岡山 眼科角膜専門医が常勤で外来診療 川崎医科大付属病院、移植も対応


 川崎医科大付属病院(倉敷市松島)眼科は、岡山県内で数少ないとされる角膜専門医による外来診療を行っている。医師は常勤で、県外の病院に頼る患者が少なくない角膜移植を「安定的に実施できる体制を整えた」とし、対象患者の受診を呼び掛けている。

 角膜は黒目の表面にある透明な膜で直径11~12ミリ、厚さ約0・5ミリ。レンズの役割を持ち、わずかな変形や濁りが視力に影響する。移植は、角膜が水膨れして濁る水疱(すいほう)性角膜症や穴が開く角膜穿孔(せんこう)などの治療で行われる。

 同病院は、角膜専門の藤本久貴医師(40)が常勤し、昨年4月から外来をスタート。現在は毎週月、水曜の午前に診察している。角膜移植も手掛け、8月以降、水疱性角膜症の60代女性を皮切りに60~80代の男女5人に行った。いずれも経過は良好という。

 角膜移植に使われる眼球のドナー(提供者)登録者は2017年度末時点で県内45人(全国1万438人)、移植者は9人(1395人)。ドナーが十分とは言えず移植までに時間がかかるため、同病院は臓器提供が盛んな米国のアイバンクから角膜のあっせんを受けて移植する。

 藤本医師や提供された眼球を希望者にあっせんする県アイバンク(岡山市)によると、県内で角膜専門医の外来がある病院はわずかで、角膜移植もバンクの仲介で近年行っているのは岡山大病院だけという。

 藤本医師は「米国のアイバンクを介した角膜の移植は期日を事前に決められ、国内のドナー発生を受けた緊急の移植より患者の負担が少ない。多くの人に対応したい」と話している。