岡山 <路線バス>発車時刻や遅延、情報分からずイライラ… ネットで快適、オープンデータ化広がる
/岡山公共交通戦争? 両備バス VS 八晃運輸(めぐりん)


 「バスがいつ来るのか分からない」「発車時刻になっても来ない」−−。そんな不満を解消するため、路線バス情報の「オープンデータ化」が広がりつつある。利用客はインターネットの検索サービスを通じ、時刻表や遅延情報を知ることができるようになった。バス業界にとっても、需要の掘り起こしにつなげる狙いがある。

 スマートフォンの地図検索アプリ「グーグルマップ」をJR岡山駅で開き、2キロほど離れた岡山後楽園へのルートを検索してみる。すると、車や徒歩、路面電車に加え、バスの案内が表示された。駅の東口バスターミナルには13カ所の乗り場があるが、最も早く着く乗り場もアプリに示される。岡山後楽園からの帰りに再びルートを検索すると、付近の停留所に加え、バスの遅延情報を踏まえた到着予想時刻が画面に表示された。

 これは、バス会社が持つ時刻表や運行情報などを「オープンデータ」として検索サービス企業に提供し、実現したものだ。これまで、デジタル対応が遅れている中小バス会社の9割近く(2016年4月時点、国土交通省調べ)がルート検索サービスに情報が掲載されなかった。このため、国交省は昨年3月、バス事業者が検索サービス企業にデータを渡しやすいように、標準化したフォーマットを整備した。

 岡山市内では今年から、バス会社6社のうち5社がバスの現在地や時刻表などをグーグルマップ側に送り、遅延情報やダイヤ改正がスムーズに配信されている。このうち宇野自動車(同市)では4月、無料ソフトを独自に開発。従来、運休情報やダイヤ改正を検索サービスに反映させるには1カ月ほどかかっていたが、クリック一つでできるようになった。台風や地震が発生しても運休情報をすぐに配信でき、7月の西日本豪雨でも活用されたという。

 ソフトを開発した同社の高野孝一さん(53)は「地方を中心にバス会社の多くが赤字という状況だが、バスは地方都市に欠かせない交通手段。デジタル化を促進することで、バスを利用する際のストレスが緩和できるはずだ」と話している。

 ◇業務デジタル化を ITや公共交通に詳しい東京大の伊藤昌毅助教(情報技術)の話

 検索表示で徒歩やタクシーが案内されても、実はバスの方が安くて早く目的地にたどり着けるケースは多い。スマートフォンが普及しているのにバスの時刻表や乗り換え案内が表示されないのは致命的だ。バス会社はデータを開示するだけでなく、日々の業務をデジタル化していくことが重要だ。

 ◇グーグルマップでリアル情報 訪日外国人も利用増

 路線バス情報の「オープンデータ化」は青森や前橋、富山、佐賀市などでも広がっている。青森市営バスは4月から、地図検索アプリ「グーグルマップ」でリアルタイム情報を公開した。多言語対応のため、インバウンド(訪日外国人)がバスに乗って市内の温泉や博物館を利用するケースも増えているという。

 群馬県では、県とバス会社が連携し、5月から県内全域の路線バス情報のオープンデータ化を始めた。9月に前橋市内でコンサートが開催された際には、バス増便の情報をグーグルマップを通じて配信。時刻表や目的地までの移動時間をきめ細やかに更新することで、バス利用を促せたという。バス会社の担当者は「情報をすぐに検索できないと、バスは動いていないのも同然の時代になりつつある。的確な情報をリアルタイムで配信することで、バスという移動の選択肢を持ってもらえれば」と期待を懸ける。


/////
岡山公共交通戦争? 両備バス VS 八晃運輸(めぐりん)
岡山 交通事情

2018/9/29
「めぐりん」岡山駅構内乗り入れ「議論打ち切りを」 両備バス労組ら  岡山市に上申書


 岡山市内で八晃運輸(同市)が4月末から運行する低運賃循環バス「めぐりん」益野線の岡山駅構内への乗り入れに関する議論について、競合する両備グループ(同市)傘下のバス事業の労働組合、両備バス労働組合と岡山電気軌道労働組合は28日、打ち切りなどを求める上申書を岡山市に提出した。益野線については、両備グループが国を相手に認可処分の取り消しを求め提訴、東京地裁で訴訟が進んでいる。

27日には全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)が、「(益野線認可は)事業の健全な発展を阻害する競争を禁じた道路交通法に反する」として、再審査を求める石井啓一国土交通大臣への請願書を提出した。
/////
両備グループの労組が岡山市に上申 めぐりん岡山駅乗り入れに「絶対反対」


 めぐりんバスの岡山駅への乗り入れ計画に対し、両備グループの労働組合が乗り入れに反対する上申書を岡山市に提出しました。

 両備バスと岡山電気軌道の労働組合の代表が、28日朝、岡山市役所を訪れ、担当者に上申書を提出しました。

 JR岡山駅に乗り入れを計画するめぐりん益野線は、岡山市中心部と西大寺地区を結ぶ循環バスで、4月に運行を始めました。

 すでにJR西日本に打診していて、今後岡山市などと協議の場が設けられる予定ですが、上申書では乗り入れについて安全性や定時性に問題があり、議論そのものを打ち切ってほしいとしています。

(両備バス労働組合 執行委員長/高木秀治さん)
「私どもとしては絶対乗り入れは反対です。これで終わりじゃなくて言い続けて何とかしていきたい」

 両備グループではめぐりん益野線について、認可取り消しを求め現在、裁判で争っています。
/////
「めぐりん」議論の結論持ち越し 益野線岡山駅乗り入れで法定協


 岡山市は30日、地域公共交通網の形成を目的とした法定協議会の「幹事会」を同市内で開き、八晃運輸(同市)が求めている循環バス「めぐりん」の益野線のJR岡山駅東口バスターミナルへの乗り入れについて議論した。市は方面別での乗り入れを提案したが、一部バス事業者が反対するなどして結論を持ち越した。

 幹事会はバス事業者や行政関係者、住民代表、大学教員ら25人で構成。法定協で扱う案件について、議論をより深めるため非公開とした。

 出席者によると、八晃運輸の新規乗り入れで、市は両備ホールディングス(HD、同市)の西大寺線が乗り入れている「10番」が同じ方面のため望ましいと説明したが、同社は運行に支障が出るなどとして反対した。幹事会での意見を踏まえ、市はめぐりんが乗り入れた場合にどのような影響が出るかを今後詳しく調べるという。

 ターミナル乗り入れでは、八晃運輸以外に、両備HDと岡山電気軌道(同市)が便数増加を求めており、ターミナル内の運行総数を管理しているJR西日本は容認する考え。市都市整備局は「調査結果を踏まえ、次回幹事会で改めて議論したい」としている。

 益野線は市中心部と西大寺地区を結ぶ1周23・9キロで、4月27日に開設。両備HDの西大寺線と競合するため、同社と岡電は「収益が下がる」などとして赤字幅の大きい県南部のバス31路線の廃止届を中国運輸局に提出し、その後取り下げた。

/////
2018/10/30
岡山のバス論争 見えぬ終点 「めぐりん」参入半年 


 岡山市中心部と東部の西大寺地区を結ぶ両備グループ(岡山市)の主力バス路線に、八晃運輸(同)が低運賃循環バス「めぐりん」の新路線として参入し、27日で半年が過ぎた。八晃は便数を徐々に増やしているが、競合する両備の減収幅も想定より少ない。一連の問題を受け、岡山市は公共交通の将来像を話し合う議論を始めたものの、不透明な状態が続く。

/////