地区をはじめ未曽有の水害は、文字通り「青天の霹靂(へきれき)」だったに違いない。なお安否不明者が増え、被害の全容がつかめない。泥水とがれきに覆われて、捜索や復旧作業もままならない。疲れ切った被災者を、容赦なく猛暑が襲う。

 ▼河島英五さんの名曲「野風増(のふうぞ)」は、岡山の方言で「生意気」とか「つっぱる」の意味である。それを反骨心とするなら、代表は倉敷市(旧福田町)出身の星野仙一さんだろう。「大難を忍ぶ者は、大善を引き起こす」。今年1月に亡くなった「闘将」のエールが聞こえる。



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<西日本豪雨>7000人超が避難生活 大雨特別警報1週間

  西日本を襲った記録的な豪雨は、広範囲に土砂崩れや河川の氾濫など甚大な被害をもたらした。毎日新聞の集計で12日午後10時半現在、14府県で死者は189人、安否不明者も68人に上る。数十年に1度の重大な災害が予想される「大雨特別警報」が、九州から近畿の広範囲に出されてから13日で1週間。15府県で7000人超が今も避難生活を強いられ、ライフラインやインフラの復旧も進んでいない。被災地では復興への道のりを見通せない状況が続いている。

 気象庁は今月6日、広島や岡山、福岡など8府県に大雨特別警報を発表。警報は8日までに計11府県に出され、中部地方まで広がった。各地は豪雨に見舞われ、広島県では大規模な土砂災害が多発。岡山県倉敷市真備(まび)町では1級河川・高梁川水系の支流が決壊し、地区の約3割が水没した。愛媛県も土砂崩れや川の氾濫が相次いだ。

 広島県呉市や倉敷市真備町地区などでは12日、計13人の死亡が新たに確認された。人的被害は広島、岡山、愛媛の3県で特に大きく、犠牲者数は平成の豪雨災害で最悪になっている。

 安否不明者について、岡山県は実名を公表。既に多数の生存が確認された。ただ、全国で60人以上が依然不明のままで、自衛隊や警察は各地で懸命の救助、捜索活動を続けている。

 総務省消防庁によると、今回の豪雨では、避難指示・勧告が九州から北陸までの23府県で最大863万人に出された。被災地では連日のように30度を超える暑さが続くが、7000人を超える被災者が避難所暮らしを余儀なくされている。

 家屋被害も明らかになりつつある。総務省消防庁の12日午後1時半現在の集計では、31道府県で計2万4150棟の被害が報告された。床下浸水が1万5081棟で最も多く、床上浸水も8200棟を超える。しかし、被害の実態把握は進んでおらず、全体数はさらに増える可能性がある。

 内閣府によると、広島や岡山など8府県の計98市町村に、国が応急的な援助や被災者保護を図る災害救助法が適用された。

 一方、ライフラインや交通網の混乱も続いている。国によると、水道管の破損などに伴って最大約28万戸で断水。今も約24万戸が断水し、約580戸で停電している。高速道路は中四国地方を中心に最大48路線の約80区間で通行止めに。西日本高速道路の管内では、通行止め区間は最大計2268キロに及んだ。全国では現在も8路線8区間が解除されていない。鉄道はJRや私鉄で鉄橋の崩落や濁流による線路の流失が相次いだ。11事業者の26路線で運休が続いており、完全復旧の見通しは立っていない。

 一方、警察庁の12日の集計では、西日本豪雨による死者は12府県で147人。豪雨による死亡かを確認中の53人を含めると14府県で200人となった。

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