外国人実習生雇用で60%が法令違反 岡山県内事業所の17年度調査


 外国人技能実習生を雇用している岡山県内の事業所で、2017年度に時間外労働や賃金不払いなどの法令違反があったのは立ち入り調査対象の約60%を占めたことが30日までに岡山労働局への取材で分かった。人手不足を背景に政府が外国人労働者の受け入れ拡大を進める中、労働環境の一層の改善が求められる。

 岡山労働局は実習生らから相談を受けたり、過去に違反があったりした事業所を対象に立ち入り調査をしている。17年度は171事業所に調査をし、104事業所で労働基準法や労働安全衛生法などの違反を確認した。同労働局は違反の詳細を公表していないため、山陽新聞社は違反があった事業所への是正勧告書を開示請求した。

外国人実習生雇用で60%が法令違反 岡山県内事業所の17年度調査
法令違反の内訳

 1事業所で複数の違反があったケースもあり、違反件数は計131件。法定労働時間(原則週40時間)を超えるなど労働時間に関するものが38件で最多だった。このうち、「過労死ライン」とされる月80時間を超える時間外労働が確認されたケースが27件あった。ほとんどは100時間を超えており、最長は228時間だった。労働時間を記録した資料自体を破棄していた事業所もあった。

 次に多いのは設備や機械の安全対策の不備など安全基準に関するものが34件。

 残業代などの未払いは20件と3番目に多かった。実習生を巡っては低賃金を理由に失踪するケースが全国的に後を絶たないが、県内でも時間外労働の県最低賃金(1時間当たり946円)を大幅に下回る500、600円しか支払っていなかったケースが含まれていた。

 このほか、規定に違反して実習生らの寄宿舎の設置を最寄りの労基署に届けていなかったり、定期的な健康診断を実施していなかったりした事業所があった。

 労基署別の違反事業所数は、岡山28、倉敷30、津山16、笠岡15、和気8、新見7だった。

 岡山県内の外国人技能実習生は7704人(18年10月末現在)と前年比15・9%増。実習生を含む外国人労働者を受け入れている事業所も2296(同)と毎年増えている。立ち入り調査をしたのはその一部にすぎず、実際の法令違反はもっと多い可能性もある。

 外国人労働者の受け入れ 外国人技能実習生は1993年に制度化された。発展途上国の人材育成が目的だが、実情は安価な労働力として利用されるケースが多いことが指摘されている。今年4月に改正入管難民法が施行され、新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設される。「1号」は技能実習生も移行でき、在留期間は最長5年。より熟練した技能が必要な「2号」は事実上の永住も可能とされる。