国際情勢 米トランプ政権、宇宙統合軍を発足 / 北朝鮮 最高人民会議「国務委員長の地位 より強固に」/ 日韓局長級会談、議論は平行線


 アメリカのトランプ政権は29日、宇宙開発を進める中国やロシアに対抗するため、宇宙に関する任務を統括する「宇宙統合軍」を新たに発足させました。

 「我々は宇宙統合軍を発足させるために、ここに集まった。とても重要なことだ」(アメリカ トランプ大統領)

 29日に発足した「宇宙統合軍」は、戦略軍やサイバー軍などに続く11番目の統合軍で、空軍など各軍に分散している宇宙分野の任務を統括し、弾道ミサイルの警戒や人工衛星の運用、宇宙空間の監視活動などにあたるということです。

 トランプ政権は宇宙開発を進める中国やロシアに対抗するため、来年までに陸軍や海軍などと並ぶ「宇宙軍」の創設を打ち出していますが、法整備や議会の承認が必要で、財政上の理由などから反対意見も根強いことから、まずは軍の再編で可能な「統合軍」の発足を先行させた形です。

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最高人民会議「国務委員長の地位 より強固に」

 北朝鮮の朝鮮中央テレビは29日、最高人民会議が開催され、憲法を改正し、金正恩(キム・ジョンウン)党委員長の法的地位がより強固になったと報じました。金党委員長は出席しませんでした。

 朝鮮中央テレビは29日夜の定時ニュースで、平壌の万寿台(マンスデ)議事堂で開かれた最高人民会議の様子を伝えました。

 最高人民会議常任委員会の崔竜海(チェ・リョンヘ)常任委員長は演説で、金正恩国務委員長の法的地位と機能について触れ、「憲法を改正し、国務委員長は代議員に選出しないことを新たな条文で規定する」と発言。「このことにより、我が党と国家、武力の最高領導者であることが法的に定着した」と強調しました。

 今回の議題は憲法改正と組織問題の2点のみで、金党委員長は出席しておらず、注目されていた米朝協議など、対外政策についての言及もありませんでした。
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日韓文化相、文化交流持続で一致

 日韓の対立が深まるなか、韓国・仁川(インチョン)市で29日、日韓の文化相会談が開かれ、関係が悪化しているなかでも文化交流は持続すべきだとの認識で一致しました。

 この会談は、30日に開かれる日中韓3か国の文化相会合と観光相会合に合わせて行われたものです。会談で柴山文部科学大臣と韓国の朴良雨(パク・ヤンウ)文化体育観光相は、日韓関係が悪化するなかでも文化交流は持続すべきとの認識で一致。引き続き交流行事を通じて連携・協力していくことを確認しました。

 また、この日は「日中韓芸術祭」も開かれ、日中韓の文化担当の閣僚が3か国の伝統舞踊などを鑑賞しました。

 「日韓関係は悪化していますが、日本からの出演者に対しても大きな拍手が送られています」(記者)

 「政治的なことは関係なく、韓国と日本のこうした交流は続けなければならない」(観客)
 「文化交流は続けなければならないし、KPOPとJPOPが融合すれば、もっとすばらしいでしょう」(観客)

 観光客が減るなど関係悪化の影響が民間の交流にも及ぶなか、この日はおよそ1100人が日本の獅子舞や太鼓などを堪能していました。
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日韓局長級会談、議論は平行線

 対立が深まる日韓の外務省の局長が29日、韓国・ソウルで協議し、今後も協議を続けていくことで一致しました。

 外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は29日午後、ソウルで韓国外務省の金丁漢(キム・ジョンハン)アジア太平洋局長とおよそ3時間にわたって協議し、徴用工問題について、国際法違反の状態を是正するよう韓国側に強く求めました。

 「出口を見つける作業をしたいと思いますけれども、まずは韓国側に考えてもらう。韓国側にボールがある」(金杉憲治アジア大洋州局長)

 これに対し韓国側は、国際法違反ではないと主張。輸出管理の問題をめぐり、輸出管理上の最優遇国から韓国を除外した日本側の措置の早期撤回を要求しました。

 また、韓国が破棄を表明した、日韓が軍事機密を共有するための協定、GSOMIAについては、金杉局長が「賢明な判断」を求めたのに対し、韓国側は「輸出規制の撤回が必要だ」と応じたということで、歩み寄りは見られませんでした。

 協議後、金杉局長は「いま、この瞬間に解決策が見つかっているわけではない」と述べたうえで、今後も韓国側と外交当局間の協議を続けていく考えを示しました。

 また、金杉局長は、李度勲(イ・ドフン)朝鮮半島平和交渉本部長と北朝鮮情勢について協議し、日韓と、日米韓3か国で緊密に連携していくことで一致したということです。
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日・アフリカ映画人が交流、TICADサイドイベント

 TICAD=アフリカ開発会議が開かれている横浜で、映画を通じたアフリカとの交流について映画監督らが話し合うイベントが行われました。

 29日夜に開かれたTICADのサイドイベント「越境するアフリカ」。アフリカ映画「密林の慈悲」が上映され、その後、映画監督の河瀬直美さんやアフリカ最大の映画祭を運営する代表者らが、共同の映画製作など、映画を通じた日本とアフリカの交流についてさまざまな議論を交わしました。

 「言語の違いは大きな障壁ではない。アジア、アフリカにはすでに強固な経済的な結びつきがあるから」(ワガドゥグ全アフリカ映画祭 アルディウマ・ソマ事務局長)

 「(アフリカ映画の需要が)本当に今、過渡期というか、革命のような時代にいるんだなと思っています」(「シネマアフリカ」代表 吉田未穂さん)

 登壇者の1人で、これまで上映会などを通してアフリカ映画を紹介してきた吉田未穂さんは、若者の間でアフリカ文化への関心が高まっていると話します。ただ、日本とアフリカの文化交流の在り方については、個人の努力だけでなく、政府間のより大きな枠組みで議論されるべきと考えています。

 「国として文化をどう支えるのかという大きな枠組みが話し合われないと、個人の努力は点と点であって」(「シネマアフリカ」代表 吉田未穂さん)

 この日、登壇者からはアフリカの映画祭に日本の映画監督を招いて議論する場を作るなど、映画を通じて日本とアフリカの相互理解を深めていくべき、といった声も聞かれました。

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コロンビア革命軍(FARC)元幹部が戦闘再開を宣言

 3年前にコロンビア政府と和解した左翼ゲリラのFARC=コロンビア革命軍の元幹部が、戦闘再開を宣言しました。

 コロンビア革命軍の元ナンバー2のイヴァン・マルケス氏は29日、ビデオ声明を公表し、「抑圧に苦しむすべての人たちが武器を持って立ち上がる権利がある」と戦闘再開を宣言しました。

 コロンビア政府は2016年11月に当時のサントス大統領が内戦状態にあった革命軍と和平合意を締結。サントス大統領は、その年、ノーベル平和賞を受賞しました。しかし、元ゲリラへの手厚い処遇が国民から反発を招き、2018年には和平合意の見直しを公約に掲げたドゥケ大統領が当選。かつての革命軍のメンバーは、より一層苦しい立場に追い込まれていました。

 政府との和平交渉を担当したマルケス氏の呼びかけにより、2000人以上の元メンバーが参加するとみられているほか、別のゲリラグループとの連携も模索しているとみられています。

 和平合意後に革命軍から移行した議会政党のトップは、ツイッターで「戦争は何の価値も無い、これからも平和のために働き続ける」とマルケス氏の行動を批判しています。
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イタリア、コンテ首相 一転続投へ

 首相が辞意を表明し政治的な混乱が続いていたイタリアで、ポピュリズム政党の「五つ星運動」と中道左派「民主党」が新たに連立を組むことで合意し、コンテ首相が続投することが決まりました。

 イタリアでは、連立政権の一角を占める極右「同盟」のサルビーニ党首から内閣不信任案が提出され、今月20日、コンテ首相が辞表を提出しました。

 その後、マッタレッラ大統領を調整役に各党の連立協議が続けられていましたが、上下両院で最多の議席を持つ与党「五つ星運動」と去年の選挙で惨敗し野党となった「民主党」が新たに連立を組むことで合意しました。大統領府によりますと、大統領は29日午前にコンテ首相と面会し、再び首相として指名し組閣を命じたということです。

 前倒しの総選挙は避けられた形ですが、「五つ星」はこれまで「民主党」を批判して政権与党となっていて、政策面の隔たりも大きく、閣僚人事など巡り曲折も予想されます。

 一方、「同盟」のサルビーニ党首にとって新政権の誕生は大きな誤算で、不信任案を提出し政治的混乱を招いたことなどが影響し、支持率が下落している状況です。

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