岡山県民の「ハザード意識」の改革! 「危険地図」生かせず 浸水区域は“想定内” 倉敷・真備町 

 (「地域・地区での取り組み」で「差」 「ハザード意識」の「差」で、  「全員が無事に避難」! (愛媛 大洲・三善地区)

3つの「ハザード意識」
(1)公助   (2) 共助  (3)自助

で助かる。 倉敷・真備町は、「不足」していた?
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倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ (平成28年8月作成、平成29年2月更新) 
 
  西日本豪雨で4分の1が冠水した岡山県倉敷市真備町地区は想定される浸水区域や避難場所をまとめた「洪水・土砂災害ハザードマップ」を2016年に作製していた。今回浸水した区域と予測した区域はほぼ同じで想定内だったが、多数の犠牲者が出た。「見たことがない」という住民もおり、市からは「繰り返し確認を促すべきだった」との声も出ている。

 

 「ハザードマップは一度も見たことはなかった」。真備町地区を流れる小田川が決壊した堤防近くに住む穂井田良さん(64)は悔やむ。倉敷市が6日に流した避難指示の放送は聞き取れなかった。実際に川を見に行くと水位は高くなく、その日は自宅で過ごした。

 7日未明に堤防は決壊。数分後に自動車で避難を始めたが、渦を巻きながら水が迫り、間一髪で逃れた。「昔から堤防が決壊したら民家の2階まで浸水すると言われていたが、まさか本当に起こるとは……」と苦い表情で振り返った。

 ハザードマップは水防法に基づき、国や都道府県などの河川管理者が洪水の危険性が高いとして指定した河川が流れる流域の市区町村が作る。

 河川管理者が予想される降雨量や堤防の場所などを基に作った浸水想定区域図に市区町村が避難所などを加える。17年3月時点で全国で約1300市区町村が公表しており、倉敷市も16年にマップを作り全戸に配った。

 真備町地区は今回の堤防決壊で地区面積の4分の1が水没し、浸水区域はハザードマップの想定とほぼ同じ。小田川流域で「100年に1度程度」とされる「2日間で225ミリ」の雨が降った場合、地域の大半が「2階の軒下以上まで浸水する」(5.0メートル以上)と想定していた。

 浸水は11日、ほぼ解消したが、市の防災担当者は「マップを配るだけでなく、確認を繰り返し呼びかけるなどの対応が必要だった」と話す。

 地区には過去の浸水被害を覚えていながら、迅速に避難できなかった高齢者も目立つ。

 市立薗(その)小学校に避難した女性(80)はハザードマップを見た記憶はないが、1970年代の小田川の浸水も覚えており、床下程度の浸水を想定し自宅の土台も高くした。

 だが6日の避難指示の放送も聞いており、隣人も避難する車に同乗するよう声を掛けてくれたが「こんなに水が来るとは思わんかった」。避難せず、2階に取り残されていたところを消防隊員にボートで救助され、「甘かった」と反省する。

 2015年の関東・東北豪雨では茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、多くの地区が水につかった。同市は09年にハザードマップを公表。浸水想定区域も示していたが、住民の多くが逃げ遅れて救助された。

 国土交通省は常総市の水害を受け、16年にハザードマップ作製の手引を改定。屋内避難での安全確保が難しい区域では早期の立ち退き避難が必要な区域を設定することや、地域における水害の特性を分析することを盛り込んだ。同省水防企画室は「今回の豪雨を機に自分の市区町村のマップを確認し、避難に生かしてほしい」と訴える。

 兵庫県立大の室崎益輝教授(防災学)は避難の遅れについて「気象や避難に関する情報が細かくなった分、判断が個人任せになり、結果的に自宅にとどまる人が多くなった可能性がある。一人でなく、近隣で声を掛け合って判断できるよう平時の訓練が必要だ」と強調した。


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倉敷市真備町 死亡の9割は65歳以上

倉敷市真備町では、50人が死亡し、13人の行方がわからないままです。
名前が分かった人を調べたところ、地域では有井などに集中し、全体の9割近くが65歳以上だったことがわかりました。

倉敷市真備町で死亡した50人のうち、名前が分かった人の住居を示しています。
赤色が65歳以上、65歳未満の黄色は1人だけです。
最も多いのは有井の11人、川辺と辻田が5人、箭田と服部が4人などと続いています。
今も、13人の行方が分からないままです。
死亡した人は、倉敷市が51人、岡山市と総社市が2人、笠岡市、井原市、浅口市、里庄町がそれぞれ1人です。
また、行方の分からない人は、倉敷市が22人、高梁市、新見市、井原市、鏡野町でそれぞれ1人です。

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<西日本豪雨>岡山・真備 70年代に70センチまで浸水

茶色く濁った水からのぞくグレーの病棟に、自衛隊のボートからはしごが伸びる。岡山県倉敷市真備(まび)町地区の小田川の堤防が7日未明に決壊し、2階まで浸水した「まび記念病院」。搬送は2日間続き、約300人の救出完了を確認できたのは9日未明だった。

 2014年に新築された病院の屋外にある非常用発電機も水没した。災害時の設備だが、高さ50センチの場所にあり、役に立たなかった。「地元の方から70センチまで浸水したことがあると聞いていたのに……」。入沢晃己(てるみ)事務部長は言葉をのみ込んだ。

 岡山県西部を流れる高梁川流域では1893年以降、100棟以上が浸水する水害が11回あった。約4600世帯が浸水した今回の規模の水害は、1970年代以来だった。

 地区中心部にある市役所真備支所も7日午前1時ごろから浸水し始めた。「2階もだめ」。本庁にSOSが伝えられ、職員がボートで退避できたのは8日昼。支所は市作成のハザードマップの浸水域に建つが、機能不全に陥った時の対応策はなく、三谷育男支所長は「想定していない事態。何とか耐えてほしいという思いだった」とうなだれた。

 地区には24カ所の避難所が指定されていたが、ハザードマップで洪水や土砂災害の危険がある19カ所は使えず、3カ所しか開設できなかった。180人が定員だった市立岡田小には、一時約2000人が避難。土砂災害警戒区域のため本来は使えない真備総合公園にも大勢が集まった。

 同市真備町川辺の電気店経営、水川良介さん(32)が通っていた市立川辺小のグラウンドには76年9月13日の水害を伝える石碑が建つ。「大人の腰くらいまで浸水した」という先生の説明をかすかに覚えていた。消防団員でもある水川さんは6日夜もパトロールに出た。経験のない水位の上昇に「石碑の水害が本当に起こるとは」と振り返った。

 4年前に新築した平屋建てが浸水した会社員の男性(42)は、住み始めてから過去の水害を知った。「映像を見たわけじゃなく、昔の水害の実感が湧かなかった。2階建てにしなかったのは甘かった」と悔やんだ。

 「晴れの国」。晴れの日の多さから岡山県のPRに使用されるキャッチフレーズだ。復興庁によると、6月現在、岡山県に移住している東日本大震災の被災者は西日本最多の994人。県は「災害が少ない印象があるのでは」と分析する。

 石碑は流されず、残った。ただ、下部が汚泥に埋もれ、刻まれた日付は「昭和五十一年九月十」とまでしか読めなかった。近くの男性(71)は石碑のそばで当時を振り返った。「あのときはまだ床下浸水だった。最近の異常気象で、いつかこうなると思っていた」


 ◇土砂災害リスク1.4倍に 「局地・激甚化」気象庁が警告

 気象庁によると、土砂災害のリスクが高まる1時間に50ミリ以上の大雨が降る頻度は、1970〜80年代に比べ、この10年では1.4倍に増えた。同庁は、近年の雨の降り方を「新たなステージに入った」と位置付け、「局地化、集中化、激甚化している」と警告している。

 国土交通省の報告書(2015年1月)は、地震・津波対策が最大クラスを想定して進められているのに対し、洪水については浸水予想図の作成程度で、「社会全体の危機感が希薄だ」と分析。「住民の心構えの醸成」や「災害リスクの認知度の向上」が必要だとまとめている。

 東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)によると、津波調査では碑のある地域の方がない地域よりも死者数が少なかった。佐藤准教授は「被災経験の伝承は次世代の命を守るために力を持つ。家族や親族から危機感とともに聞くことで心に刻まれ、科学的分析による将来の想定は学校で学ぶ。この両輪が作用すれば、防災上大きな効果をもたらす」と指摘する。

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<西日本豪雨>6カ所決壊、真備支流 岡山県が20年放置


 西日本を襲った記録的豪雨に伴う河川の氾濫で多数の犠牲者が出た岡山県倉敷市真備町地区では、2カ所が決壊した小田川だけでなく、その支流である三つの河川も決壊していたことが県への取材で判明した。この3河川はいずれも、国から委任された県の管轄だが、法定の河川整備計画が定められておらず、維持管理がほとんどされていなかった実態も明らかになった。県は「計画は水害対策に必要で、早期に策定すべきだった」と非を認めている。

 今回の水害では、水位の高まった本流の1級河川・高梁川が支流の小田川の流れをせき止める「バックウオーター現象」が起きた可能性が指摘されている。だが、複数ある支流のどの川から決壊が始まったかは分かっていない。ただ、国土交通省が設置した調査委員会のメンバーの一人は小田川の支流の一つ、高馬(たかま)川でもバックウオーター現象が起こる中で、高馬川が決壊し、それが引き金となって小田川の堤防の外側が削られ、小田川の決壊につながった可能性を指摘している。また、小田川の別の支流で、決壊した末政川の周辺は死者が多く出るなど被害が甚大で、今後県の対応が問題化する可能性がある。

 国交省によると、小田川は、高梁川との合流地点の手前3.4キロなど2カ所で50〜100メートル程度決壊。その後の県の調査で決壊地点から北に延びる高馬川(1.3キロ)▽その上流から南に延びる真谷(まだに)川(4.6キロ)▽小田川から北に延びる末政川(4.4キロ)−−の計6カ所でも20〜300メートルにわたって決壊が見つかった。

 県によると、この3河川は1997年施行の改正河川法により、河川整備計画の策定が義務付けられた1級河川。整備計画では通常、河川の特徴や堤防の維持管理、災害時の復旧方法を定める。だが県は20年以上にわたって計画作成を怠り、3河川の深さや川幅、堤防の高さも把握していなかった。県に残る維持管理に関するデータは、年1回の法定点検を昨年に目視で実施したとの記録のみという。

 県河川課は「20年間策定できていないことを重く受け止めている。決壊と計画がないことの因果関係については何も答えられない」と話している。
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堤防決壊後3時間で3m浸水か 岡山 倉敷 真備町

西日本豪雨で大きな被害が出た岡山県倉敷市真備町では、堤防の決壊から3時間ほどで一部の地区の浸水の深さが3メートルに達し、住宅の1階部分がほぼ水没していた可能性があることが、専門家の解析でわかりました。専門家は「浸水が始まったあとに避難するのは困難だったと考えられる」と指摘しています。

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27カ所で「氾濫危険水位」超え


岡山県は13日、西日本豪雨により、県が河川に設けている水位観測所39カ所のうち、高梁川など6水系の27カ所で避難勧告を出す目安の「氾濫危険水位」を超えていたと明らかにした。県議会土木委員会で報告した。 高梁川広瀬観測所(高梁市松山)では6日午後10時に氾濫危険水位(8メートル)を4・89メートル上回る12・89メートルを記録。その後、計測不能となり越水したとみられる。他に高梁、吉井、旭、笹ケ瀬、倉敷、里見の各水系の26観測所でも同水位を超えた。 県河川課は「これほど多くの地点で氾濫危険水位を超えることは異例。今後、堤防を越えた水量を推計するなどし、治水対策の強化につなげていきたい」としている。
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2015 0915


倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ (平成28年8月作成、平成29年2月更新)

「人災」だった???  西日本豪雨(岡山県倉敷市真備町地区など)はなぜこれほどまでの死者を出したのか  ( 中国・新華社)

岡山 真備町 課題を検証 / 豪雨5日 今日の被災地 (夕方の岡山県内各地で土砂降り)
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西日本豪雨/浸水域は想定内、守れた命/ハザードマップ生かせず

  西日本豪雨で川が決壊した岡山県倉敷市真備町地区は、過去にも洪水を経験していた。市は決壊時に想定される浸水域を記した「洪水ハザードマップ」を作製。その予測と今回の実際の浸水域はほぼ重なった。それでも40人を超す犠牲者を出した。命は守れなかったのか。課題が残った。

 ▽一致

 東部に高梁川、南部に小田川が流れ、北西部は山で囲まれた真備町地区。1970年代にも大規模な洪水被害が発生したことがあった。

 市が2017年に作製した地区周辺のハザードマップでは、小田川流域で「100年に1回程度」とされる「2日間で225ミリ」の雨が降り、小田川の堤防が決壊すれば、北側の広い範囲と南側の一部が浸水すると想定。浸水の深さは、多くが「2階の軒下以上まで浸水する」という5.0メートル以上としていた。

 国土交通省が発表した小田川の氾濫発生情報によると、5日午前0時からの48時間で小田川流域各地に平均で246ミリの雨が降った。決壊が起こり、浸水被害は想定されたエリアとほぼ一致し、水位は住宅の2階まで上昇した。増水のスピードが速かったとはいえ、ハザードマップ通りの災害が発生したことになる。

 ▽反映

 ハザードマップは、浸水の想定域や規模、地区ごとの避難場所や避難ルートを記載した地図。氾濫の恐れがある河川を抱える市区町村に対し、05年に作製と住民への周知が義務付けられた。昨年3月時点で対象は全国1331市区町村。うち約98%が作製済みだった。

 問題はどう現実の防災に反映させるかだ。15年9月の関東・東北豪雨では、鬼怒川が決壊。約3分の1が浸水した茨城県常総市でも今回同様、ハザードマップと実際の浸水域がほぼ一致した。しかし、市庁舎自体が想定範囲内にあり浸水したほか、浸水で利用できなかった避難所も相次ぐなど、危機管理の問題が浮き彫りになった。

 中央大の研究室による豪雨後の市民聞き取り調査で、マップを見たことがあると答えたのは3割程度にとどまった。

 ▽意識

 国交省は自治体向けの手引で、マップを使った避難訓練や説明会を日ごろから開催するよう要請。パソコンやスマートフォンなどで閲覧できるようにする工夫も呼び掛けている。

 倉敷市も各世帯に配布し、ホームページ上で公表。職員が浸水想定地域へ出向き、防災の「出前講座」もし、氾濫の恐れがある場合の早めの避難を呼び掛けてきた。

 だが、自宅1階が浸水し、避難した真備町辻田の会社員井上清美(いのうえ・きよみ)さん(55)は「一度も見たことがない」と言う。05年に町は倉敷市に合併され、行政の広報誌から自分たちの地域の情報が減り、目を通す関心も次第に薄れた。井上さんは「地域のことを知ろうとする意識が低かったのかもしれない」と反省しつつ、「決壊の恐れがあると知っているのと知らないのでは大違い。しっかり知らせてほしかった」。
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水没の岡山・真備町 以前から危険性懸念も

 西日本豪雨で町全体の3分の1が水没した岡山県倉敷市真備町は、ハザードマップで危険性が懸念されていた地域だった。今回のような豪雨から命を守るために必要な備えと心構えは何か取材した。

晴れの国を襲った豪雨による悲劇。多くの犠牲者が出た倉敷市真備町。町全体の3分の1を水没させた爪痕があちこちに残る。

「倉敷市も昨年度、新しい洪水ハザードマップを公表していて、ハザードマップが予測した通りの浸水被害になっているわけです」-今回の豪雨被害について、こう分析するのは地質学の専門家、香川大学、創造工学部の長谷川修一教授。

長谷川教授が指摘したハザードマップでは、今回浸水したエリアは5メートル以上の浸水が想定されていた。

長谷川教授「真備町は東に高梁川が流れていますよね。その西側の低湿地帯なんです。もともと低湿地で軟弱だったところ。そこに町が広がって家が建ってきたというのが土地の成り立ちです」

まさかは心の油断。自分が住んでいる場所の特徴をしっかり把握しておくことが最も大切なことだ。

長谷川教授「まずは、自分がどういう災害にあうところに住んでいるかということを、ハザードマップなどで確認いただくと」

ハザードマップはホームページでも確認できる。GIS(地理情報システム)を使ったものでは、土砂災害、洪水、地震などそれぞれの災害時における危険性を知ることができ、岡山・香川ともに利用できる。

身の回りに潜む危険を知り正しい行動を取ること。それが命を守る一番の方法だ。
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「地域・地区での取り組み」で「差」

「ハザード意識」の「差」で、  「全員が無事に避難」! (愛媛 大洲・三善地区)

政府の初動の遅さもあって、西日本豪雨が未曾有の被害をもたらした中、激しい水害に遭いながらも一人の犠牲者も出さず、全員が無事に避難できた地域がある。愛媛県大洲(おおず)市三善(みよし)地区である。

 三善地区中を流れる1級河川の肱川(ひじかわ)は、今回の豪雨により氾濫した。同地区では7日午前には避難勧告が発令され、約60人の住民が災害発生時の避難所となっていた公民館へ避難するも、その公民館までもが浸水しそうになった。公民館に避難していた住民はすぐに高台となっている変電所へ避難し、難を逃れたという。

 これほどの規模の水害にもかかわらず、約60人の住民全員が無事に避難することができた。いったい、どのようにして大規模な水害から難を逃れたのか。

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【大洲・三善地区】公民館に避難の住民ら、危機察知し高台へ

 
【防災事業で浸水想定地図作製】
 住民の結束力と防災のノウハウの共有化が危機回避につながった地域がある。肱川を挟む田園地帯に4集落がある大洲市三善地区。水害の危機を察知した住民約60人は、避難所の公民館から高台の施設に移り、難を逃れた。住民が作製していた災害マップに記された浸水想定区域は、今回の豪雨で実際に浸水した。その中には公民館も含まれていた。
 肱川の洪水被害や土砂崩れなどが懸念されていた三善地区。「県内でいち早く防災計画を立てた」(地区自主防災組織本部長の男性)といい、2016年度には自然災害の被害軽減に向けた内閣府の「災害・避難カード」モデル事業に選ばれた。自主防災組織などで住民の名前や薬の服用などを記したカード、水害と土砂災害時の避難場所などを確認するマップを作り、各家庭に配布。要支援者も把握した。
 
【避難所から移動、難逃れる】
 7日の午前7時、地区に避難勧告が発令。避難を告げる有線放送が響き、住民はカード持参で各避難所に向かった。公民館にも約60人が集まった。上流の鹿野川ダムが放流を続けていると知った自治会長の男性(74)は「このままでは公民館も漬かる」と感じた。車が通れるうちにと、公民館より高い位置にある四国電力変電所の施設内に全員移動した。
 7日午後にはマップに記されていた浸水想定区域は一面、湖のように。男性は「学んでいたノウハウが先を見通した判断につながった」と振り返る。自治会で3年かけて購入した保存食150食は住民の糧となった。
 「今までは机上の話だった。これからは連絡体制の強化など、状況が落ち着いたらもう一回考えていきたい」。窪田さんは猛暑に負けず、住民とともに災害後の片付けに汗を流している。
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避難情報伝達に潜む盲点とは

 豪雨が襲ったあの夜、住民の多くが逃げ遅れたのはなぜだったのでしょうか。検証すると、避難に関する情報を住民に伝える難しさが明らかになりました。

 広島市安芸区矢野。土石流が、住宅団地を直撃しました。

 「当時はもう、うねってました」(光森貴さん)

 この地区に住む光森貴さん(45)。あの日、土石流を見て、“危険”に気付いたと言います。

 「水路の音が一瞬やんだ。あれ、なんだろう。やばいね。なんかあるかねって。どーんっといって」(光森貴さん)

 気付いた時には、土砂が目の前にまで迫っていました。

 「道路もゴーゴーと水が流れていたので、どっちにも行けない。傘さしてこの辺りにいた」(光森貴さん)

 「土砂崩れを見てから逃げたという住民たち。事前に危険を察知する方法はなかったのか、専門家の調査が始まっています」(記者)

 あの日、広島の安芸区全域に「避難準備」の情報が出されたのは午後2時16分。矢野地区に「避難勧告」が出たのは午後6時5分のことです。ただ光森さんは、この午後6時をすぎた時点ですでに“危険”は迫っていたと振り返ります。

 「あの日振り返って、動けるタイミングは?」(CeMI環境・防災研究所 松尾一郎 副所長)
 「午後5時まで」(光森貴さん)

 気象庁が広島県に「大雨特別警報」を発表したのは午後7時40分。安芸区全域に「避難指示」が出たのは午後8時16分になってからです。避難を促す携帯電話へのメール。ただ・・・

 「1度の雨で30も40もメールが来て、どれが自分にとって重要なのかわからない。あまりにもたくさんの情報が出すぎている」(CeMI環境・防災研究所 松尾一郎 副所長)

 そして、行政が出す情報にも「限界」が・・・

 「行政は、どこで災害が発生するか判断つかない。そうすると広域に出す。『全域避難』」(CeMI環境・防災研究所 松尾一郎 副所長)

 こうした時、特別警報や行政からの避難情報を待つのではなく、起こりうる“危険”を予測し、地域でその「行動」を考えていくべきだと呼びかけます。

 「被災前と地形が変わっている。雨が降れば違う被害に遭う。災害リスクがある場所の復旧は、それぞれの人たちと議論を」(CeMI環境・防災研究所 松尾一郎 副所長)

 再び雨が降れば、さらなる被害が出る恐れも。「危険」を予測した、いち早い行動が、今求められています。
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西日本豪雨、土砂災害も予測一致 広島や愛媛ハザードマップ
 
  西日本豪雨によって多くの犠牲者を出した広島県や愛媛県の土砂災害の現場を、行政が事前に危険箇所を示したハザードマップと比較したところ、ほぼ予測通りだったことが30日、各自治体への取材などで分かった。

 ハザードマップを巡っては、川の決壊で大きな被害が出た岡山県倉敷市真備町地区でも、実際の浸水域と、ほぼ一致していたことも既に判明。あらかじめ危険性を把握する手段としての重要性が改めて浮かぶ結果に、専門家は「危険回避に活用を」と訴える。

 災害地図とも呼ばれるハザードマップは、地形や地質などから自然災害を予測し、警戒すべき区域や避難ルートなどを明示している。
 
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