岡山・真備  浸水域、想定通り=ハザードマップ生きず―専門家「重要性認識を / 東京大講師 倉敷市に災害対応助言
岡山 真備 浸水域
岡山 倉敷 真備 ハザードマップ (倉敷市が作ったハザードマップとほぼ一致)倉敷の浸水、河川改修予定だった 5m予測の地域が被害
 

岡山 安倍総理大臣が視察 倉敷市真備町の被災状況   水没被害 (倉敷の避難者「仮設住宅整備を」)


  西日本豪雨で堤防が決壊し、広い範囲が浸水した岡山県倉敷市真備町地区では、高齢者を中心に多くの犠牲者が出た。浸水した地域は、市が作成した洪水・土砂災害ハザードマップの想定とほぼ重なっていた。被害は防げなかったのか。

 ハザードマップには、避難場所や想定される浸水範囲のほか、自治体の避難勧告や避難指示に基づき、住民が取るべき行動が示されている。

 市内を流れる小田川や支流の堤防が相次いで決壊し、真備町地区は全体の30%近い約1200ヘクタールが浸水した。ハザードマップでは、小田川流域を中心とした地域は2階の軒下(5メートル)以上が浸水すると想定され、最も危険性が高かった。国土地理院によると、今回の浸水範囲はハザードマップとほぼ一致し、最も深かった所は約4.8メートルと推定された。

 「まさかこんなことになるとは思わなかった」。真備町岡田の竹内昇さん(70)は振り返る。7日明け方、自宅1階の窓から外を見ると、道路の両側から茶色の水が押し寄せていた。家具などを2階に上げ、避難所の小学校を目指して冠水した道を車で急いだ。

 小田川の北側に住む竹内さんは緊急防災無線やテレビで情報を把握していたが、「実際に迫る水を見るまで重い腰が上がらなかった」。ハザードマップの存在は知っていたが詳しく見たことはなく、「わしらも改めないといけない」と話した。

 倉敷市は小田川の水位が急激に上昇したため、6日午後10時、真備町地区全域に避難勧告を発令。同11時45分に南側流域に、7日午前1時半には北側に避難指示を出した。支流の高馬川の決壊を把握したのは同1時34分ごろだった。

 伊東香織市長は避難指示のタイミングについて「河川事務所や気象庁の情報を踏まえ、発出の基準に沿って出した」と説明し、問題はなかったとの認識を示している。

 災害時の避難などに詳しい東京大の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「改めてハザードマップの重要性を認識し、災害時には一人ひとりが当事者意識を持って行動を取る必要がある。高齢者など個人での対応が難しい人は、地域で支える仕組みを議論するべきだ」と指摘した。 


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東京大講師 倉敷市に災害対応助言


 西日本豪雨で被災した倉敷市の災害対応に課題があるとして、東京大生産技術研究所(東京)の沼田宗純講師(防災プロセス)が12日、市役所を訪れて改善を訴えた。市は早速、助言に沿って災害対策本部の席のレイアウトを見直し、情報共有の円滑化を図った。 沼田講師はこの日、庁内の災害対策本部などを視察した後、生水哲男、河田育康の両副市長と面会。同本部に市幹部やさまざまな部局の職員が常駐するスペースがなく、職員間で情報が共有されにくい状態になっているなどと指摘した。 市は面会後、災害対策本部に住宅支援、罹災(りさい)証明書発行、広報などの担当職員や、国土交通省などからの応援職員の席を設置。各職員がテーブルを囲むように席を配置した。 沼田講師は全国で提言活動を実施。倉敷市に研究者仲間がいる縁で訪れた。市は今回の災害で、実態把握の遅れなどが指摘されている。

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「危険地図」生かせず 浸水区域は“想定内” 倉敷・真備町 

  西日本豪雨で4分の1が冠水した岡山県倉敷市真備町地区は想定される浸水区域や避難場所をまとめた「洪水・土砂災害ハザードマップ」を2016年に作製していた。今回浸水した区域と予測した区域はほぼ同じで想定内だったが、多数の犠牲者が出た。「見たことがない」という住民もおり、市からは「繰り返し確認を促すべきだった」との声も出ている。

 

 「ハザードマップは一度も見たことはなかった」。真備町地区を流れる小田川が決壊した堤防近くに住む穂井田良さん(64)は悔やむ。倉敷市が6日に流した避難指示の放送は聞き取れなかった。実際に川を見に行くと水位は高くなく、その日は自宅で過ごした。

 7日未明に堤防は決壊。数分後に自動車で避難を始めたが、渦を巻きながら水が迫り、間一髪で逃れた。「昔から堤防が決壊したら民家の2階まで浸水すると言われていたが、まさか本当に起こるとは……」と苦い表情で振り返った。

 ハザードマップは水防法に基づき、国や都道府県などの河川管理者が洪水の危険性が高いとして指定した河川が流れる流域の市区町村が作る。

 河川管理者が予想される降雨量や堤防の場所などを基に作った浸水想定区域図に市区町村が避難所などを加える。17年3月時点で全国で約1300市区町村が公表しており、倉敷市も16年にマップを作り全戸に配った。

 真備町地区は今回の堤防決壊で地区面積の4分の1が水没し、浸水区域はハザードマップの想定とほぼ同じ。小田川流域で「100年に1度程度」とされる「2日間で225ミリ」の雨が降った場合、地域の大半が「2階の軒下以上まで浸水する」(5.0メートル以上)と想定していた。

 浸水は11日、ほぼ解消したが、市の防災担当者は「マップを配るだけでなく、確認を繰り返し呼びかけるなどの対応が必要だった」と話す。

 地区には過去の浸水被害を覚えていながら、迅速に避難できなかった高齢者も目立つ。

 市立薗(その)小学校に避難した女性(80)はハザードマップを見た記憶はないが、1970年代の小田川の浸水も覚えており、床下程度の浸水を想定し自宅の土台も高くした。

 だが6日の避難指示の放送も聞いており、隣人も避難する車に同乗するよう声を掛けてくれたが「こんなに水が来るとは思わんかった」。避難せず、2階に取り残されていたところを消防隊員にボートで救助され、「甘かった」と反省する。

 2015年の関東・東北豪雨では茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、多くの地区が水につかった。同市は09年にハザードマップを公表。浸水想定区域も示していたが、住民の多くが逃げ遅れて救助された。

 国土交通省は常総市の水害を受け、16年にハザードマップ作製の手引を改定。屋内避難での安全確保が難しい区域では早期の立ち退き避難が必要な区域を設定することや、地域における水害の特性を分析することを盛り込んだ。同省水防企画室は「今回の豪雨を機に自分の市区町村のマップを確認し、避難に生かしてほしい」と訴える。

 兵庫県立大の室崎益輝教授(防災学)は避難の遅れについて「気象や避難に関する情報が細かくなった分、判断が個人任せになり、結果的に自宅にとどまる人が多くなった可能性がある。一人でなく、近隣で声を掛け合って判断できるよう平時の訓練が必要だ」と強調した。


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岡山 倉敷 真備 ハザードマップ (倉敷市が作ったハザードマップとほぼ一致)倉敷の浸水、河川改修予定だった 5m予測の地域が被害
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2015 0915


倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ (平成28年8月作成、平成29年2月更新)

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災害ボランティアセンター設置状況です。

http://www.town.yakage.lg.jp/syakyo/yakage.htm 
http://www.okayamashi-shakyo.or.jp/2018/07/1043/  
http://kurashikisyakyo.or.jp/  
http://www.sojasyakyo.or.jp/ 
http://kasaoka.or.jp/ 
http://www.takahashi-shakyo.org/00news/news20180709.html 
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西日本豪雨/浸水域は想定内、守れた命/ハザードマップ生かせず

  西日本豪雨で川が決壊した岡山県倉敷市真備町地区は、過去にも洪水を経験していた。市は決壊時に想定される浸水域を記した「洪水ハザードマップ」を作製。その予測と今回の実際の浸水域はほぼ重なった。それでも40人を超す犠牲者を出した。命は守れなかったのか。課題が残った。

 ▽一致

 東部に高梁川、南部に小田川が流れ、北西部は山で囲まれた真備町地区。1970年代にも大規模な洪水被害が発生したことがあった。

 市が2017年に作製した地区周辺のハザードマップでは、小田川流域で「100年に1回程度」とされる「2日間で225ミリ」の雨が降り、小田川の堤防が決壊すれば、北側の広い範囲と南側の一部が浸水すると想定。浸水の深さは、多くが「2階の軒下以上まで浸水する」という5.0メートル以上としていた。

 国土交通省が発表した小田川の氾濫発生情報によると、5日午前0時からの48時間で小田川流域各地に平均で246ミリの雨が降った。決壊が起こり、浸水被害は想定されたエリアとほぼ一致し、水位は住宅の2階まで上昇した。増水のスピードが速かったとはいえ、ハザードマップ通りの災害が発生したことになる。

 ▽反映

 ハザードマップは、浸水の想定域や規模、地区ごとの避難場所や避難ルートを記載した地図。氾濫の恐れがある河川を抱える市区町村に対し、05年に作製と住民への周知が義務付けられた。昨年3月時点で対象は全国1331市区町村。うち約98%が作製済みだった。

 問題はどう現実の防災に反映させるかだ。15年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川が決壊。約3分の1が浸水した茨城県常総市でも今回同様、ハザードマップと実際の浸水域がほぼ一致した。しかし、市庁舎自体が想定範囲内にあり浸水したほか、浸水で利用できなかった避難所も相次ぐなど、危機管理の問題が浮き彫りになった。

 中央大の研究室による豪雨後の市民聞き取り調査で、マップを見たことがあると答えたのは3割程度にとどまった。

 ▽意識

 国交省は自治体向けの手引で、マップを使った避難訓練や説明会を日ごろから開催するよう要請。パソコンやスマートフォンなどで閲覧できるようにする工夫も呼び掛けている。

 倉敷市も各世帯に配布し、ホームページ上で公表。職員が浸水想定地域へ出向き、防災の「出前講座」もし、氾濫の恐れがある場合の早めの避難を呼び掛けてきた。

 だが、自宅1階が浸水し、避難した真備町辻田の会社員井上清美(いのうえ・きよみ)さん(55)は「一度も見たことがない」と言う。05年に町は倉敷市に合併され、行政の広報誌から自分たちの地域の情報が減り、目を通す関心も次第に薄れた。井上さんは「地域のことを知ろうとする意識が低かったのかもしれない」と反省しつつ、「決壊の恐れがあると知っているのと知らないのでは大違い。しっかり知らせてほしかった」。

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水没の岡山・真備町 以前から危険性懸念も

 西日本豪雨で町全体の3分の1が水没した岡山県倉敷市真備町は、ハザードマップで危険性が懸念されていた地域だった。今回のような豪雨から命を守るために必要な備えと心構えは何か取材した。

晴れの国を襲った豪雨による悲劇。多くの犠牲者が出た倉敷市真備町。町全体の3分の1を水没させた爪痕があちこちに残る。

「倉敷市も昨年度、新しい洪水ハザードマップを公表していて、ハザードマップが予測した通りの浸水被害になっているわけです」-今回の豪雨被害について、こう分析するのは地質学の専門家、香川大学、創造工学部の長谷川修一教授。

長谷川教授が指摘したハザードマップでは、今回浸水したエリアは5メートル以上の浸水が想定されていた。

長谷川教授「真備町は東に高梁川が流れていますよね。その西側の低湿地帯なんです。もともと低湿地で軟弱だったところ。そこに町が広がって家が建ってきたというのが土地の成り立ちです」

まさかは心の油断。自分が住んでいる場所の特徴をしっかり把握しておくことが最も大切なことだ。

長谷川教授「まずは、自分がどういう災害にあうところに住んでいるかということを、ハザードマップなどで確認いただくと」

ハザードマップはホームページでも確認できる。GIS(地理情報システム)を使ったものでは、土砂災害、洪水、地震などそれぞれの災害時における危険性を知ることができ、岡山・香川ともに利用できる。

身の回りに潜む危険を知り正しい行動を取ること。それが命を守る一番の方法だ。
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岡山県民の「ハザード意識」の改革! 「危険地図」生かせず 浸水区域は“想定内” 倉敷・真備町  


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倉敷市真備町  VS 矢掛町
同様の被害(小田川の氾濫)なのに、「報道も支援もなかった!矢掛町」から「復旧・被災地の”ボランティア格差”」にもあった矢掛町! 何が原因か? マスコミの報道の不平等性? 自治体のアピール度?の「差」か 









岡山 矢掛の小中高生が復旧作業に参加   (矢掛町本堀の中川公民館 西川面の町B&G海洋センター)/ 
「報道も支援もない…」住民の悲痛な声 小田川周辺で孤立する地域 岡山 矢掛町など


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 復旧・被災地に“ボランティア格差”の解消は?

(1) マスコミの偏った報道による2次被害?・格差?(せめて、報道は平等になるよに努力を)
(2) 市町村の「発信力」による2次被害?・格差?(マスコミ等の報道がない場合は、町長や市長の発信力がカギ)
(3)公共交通手段等によるインフラ状況による2次被害?・格差?
(4) 市町村のボランティアの受け入れ体制・組織力不足(ボランティアを市町村にお願いしても、1週間以上、こないなど「声」も)

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「地域・地区での取り組み」で「差」

「ハザード意識」の「差」で、  「全員が無事に避難」! (愛媛 大洲・三善地区)

政府の初動の遅さもあって、西日本豪雨が未曾有の被害をもたらした中、激しい水害に遭いながらも一人の犠牲者も出さず、全員が無事に避難できた地域がある。愛媛県大洲(おおず)市三善(みよし)地区である。

 三善地区中を流れる1級河川の肱川(ひじかわ)は、今回の豪雨により氾濫した。同地区では7日午前には避難勧告が発令され、約60人の住民が災害発生時の避難所となっていた公民館へ避難するも、その公民館までもが浸水しそうになった。公民館に避難していた住民はすぐに高台となっている変電所へ避難し、難を逃れたという。

 これほどの規模の水害にもかかわらず、約60人の住民全員が無事に避難することができた。いったい、どのようにして大規模な水害から難を逃れたのか。

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【大洲・三善地区】公民館に避難の住民ら、危機察知し高台へ

 
【防災事業で浸水想定地図作製】
 住民の結束力と防災のノウハウの共有化が危機回避につながった地域がある。肱川を挟む田園地帯に4集落がある大洲市三善地区。水害の危機を察知した住民約60人は、避難所の公民館から高台の施設に移り、難を逃れた。住民が作製していた災害マップに記された浸水想定区域は、今回の豪雨で実際に浸水した。その中には公民館も含まれていた。
 肱川の洪水被害や土砂崩れなどが懸念されていた三善地区。「県内でいち早く防災計画を立てた」(地区自主防災組織本部長の男性)といい、2016年度には自然災害の被害軽減に向けた内閣府の「災害・避難カード」モデル事業に選ばれた。自主防災組織などで住民の名前や薬の服用などを記したカード、水害と土砂災害時の避難場所などを確認するマップを作り、各家庭に配布。要支援者も把握した。
 
【避難所から移動、難逃れる】
 7日の午前7時、地区に避難勧告が発令。避難を告げる有線放送が響き、住民はカード持参で各避難所に向かった。公民館にも約60人が集まった。上流の鹿野川ダムが放流を続けていると知った自治会長の男性(74)は「このままでは公民館も漬かる」と感じた。車が通れるうちにと、公民館より高い位置にある四国電力変電所の施設内に全員移動した。
 7日午後にはマップに記されていた浸水想定区域は一面、湖のように。男性は「学んでいたノウハウが先を見通した判断につながった」と振り返る。自治会で3年かけて購入した保存食150食は住民の糧となった。
 「今までは机上の話だった。これからは連絡体制の強化など、状況が落ち着いたらもう一回考えていきたい」。窪田さんは猛暑に負けず、住民とともに災害後の片付けに汗を流している。
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まとめ
 
3つの「ハザード意識」
(1)公助   (2) 共助  (3)自助

で助かる。
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小田川決壊 「越水」が主因か  岡山 倉敷 真備  (国調査委一致、外側から削られる)


今回の豪雨で、倉敷市真備町に浸水被害をもたらした小田川とその支流の堤防の決壊の原因などを究明する調査委員会が開かれ、水位が堤防の高さを越えたことが主な要因と考えられるという意見で一致しました。

調査委員会は、河川や地質の分野の大学教授など7人で構成されています。
今月10日の現地調査をもとに、倉敷市真備町に浸水被害をもたらした小田川や、その支流の8か所の堤防決壊箇所について、原因などを分析しました。
その結果、川の水位が堤防の高さを越える「越水」が主な要因と考えられることが分かりました。
今後、さらに決壊の時系列などの調査を進め、10月にも堤防の本工事に着手したいということです。

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倉敷・小田川堤防決壊の主要因は越水 国調査委一致、外側から削られる


 西日本豪雨により岡山県倉敷市真備町地区の小田川が決壊した原因を探っている国の調査委員会(委員長・前野詩朗岡山大大学院教授)は27日、岡山市内で会合を開催。川の水があふれ出て「越水」し、堤防が外側から削られたことなどが影響したとの見解で一致した。

 地盤・地質や河川の専門家ら委員7人が出席し、非公開で行われた。終了後に会見した前野委員長は「現段階では、水流で堤防(外側ののり面)が削られ、破堤したことが主な原因と考えられる」と説明した。ただ、河川の水が堤防に染みこんでもろくなるなど、複数の要因が絡んだ可能性もあるとみている。

 越水を主な原因とした根拠については、テレビ報道で流れた映像での確認に加え、決壊場所近くの堤防上に漂流したごみが残るといった痕跡があることを挙げた。また、越水の発生原因に関しては、本流である高梁川の水位が上がり、支流の小田川の水が流れにくくなる「バックウオーター現象」によって引き起こされたとの見方を示した。

 今回の豪雨で真備町地区では、小田川2カ所が決壊したほか、同川の支流である末政川、高馬川、真谷川の3河川でも計6カ所が決壊し、推計で4600戸の浸水被害が出た。同委員会は、支流の6カ所も同じく越水が要因で破堤したとみている。

 次回会合は8月中旬ごろを予定。詳しい要因を明らかにするとともに、今秋以降に取り組む堤防の本復旧工事の工法を協議していく。

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洪水の原因になった指摘も…台風接近を前に小田川の中州の樹木を伐採

台風の接近を前に、倉敷市真備町を流れる小田川の中州などに生えている樹木の伐採が行われています。

(記者)
「今重機を使って、水の流れをスムーズにする作業が行われています」

 小田川の中州に生い茂っていた木を倒して、重機で取り除いています。

 今回の豪雨では、真備町を流れる小田川の堤防2カ所が決壊しました。住民からは、川の中州などに生えている木が放置されていて、これが洪水を招く要因だったのではないかとの指摘が上がっていました。


重機を使って取り除く
 こうした声に対し、倉敷市の伊東市長は会見で「国に対して何年も前からお願いして整備していただいている」と反論していました。

 国土交通省では「この作業は、毎年秋以降に行っていて、今年は豪雨でごみなどが引っかかるなどしたためその撤去も含めて時期を早めた」と説明しています。
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国が倉敷・小田川中州の樹木を緊急伐採 地元は堤防決壊前から再三要望

 西日本豪雨で堤防が決壊した岡山県倉敷市真備町地区の小田川で、国土交通省岡山河川事務所が川の中州などに茂った樹木の伐採に緊急着手したことが27日分かった。国の河川整備計画は中州の樹林化が小田川の流下能力低下を招いていると明記しているが、未伐採の区間が相当量残っている。同事務所は「今回の決壊の大きな要因とは考えていない」とするが、地元では「伐採が進んでいれば被害が少しでも抑えられたのではないか」との声が聞かれる。

 小田川は大雨で本流である高梁川の水位が上がると水が流れにくくなり、氾濫につながるバックウオーター現象が起きやすいとされる。中州や河川敷の樹林化は増水時に川の流れを妨げる上、流木やがれきが引っかかるとさらなる水位上昇を招く恐れがあり、国が2010年に策定した河川整備計画は「小田川の流下能力不足の原因は高梁川からの水位上昇に加え、河道内の樹林化がある」などと記載。今秋にも着工する高梁川との合流地点の付け替え工事に加え、中州の樹木伐採などを治水対策として盛り込んでいる。

 同計画に基づく伐採は付け替え工事の完成後に実施することを想定しているが、同事務所は15年度から通常の河川維持管理の一環として着手。毎年11月から翌2月ごろにかけて作業し、3年間で約15ヘクタールを刈り取った。しかし未実施区間も相当量残っており、2カ所の決壊地点周辺の中州では樹木が森のように密集している。

 同事務所の緊急伐採は23日から重機数台を投入して実施。中州にたい積したがれきやごみも撤去しており、9月ごろの台風シーズンまでに可能な限り広い範囲を刈り取りたい考え。増水時の水流がスムーズになり、仮復旧工事を終えたばかりの堤防の負担を軽くする効果が期待できるという。

 樹林化と今回の堤防決壊との因果関係については、岡山大大学院の前野詩朗教授(河川工学)が「影響はゼロではないだろうが、詳細に検証しなければ分からない」と指摘するなど、現時点で影響の度合いは判明していない。

 ただ、真備町地区住民らは早期伐採を再三求め、県も5月、こうした地元要望を国に伝えていた。同地区の避難所に身を寄せている女性(69)は「川の中の樹木が生い茂り、根元に枝木やごみが絡まって流れが悪くなることを心配していた。もっと早く対応してもらえれば少しは状況が違ったかもしれない」と話す。

 国交省岡山河川事務所は緊急伐採を終了した後の対応について「現時点でどのようにしていくかは未定」としている。
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異例の浸水5m、住宅2階避難でも溺れる恐れ

 西日本豪雨で小田川などの堤防が決壊した岡山県倉敷市 真備 まび町では、浸水の深さが広い範囲で5メートルを超え、最大で5・4メートル近くに達していたことが、土木学会の調査で分かった。これまで国土地理院がインターネットに投稿された画像などを基に推定した4・8メートルが最大の深さと考えられていたが、それを大きく上回る結果となった。

 同学会水工学委員会のメンバーが浸水区域を巡回し、住宅の壁や窓に残る泥の痕跡などの高さを測定。133か所で得たデータに基づき小田川左岸(北側)の浸水状況をコンピューターで再現、深さ1メートルごとに色分けした地図を作った。

 その結果、真備支所などがある町の中心部付近では深さ5メートルを超えた場所が東西3・5キロに及んでいた。このうち 箭田 やた地区では最も深い5・38メートルを観測した地点もあった。

 一般の住宅では浸水が4メートル程度になると、2階に避難しても溺れる恐れがある。メンバーの 二瓶 にへい泰雄・東京理科大教授(河川工学)は「今回の豪雨では2階に逃げる前提で自宅にとどまった人もいるだろうが、大雨時には浸水しない区域に早く逃げることが重要だ」と話した。

 島谷幸宏・九州大教授(河川工学)の話「近年の水害で浸水が5メートルを超えたという例は聞いたことがない。ハザードマップを確認し、避難行動を事前に考えておく必要がある」
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西日本豪雨、土砂災害も予測一致 広島や愛媛ハザードマップ
 
  西日本豪雨によって多くの犠牲者を出した広島県や愛媛県の土砂災害の現場を、行政が事前に危険箇所を示したハザードマップと比較したところ、ほぼ予測通りだったことが30日、各自治体への取材などで分かった。

 ハザードマップを巡っては、川の決壊で大きな被害が出た岡山県倉敷市真備町地区でも、実際の浸水域と、ほぼ一致していたことも既に判明。あらかじめ危険性を把握する手段としての重要性が改めて浮かぶ結果に、専門家は「危険回避に活用を」と訴える。

 災害地図とも呼ばれるハザードマップは、地形や地質などから自然災害を予測し、警戒すべき区域や避難ルートなどを明示している。
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岡山 真備 命つないだ自主避難 尾関の奇跡 熊野神社



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 西日本豪雨、死者・行方不明者の5割超が屋内で被災
  7月の西日本豪雨による死者・行方不明者の5割超は屋内で被災していたとする調査結果を、静岡大防災総合センターの牛山素行教授(災害情報学)がまとめた。

 岡山県倉敷市の洪水被害などで、建物自体は流失しなくても、屋内にいて被災したケースが多かったためとみられる。牛山教授は「近年発生した他の豪雨や台風被害に比べて、屋内で被害にあった人の比率が高いようだ」と分析している。

 牛山教授は西日本豪雨の死者・行方不明者231人について被災場所を調査。「屋内」で被災した人は124人(53・7%)で、「屋外」の59人(25・5%)よりも多かった。

 被災場所がわかっていない「不明」も48人(20・8%)いるが、牛山教授は「屋内で被災した可能性のある人が多い」とみている。

 被災の原因別では土砂災害が125人(54・1%)で最も多く、洪水の82人(35・5%)を上回った。
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岡山県 真備町地区の浸水深最大5.4m 土木学会報告「2階避難も困難」


  西日本豪雨により甚大な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町地区で、浸水の深さが広い範囲で5メートルを超え、最大で約5・4メートルに達していたことが4日、土木学会(東京)の調査報告会で明らかになった。国土地理院は災害の発生当初、インターネットに投稿された画像などから最大の浸水深を4・8メートルと推計していたが、実際にはさらに上回っていたことが判明した。

 土木学会によると、浸水区域で住宅の壁に付着した泥などの痕跡を147カ所で調べた結果、同町箭田地区の住宅で最も深い5・38メートルに達していた。調査箇所を基に浸水範囲を分析し、浸水深が5メートルを超えるエリアは同町箭田、有井、川辺地区にまたがる東西3・5キロ、南北1キロに及んでいたと推計した。

 一戸建て住宅では3メートル以上の浸水で1階が水没し、5メートル超では2階の床上1・8メートルまで水位が達したケースがあり、土木学会メンバーの前野詩朗・岡山大大学院教授(河川工学)は「2階への避難も難しかった可能性がある」と報告した。

 前野教授は、真備町地区で決壊した当時の小田川について、国が今秋にも着工する高梁川への合流部付け替え工事が完了していた場合、川の水位が少なくとも1・5~0・9メートル程度低下したとの推計も示した。

 前野教授によると、西日本豪雨では小田川の最大水位は決壊した2カ所のうち下流部が16メートル余り、上流部が17メートル近くに達していたとみられる。付け替え工事が終わっていれば、小田川から高梁川への水の流入がスムーズになり、浸水被害が軽減していた可能性があるという。

 調査報告会は広島市内で開かれた。土木学会は調査団をつくり、真備町と広島県内の被災状況を調べている。団長で土木学会長の小林潔司京都大教授は「災害の状況が今までの常識とは明らかに異なっており、気候変動の影響がいろいろな形で出ている」と話した。


岡山県内の被害=4日午後7時現在
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 岡山県災害対策本部の4日午後7時までの被害まとめでは、住宅関係が全壊4090棟(前日比27棟増)、半壊1696棟(同34棟増)、一部損壊505棟(同22棟増)、床上・床下浸水約1万620棟。2223人の避難所生活が続いている。死者61人、行方不明者3人は前日までと変わっていない。
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岡山県の今後のPR戦略? 「晴れの国おかやま」襲った豪雨…自治体の「災害少ない」PRが準備遅らせたか

 7月の西日本豪雨で広島、愛媛両県などともに甚大な被害を受けた岡山県。これまでは「晴れの国おかやま」をキャッチフレーズに「災害が少ない」とPRして移住・定住の促進などを図ってきたが、今回の水害では倉敷市真備町地区だけで51人の犠牲者を出すなど、そのイメージは大きく損なわれた。水害のみならず、遠くない将来に発生する南海トラフ巨大地震を念頭に、「災害の発生は時と場所を選ばない」という警戒の姿勢へと軌道修正が求められている。(吉村剛史)

「晴れの国」の根拠とは

 「災害が少ないという漠然とした信頼感が、(県民の)避難の遅れにつながった可能性は十分にある」

 豪雨発生後に会見した岡山県の伊原木隆太知事は沈鬱な表情でこう語った。影響自体は検証できていないとした上で、「災害が少ないことイコール安全ではないと発信してきたつもりだが、油断があった」と唇をかんだ。

 県は、気象庁が公表する平年値(過去30年間の降水量や気温などを平均した値で10年ごとに更新)のうち、全国都道府県庁所在地などの年間の「降水量1ミリ未満の日数」が最多であることを理由に、平成元年以降「晴れの国おかやま」をアピールしてきた。

 ただし、年間降水量が全国で最少というわけではなく、意図的な対外イメージづくりだったとの指摘もある。

本当に「地震が少ない」?

 同時に県は大正12年〜平成27年までに県内の震度4以上の地震回数の少なさの比較で、全国3位の16回だったことなどを強調し、「晴れ」の明るいイメージとあわせて「災害が少ない」とし、移住・定住促進に力を入れてきた。

 ただ、この調査でも最少は佐賀(8回)で、岡山が首位というわけでない。「全国の中で比較的少ない」ことに着目したキャッチフレーズといえる。

 また県が作った「移住・定住ガイドブック おかやま晴れの国ぐらし」では、「震度1以上を観測した地震は、平成23〜27年の過去5年間で93回程度です。震度3は6回、震度4は2回で、ほとんどが震度2以下となっております」と紹介されている。

 こうした地震(災害)が少ないという発信の成果は、特に平成23年の東日本大震災以降に顕著で、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの「移住希望地域ランキング」によると、岡山県は23年は全国15位だったが、東日本大震災翌年の24年は一気に2位に浮上。25〜26年3位、27年5位と近年は上位に入っている。

 また県が実施した28年度上半期の県外からの移住者を対象にしたアンケートで、移住の理由について「災害が少ない」と答えた割合が25・6%で最も高かった。

 対外的な影響だけでなく、今回の豪雨の被災地を中心とする多くの県民も「大きな災害はないと思っていた」と証言しており、もともと自主防災組織率の低さなどは県の長年の課題だった。

「水に悩まされたきた」歴史も

 歴史的に見れば岡山は「水に悩まされてきた地域」という印象も根強い。天正10(1582)年、豊臣秀吉が川の水を引き込み城を孤立させた備中高松城(現在の岡山市北区高松付近)水攻めや、天正19(1590)年とする説が有力な吉井川の氾濫・大洪水で、日本刀の産地の備前長船の刀工らが大打撃を受けた歴史が知られるためだ

 近代でも明治17(1884)年には現在の倉敷市福田町古新田を高潮が襲った。また同26(1893)年には県内で423人もの死者を記録した大洪水が発生。その際、現在の倉敷市真備町地区と総社市の一部では164人が溺死したとされている(吉沢利忠著「沈む島消えた町−瀬戸内のミステリー」昭和59年、山陽新聞社)。

死傷者1万5000人を想定

 地震も直接的な震源ではないが、被害が出ている。昭和21(1946)年、和歌山県潮岬沖で発生したマグニチュード(M)8の昭和南海地震では、岡山県でも死者52人、負傷者162人、建物被害は全壊1201戸、半壊2707戸にのぼり、線路の沈下や堤防の決壊、道路の損壊などがあった。

 被害をもたらした要因は、地震動に伴う土地の液状化とされ、干拓地と沖積層の地域で被害が多発。噴水や噴砂などの液状化現象特有の記録が残る。

 岡山県では昭和南海地震の際の津波は高さが1メートル以下で被害記録はないが、江戸時代の安政南海地震(1854年12月24日、M8・4)では、最高5メートル程度の津波が発生したとも。

災害を警戒し災害に強い県へ

 過去約100年のデータからみて、岡山県は他地域に比べると活断層も地震活動も少ない。しかし、水害も含め被害がまったくなかったということではない。

 しかも岡山大の地震地質研究者は「100年程度のデータでは地震の起こりかたを議論するには不十分という見方もあり、今後も少ないという保証はない」と指摘。県内は活断層が目立たないが、地形には現れない「隠れ活断層」の評価は研究途上にあり、科学的に熊本地震と同レベルの地震がないとは断言できないという。

 さらに今後発生が想定される南海トラフ巨大地震では、県危機管理課は「最悪の場合、M9クラスで最大震度6強の地震が発生し、津波などによって(県内の)死者は3111人、負傷者は1万1745人に達する」と被害を想定している。

 現在、検証などの対応に追われる県だが、今後は「災害を警戒し、万一災害があっても強い」という態勢づくりが急務で、岡山のアピールの方法も含め軌道修正に迫られている。


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在庫切れ多発…西日本豪雨で高まるハザードマップの重要性 地域で独自防災マップづくりも


 9月1日は「防災の日」。国や自治体は、改めて住民にハザードマップの活用を呼びかけている。西日本豪雨で甚大な浸水被害が出た岡山県倉敷市真備(まび)町では実際の浸水域が予測浸水域とほぼ重なり、その有用性が改めて実証された。各自治体には豪雨後、「ハザードマップがほしい」といった問い合わせが増加。地域ごとに危険箇所や避難経路などを盛り込んだ独自の防災マップを作成する取り組みも広がり始めている。

在庫切れ訴え

 「在庫がなくなったので追加で送ってほしい」

 西日本豪雨後、大阪市危機管理課には区役所からハザードマップの“注文”が相次いだ。在庫切れを訴えたのは全24区のうち都島、福島、西など11区と、半数近く。自治会の役員が地区の住民に改めて配布したいと200部以上を求めるケースもあった。ホームページから閲覧することもできるが、「紙で見たい」と役所を訪れる高齢者もいるという。

 担当者によると、ハザードマップは平成27年2〜3月に市内全世帯に個別配布したが、「どこにいったか分からない」「捨ててしまった」という市民も多いとみられる。

 淀川、大和川といった大きな河川と海に囲まれた大阪市は、市街地の9割が平坦(へいたん)な低地で、自然排水が困難な地形。集中豪雨や津波により大きな浸水被害が起こりやすいとされる。

 国土交通省では昨年、「千年に1度の大雨」で淀川水系が氾濫したとの想定で浸水区域を公表。大阪、京都の27市町で浸水し、大阪市の河口部周辺は50センチ以上の浸水が最長18日間続くとした。

 担当者は「西日本豪雨を受けて、自分たちの地域はどうなるのだろう、と関心を持つ市民が増えた」と指摘している。

住民自ら作成

 一方、ハザードマップに加え、住民自らが地域ごとの詳しい防災情報を地図に落とし込み、独自の防災マップを作成する取り組みも進んでいる。

 将来、南海トラフ巨大地震が予測される大阪府では26年ごろから、市町村に対し防災マップづくりを推奨。府職員が自治体と連携し、地域住民とともに町を歩いて危険箇所を探し、マップを作成するワークショップも開催してきた。

 府に先駆けて取り組んできたのが、同府和泉市だ。22年ごろから、地域ごとに手作りの防災マップを作成。29年度までに市内の山間部を中心とした20町でマップを完成させた。

 作成の方法はまず、町会の役員ら20〜30人が4、5班にわかれて町を歩き、水があふれそうな場所や倒壊の恐れがあるブロック塀など危険箇所をチェック。次に避難所までの経路や注意すべき河川・水路、災害時に支援が必要な住民の所在地を確認し、A3程度の紙の地図に書き込んでいく。裏面には町会の役員の連絡先など地域の情報を記載。完成したマップは、町内全戸に配布した。冷蔵庫など目につきやすい場所に貼っておくことを勧めているという。

 同市の担当者は「防災マップは実情にあった危険箇所・避難経路の確認ができるうえ、町歩きなどを通して住民の防災意識が高まる」と効果を強調する。

 23年の紀伊半島豪雨で被害が大きかった奈良県でも、地域の防災力向上につなげてほしいと防災マップ作りを進めている。担当者は「地図を描いて近所の人と話し合うことで、地域の危険箇所を詳しく知ってもらい、いざという時に役立ててほしい」と話している。

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 ハザードマップは市区町村の窓口やホームページ、国土交通省のポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)で閲覧できる。

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2015 0915


倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ (平成28年8月作成、平成29年2月更新)

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