実験マウスにも思いやり!? (川崎医科大精神科学教室と岡山大の協力)

  マウスにも他者をいたわる気持ちがある!? 高次な情動行動はないとされてきたマウスが負傷した仲間に共感的な行動を示すことを、川崎医療福祉大医療技術学部の上野浩司講師(神経生理学)らの研究グループが突き止めた。実験では苦しんでいる様子を見た目で判断し、寄り添うような動きをみせた。共感をつかさどる脳内ネットワークの解明などにつながる成果として期待される。 共感とは他人と同じような感情になること。高度な社会的動物である霊長類にしかない能力と考えられていた。 研究は「ネズミって人と同じように共感するの?」という学生の疑問をきっかけに、川崎医科大精神科学教室と岡山大の協力を得て実施した。 実験では、片足に低濃度のホルマリンを注射し、人工的な痛みを生じさせた状態のマウスと健康なマウスをそれぞれおりに入れ、おりの周囲に別のマウスを放して約10分間、行動を観察した。 その結果、滞在時間の平均値を測定したところ、元気なマウスよりも痛がっているマウスの近くに長くいた。初対面のマウス同士でも、同様の傾向がみられたという。 逆に、生理食塩水を注射して足を腫れ上がらせただけだったり、麻酔で眠らせたりしたマウスには、関心をほとんど示さなかった。 グループによると、共感をなくしてしまう精神神経疾患に対する原因の究明や、治療薬の開発につながる可能性があるという。 上野講師は「痛がっている姿を見ると、危険を感じて逃げようとするかと思っていたが、想定外の行動に驚いた。さらに実験を続け、協力行動の有無や不公平感を抱くかどうかについても研究していきたい」と話している。