極東アジア情勢 第2次朝鮮戦争「かなり大きな可能性」 米仏の識者が警告!  / 【日本の解き方】北朝鮮はICBMを射つのか!? CIAが水面下で陽動作戦も… GSOMIA破棄騒動
東アジア情勢 どうなる?


 政治学者でクリントン政権の国防次官補を務めたグレアム・アリソン米ハーバード大教授は12日、日本アカデメイア第1回「東京会議」で、米国との対立が深まる北朝鮮の核ミサイル問題をめぐり「第2次朝鮮戦争が起きる可能性が高まっている」と警告した。

 アリソン氏は情勢を「非常に危険な展開」と指摘。年末を期限に米側に制裁解除など譲歩を迫る金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が今後数週間以内に何らかの方針を発するとの見通しを示した。

 北朝鮮が米本土の脅威となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験を続けた2017年11月までの状態に復帰した場合、トランプ米大統領がミサイル発射台破壊など軍事攻撃を命じる用意があると指摘。「第2次朝鮮戦争」に進む確率は「50%以上ではないが、かなり大きな可能性がある」と語った。

 1950~53年の朝鮮戦争と違い北朝鮮が日本を攻撃する選択肢も指摘され、アリソン氏は「日本や中国にも(戦争回避で)今すぐ対応すべきことがある」と呼びかけた。仏思想家・経済学者のジャック・アタリ氏も「北朝鮮は来年の大問題になる。どこまでもしたいことをさせると核不拡散の終わりとなる」と危機感を示した。

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【日本の解き方】北朝鮮はICBMを射つのか!? CIAが水面下で陽動作戦も… GSOMIA破棄騒動の韓国はいまや「カヤの外」

北朝鮮が「非常に重大な実験」を行ったと発表するなど、米国との交渉期限を年末に設定するなかで、米国などへの牽制(けんせい)を続けている。再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験など強硬手段に踏み切れば、日本への影響も大きい。

 米朝首脳会談は膠着(こうちゃく)状態だ。初の会談は2018年6月にシンガポールで、2回目は19年2月にベトナムのハノイで開かれた。ハノイでは協議が決裂した。6月には両首脳が板門店で面会したが、米朝両国とも首脳会談ではないとしている。

 その後、年内の首脳会談を模索していたが、実務者協議で難航している。米国は、柔軟姿勢を示すためにボルトン大統領補佐官を9月に解任し、10月に北朝鮮との実務者協議をストックホルムで行ったが決裂した。その後、北朝鮮は一方的に交渉期限を年内に設定した。

 北朝鮮は北西部・東倉里(トンチャンリ)にある「西海(ソヘ)衛星発射場」で「非常に重大な実験が行われた」と8日、発表した。ICBMに使われるエンジン燃焼実験とみられている。これは、北朝鮮から米国への催促である。「年末」という期限の設定が本気であることを示すために「重大な実験」を行ったのだろう。次には、人工衛星と称しつつICBMの発射をほのめかしている。

 この発表を受けて、トランプ米大統領は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に対し、米国に対する敵意は、「全て」を失うことになると警告した。その直前には、トランプ氏は正恩氏との良好な関係を強調していた。

正恩氏にとっても、トランプ氏との特別な関係を失うのは得策でないだろう。トランプ氏は軍歴も政治家経験もない民間人出身なので、軍事オプションよりもディール(取引)を望んでいるはずだ。米朝の緊張関係は、両首脳の個人的な関係でもっているので、もしこの個人的な関係が崩れたら、米朝首脳会談が行われていない2年前のように、ひょっとしたら軍事衝突もあり得るというくらいの緊張関係に戻るかもしれない。

 両首脳はまだお互いに信頼関係があるようだが、具体的な非核化プロセスについては両国でこれといった妙案もない。

 こうなると、北朝鮮はICBM発射に突っ走るのか、それともトップ級が会って仕切り直し、期限先延ばしを行うことも考えられる。あるいは米中央情報局(CIA)などが水面下で陽動作戦を行い、北朝鮮もサイバー攻撃を仕掛けるなど、表面上は軍事オプションに見えないまま水面下で攻撃するという可能性も出てくる。いろいろな展開が考えられるので、今のところ、米朝関係の先行きについて予測は難しい。

 日本としては、警戒態勢を取りながら、米国との連携をとるしかない。

 ここに至って、韓国は先般の日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄騒動が尾を引き、日米からの信頼は得られていない。米朝関係をめぐっても、「あまり関係のない国」になりつつある。
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2019.12.12
韓国・文政権、GSOMIA“再破棄”は失敗か!? 米空軍「死の鳥」B52で警告飛行…北朝鮮ICBM発射に警戒

■米軍B52戦略爆撃機を警告飛行

 国連安全保障理事会は11日午後(日本時間12日早朝)、北朝鮮の「核・ミサイル問題」をめぐり緊急会合を開いた。非核化をめぐる米朝協議停滞に不満を抱えた北朝鮮がクリスマスにも、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射に踏み切る危険性があるのだ。米空軍は「死の鳥」と恐れられるB52戦略爆撃機を警告飛行させた。こうした国際情勢は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の悪巧みを粉砕しかねない。文政権は、日本の輸出管理厳格化を解除させるため、当面維持した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の再破棄もチラつかせてきたが、朝鮮半島の緊迫化で選択肢が少なくなっている。

「北朝鮮は自らの義務を果たし、挑発行為を避けなければならない」「われわれが何かをする前に全てやれとは求めていない。柔軟に対応する用意がある」

 米国のケリー・クラフト国連大使は国連安保理の緊急会合前、記者団にこう語り、北朝鮮に非核化をめぐる米朝交渉に復帰するよう求めた。

 緊急会合は、今月が議長国である米国が開催を要請した。北朝鮮が5月以降、短距離弾道ミサイル発射を繰り返しているうえ、7日に北西部東倉里(トンチャンリ)の西海衛星発射場で、ICBMのエンジン燃焼実験とみられる「重大実験」を強行したため行われた。理事国ではないが、韓国も「利害当事国」として加わった。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮は、米朝協議の期限を一方的に「年末まで」と区切り、強硬姿勢を強めて、ドナルド・トランプ米政権に譲歩を迫っている。

「従北・極左」とされた韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で統一相を務めた丁世鉉(チョン・セヒョン)氏は9日、「北朝鮮は、自分たちだけが核兵器をなくすような米国との会談にはこれ以上、応じない。クリスマスにはICBMを発射するだろう」などと、ラジオ番組で予想した。朝鮮日報(日本語版)が10日、報じた。文大統領は、盧政権で大統領秘書室長などを務めている。

 ただ、米国は「北朝鮮の暴走」を許さない。世界最強の米軍も警戒を怠っていない。

 軍事偵察衛星のほか、弾道ミサイルの観測能力を持つ米空軍の電子偵察機RC135S「コブラボール」や、250キロ先の北朝鮮軍の車両など地上の兵力の動きを追跡できる偵察機E8C、無人偵察機「グローバルホーク」などが、連日のように朝鮮半島周辺を飛行している。

 さらに、核兵器や巡航ミサイルなど多様な兵器を大量に搭載でき、「成層圏の要塞」「死の鳥」と恐れられるB52戦略爆撃機が最近、日本周辺を飛行したと、韓国・聯合ニュース(日本語版)が11日、「北朝鮮に対する間接的警告か」との見出しを付けて報じた。

 自衛隊も緊張している。日本列島を飛び越えるICBM発射が警戒されるなか、情報収集衛星やイージス艦、早期警戒管制機などを駆使して、北朝鮮情報の収集を行っている。

 東京・市ケ谷の防衛省では、航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」2基が10月初めから展開を続け、にらみを利かせている。

 朝鮮半島情勢の緊張は、韓国の安保戦略にも影響しそうだ。

 文政権は、米政府高官と米軍幹部の「強い圧力」を受けて、GSOMIAの失効期限(11月23日午前0時)前日の22日夕、「失効回避」という決断を下した。

GSOMIA破棄は、もともと北朝鮮が強く韓国に要求していたもので、中国も賛成していた。「従北・親中」の文政権としては「レッドチーム入り宣言」ともいえるものだった。

 このため、文政権は「いつでもGSOMIAを終了できる」「協定延長は日本の輸出管理厳格化への対応次第だ」といい、「当面維持」「暫定措置」という姿勢を示していた。

 ■潮氏「北はSLBM発射の可能性」

 日米情報当局関係者は「文政権が年明けにも、GSOMIAを再度廃棄決定する可能性がある。『米国の要請で当面維持したが、日本が輸出管理厳格化を緩和しない』と、日本にすべての責任を押し付ける悪巧みだ。中国の王毅国務委員兼外相が4~5日に訪韓したが、相当ねじ込まれたのではないか。文政権の『反日・離米・従北・親中』という基本姿勢は変わらない。ところが、朝鮮半島の緊迫化で、保守派や軍がGSOMIA破棄に抵抗しそうだ。文政権の戦略は失敗するのではないか」と語る。

 韓国は偵察衛星を持たず、対潜哨戒機の老朽化も指摘されている。北朝鮮が軍事的圧力を強めるなか、GSOMIAを再度廃棄決定するのは致命的といえる。

 文政権がグラつくなか、北朝鮮はどう出るか。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「北朝鮮は『クリスマスプレゼント』だと挑発しており、24~26日に、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射する可能性がある。日本列島上空を飛ばす危険性もあり、しっかりと備えるべきだ。核実験は中国を刺激するので、可能性は低いだろう。こうした軍事挑発に、トランプ政権は来年の米大統領選もあり、譲歩はしない。今後、事態はエスカレートするだろうが、日本も決して警戒を怠ってはならない」と語っている。
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北朝鮮はもう暴発寸前、いよいよ金正恩は追い詰められた ミサイル発射に続いて各軍の示威行動も


 11月に入って、空軍軍用機部隊の大規模な展示演習、精鋭落下傘部隊の降下訓練、黄海上の南北境界線付近での砲兵部隊による実弾射撃演習、短距離弾道ミサイルの発射試験と、立て続けに北朝鮮による軍事的示威行動が確認されている。

そこには、「われわれはいつでも戦争を始める準備はできている」という金正恩朝鮮労働党委員長のメッセージがこめられているように見える。6月にはトランプ大統領と固い握手をかわしていた金正恩朝鮮労働党委員長は、なぜここまで対外的強硬姿勢をとるようになったのだろうか。

そこには、とうとうにっちもさっちもいかないところまで追い込まれた金委員長の状況が垣間見えるという。

最近の北朝鮮によるミサイル発射
北朝鮮は、11月28日午後5時ころ、今年に入って(5月以降)13回目となる短距離弾道ミサイルの発射試験を行った。

今回は、北朝鮮の報道などから10月に引き続いて「超大型放射砲(超大型多連装ロケット弾)」の発射であったと見られ、韓国合同参謀本部の発表によると、発射された飛翔体の飛距離は最大約380km、高度は97kmに達したとのことである。これは、通常軌道で最大射程を企図した発射形態によるものと考えられる。

これに対し、わが国政府は、この超大型多連装ロケット弾について、北朝鮮がたとえ(超大型)放射砲といえども、実質的にはこれが短距離弾道ミサイルと同等の性能を有していると評価されることから、(短距離)弾道ミサイルの発射と断定し、国連安保理決議違反であるとして北朝鮮を非難した。これについては、欧州のNATO加盟国なども同様の見解である。

今回発射したこの超大型多連装ロケット弾については、8月24日に初確認されて以降、月に1回(9月10日、10月31日、11月28日)のペースで発射されており、今回は4回目の発射であった。

このうち、9月の発射時には車両に搭載されている4発中3発が発射されたと見られ、そのうち少なくとも1発が失敗であった(予定の軌道を飛翔しなかった)可能性があり、北朝鮮のメディアも「成功」とは伝えなかった。

この発射を視察していた金正恩(朝鮮労働党)委員長は、「今後はロケット砲の威力上最もはっきりした特徴となる連発試射だけを行えば良い」という評価を下し、多連装として連続発射可能な状態には未だ至っていないことをうかがわせていた。

この指示を体現するように、10月31日には同ロケット弾2発を3分という短間隔で発射してともにほぼ最大射程と見られる370kmまで飛翔させ、今回はさらにその間隔を30秒に短縮して連続発射し、2発とも380kmまで到達させた。8月と9月の際には発射間隔が20分近く空いていたことを考えると、この2回の連続発射は格段の進歩である。

この結果について、朝鮮中央通信や労働新聞は、「超大型放射砲の戦闘的な性能と実戦能力の完璧さが確証された」、「視察した金正恩委員長は結果について大満足を示した」などと、この試射が成功であったことを伝えた。

今回のように、北朝鮮が月1回のペースでミサイル等の発射に関する不具合を是正しつつ、着実に能力を向上させているというのは括目すべき事象であり、10月2日に水中発射台から(極めて高度な技術を必要とするコールド・ローンチシステムによる)SLBM発射試験を成功させた事象とも合わせて、北朝鮮の弾道ミサイルや大型ロケット等に関する技術力の高さを裏付けるものと見なければならない。今年に入って、これら短距離弾道ミサイルの開発に北朝鮮が心血を注いでいる理由については、9月13日の拙稿「北朝鮮が、短距離弾道ミサイル開発に舵をきった『恐るべき真意』」をご覧いただきたい。

他軍種の活動も活発化
これら北朝鮮の短距離弾道ミサイル(超大型ロケット弾等)の発射もさることながら、我々が特に注意しなければならないのは、11月以降、朝鮮人民軍において戦略ロケット軍以外の軍種においても、目立った活動が見られるということである。

朝鮮中央通信は11月16日、金正恩委員長が、東部・元山(ウォンサン)の葛麻(カルマ)飛行場で行われた朝鮮人民軍空軍による「戦闘飛行術競技大会」を視察したと報じた。これについては、米国の研究グループ「38ノース」がこの大会が報道される以前に、衛星写真などの分析から元山の当該飛行場にMiG-29をはじめとする戦闘機やIl-28爆撃機など70機以上の軍用機を終結させているとして、空軍による大規模な展示演習などの可能性を指摘していた。

この2日後の11月18日には、金正恩委員長が朝鮮人民軍の精鋭部隊である空軍狙撃兵部隊の降下訓練を視察し、「有事を想定した実戦的な訓練を通じて戦闘力強化に努めるよう指導した」と、朝鮮中央通信が伝えた。

また、25日には、金正恩委員長が黄海NLL(北方限界線)付近の昌麟島(チャンリンド)において、朝鮮人民軍の最前線防御(砲撃)部隊による(韓国側の艦船や島への攻撃を想定した)実弾射撃訓練を視察するとともに、金委員長自身が射撃目標を定めるなど砲撃に関して直接指導を実施した。

なお、この実弾射撃は韓国軍によっても確認されており、韓国政府は、昨年9月に「軍事境界線付近での軍事演習を互いに中止すること」などで合意した「南北国防相合意」に明白に違反する軍事活動である、として北朝鮮に抗議した。

このように、北朝鮮がミサイル部隊だけでなく、他軍種においても大々的な訓練やこれに対する金正恩委員長の視察、並びに現地指導を行っている背景には、年内にも行われると報じられていた米朝会談の事前協議が思うように進捗していない中で、「我々はいつでも強硬路線に回帰する準備ができている」ということを内外に示す狙いがあったものと考えられる。

また、このほかにも、弾道ミサイルの発射準備や寧辺核施設における再活動の兆候なども衛星写真によって捉えられており、すぐにでも一昨年の状態に戻ることができるように北朝鮮は準備を進めているのであろう。というよりは、12月8日に行われた長距離弾道ミサイル(と推定)のエンジンテストなどからも窺えるように、「一昨年来、米朝協議の裏で密かに継続してきた核・長距離ミサイル開発の成果を確かめる準備が進んでいる」といった方が良いのかもしれない。

金正恩の懐刀「金英哲」が再び表舞台に登場した意味
一方で、北朝鮮による外交の動きとして注目されるのは、決裂した2月末の米朝首脳会談の後に情報機関の統一戦線部長を外れ、対外交渉から退いていた強硬派の首魁ともいうべき金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が再び外交の場に登場したことだ。

彼は、10月27日に「朝鮮アジア太平洋平和委員長」の肩書で朝鮮中央通信を通じて、「米国が首脳間の個人的な親交を利用して時間稼ぎをし、年末を無難に越そうとするなら愚かな妄想だ。朝米関係の維持にも限界がある」などと、米国を批判したのを皮切りに、11月19日には、米韓両政府が合同軍事演習の延期を決めたことに関して、「米国に求めているのは演習の完全中止だ」と主張し、12月7日にトランプ大統領が「北朝鮮が敵対的に行動すれば、驚きだ」と話したことに対しては、「トランプは我々が何らかの行動をすれば驚くと言ったが、もちろん驚くだろう」と、近いうちに挑発的な行動に出ることも示唆した。

金英哲朝鮮労働党副委員長(左から2番め)

ここに来て再び金英哲が登場したのには、大きく二つの理由が考えられる。その一つは国内向けのもので、現在交渉を一元的に進めている北朝鮮外務省に対して、「強硬派(軍など)を代表する党の最高幹部として、年内に米国から何らかの妥協点を引き出させて交渉をまとめるよう圧力をかける狙い」があるということ。

もう一つは、対米向けに、「今回(年内)の交渉が最後の和平合意のチャンスである。これを逃すと北朝鮮は米国と決裂して再び敵とみなし、核・ミサイルの戦力をさらに強化して核兵器強国の道を突き進むであろう」という北朝鮮式の「最後通告」であると考えられる。つまり、金英哲の言葉は、そのまま国防委員長としての金正恩の言葉を代弁しているということなのだろう。

おそらく、この12月下旬に招集するとした朝鮮労働党中央委員会総会(党大会と党大会の間に重要な国家の方針や対内外政策などを決める政策決定機構)において、昨年4月20日の同総会(第7回第3次)で決定した「(2018年)4月21日から核実験と大陸間弾道ロケット(ミサイル)発射試験を中止する。核実験中止を透明性あるものと裏付けるために、共和国北部核実験場を廃棄する」とした項目などを破棄または修正することが考えられる。

だとすれば、この内容を実際の行動によって内外に闡明〈せんめい〉するために、開会に合わせるなどして中距離以上の弾道ミサイルを発射するかもしれない。

北朝鮮式に言えばこの闡明は、米国に対する「宣戦布告」であり、日本への見せしめでもあるだろうから、2006年7月5日(未明から夕刻にかけて中・長距離弾道ミサイル7発を日本海へ向けて発射)のような大規模なものとなる可能性も考慮しておかなければならない。

金正恩委員長の焦り
本稿冒頭で触れた11月28日の超大型ロケット弾発射に際し、わが国の安倍首相はこれを「(短距離)弾道ミサイルの発射であり、国際社会に対する深刻な挑戦だ」として北朝鮮を非難した。これに対して、今までにないほど激しく反発した北朝鮮は、外務省の談話として安倍首相を名指しで口汚く罵ったうえで、「本当の弾道ミサイルがどんなものなのかということを、遠からず、それも非常に近くで見ることになるだろう」などと、わが国に対して脅迫まがいの言動を発した。

そこには、厳格に北朝鮮の瀬取り行為などを取り締まり、短距離ミサイルの発射に際しては、たとえそれを北朝鮮が「大型放射砲」と呼称しようとも、毅然として「弾道ミサイルの発射」と断定し、国連安保理決議違反として糾弾するわが国に対する強いいら立ちが感じられる。

つまり、これは北朝鮮が(思うように進捗しない)米朝交渉の責任をわが国に転嫁しようとする気持ちの表れであり、自らが定めた期限が迫っていることへの強い焦りがあるからだと考えられるのである。先に述べた、12月8日のエンジンテストを「重大試験」などと喧伝したのも、期限が迫るなかで挑発的な準備活動を示威することで米側の関心を引きつけ、何とか譲歩を引き出したいという焦りから発せられたものと見受けられる。

おそらく、北朝鮮は経済的にかなりひっ迫してきているのであろう。それも、金委員長の融通の利く外貨が厳しい状態に追い込まれているのではないか。これから新年を迎えるにあたり、党や軍の幹部にばらまく金品が乏しく、内部統制が揺らぐことを懸念しているのかもしれない。一日も早く、経済制裁(中でも北朝鮮の企業や個人に対する金融制裁)を解除してほしい、というのが実情なのだろう。

一方で、米トランプ大統領も選挙前という国内事情やイランへの圧力外交という政治方針などから、北朝鮮に対する安易な妥協もできず、結局は年内の米朝協議でこれら経済制裁の解除を狙った北朝鮮の目論見は断念せざるを得ない状況となった。

かかる上は、再び強硬路線に戻って準戦時状態という内部環境を醸成し、国内の引き締めを図らなければならなくなったというところではないだろうか。11月以降の各軍への視察や現地指導などは、それを裏付けるものと見られる。

また、先代の金正日総書記の異母弟であり金正恩委員長の叔父にあたる金平日(キム・ピョンイル〉チェコ大使と、妻が金正日の異母妹である金光燮〈キム・クァンソプ〉オーストリア大使の二人の親族をともに30年にも及ぶ職務を解いて11月末に帰国させたのも、今後米国と再び敵対した際に、米国情報機関の息のかかった勢力によって海外で身内が取り込まれ、亡命させられるなどして金正恩政権の外堀が埋められることを恐れているからではないかと考えられる。

トランプ大統領の思惑と今後の動向
それにしても、トランプ大統領は可能な限り年内に米朝協議を成立させようと努力しているのだろうか。どうもそのようには見えてこない。筆者は、トランプ大統領は実際のところ、再び朝鮮半島が緊迫することを「良し」としているのではないかという気がしている。

というのも、そうなれば韓国の文在寅大統領も日米韓の軍事連携やGSOMIAのありがたみに気が付くであろうし、トランプ大統領が吹っかけているような大枚をはたいてでも、引き続き現状規模ないしはそれ以上の米軍駐留が必要となるだろうからだ。

6月末の会談の頃とは、両首脳の間の空気感は変わってしまった

トランプ政権のメリットはそれだけではない。国内的には、トランプ大統領の弾劾を追求することは、大統領の力を弱めることに繋がり、外交上米国の国益を損なう恐れが出てくる。というのも、北朝鮮が今後再び挑発的な活動に出て、米国本土にもその脅威が及ぶとなれば、当然のことながら米国による軍事行動の選択肢も現実化する。これに対応するためには、米国内はそれなりに団結しなければならず、大統領の弾劾という政治的ベクトルの力は弱まるに違いない。

対外的には、北朝鮮へのけん制はロシアや中国に対する軍事的けん制とも絡められる。北朝鮮への対応という名分で中国やロシアを念頭に新たなミサイル防衛システムの構築や米国が目指す中距離(核)ミサイルの東アジア配備にも追い風が吹くだろう。

一方の中国は、このような米国の軍事的圧力のもとに、香港や台湾やウイグルへの対応に加えて、再び北朝鮮にもそのエネルギーを費やさなくてはならなくなる。また、米国が北朝鮮に対する軍事的圧力を強めることは、イランへの見せしめにもなる。

しかしながら、このような推移は、わが国にとっては極めて危険極まりない状態であり、憂慮すべき事態である。北朝鮮は米国を再び交渉のテーブルに着かせるために、日本を人質にとって挑発をエスカレートさせるかも知れない。

たとえば、北朝鮮の弾道ミサイルがわが国の領海内や(青森県久六島のような)離島へ着弾した場合などはどのように対応するのか。有事は自然災害とは異なり、想定外では済まされない。新たに迎える新年は、きな臭いスタートとなることも覚悟しておく必要があるだろう。近いうちに、忘れかけていたJアラートが鳴り響く可能性は十分にある。

すでに防衛省は、このような見積もりも考慮して今後の対応を検討していると思われるが、我々一般市民もこのような周辺情勢の認識をしっかり持ったうえで、今後の事態を確と見守る必要があろう。国防に関わる国権の発動は、国民の総意によってこそ成り立つものだからである。

しかし、未だ完全に米朝協議継続の芽が失われたわけではない。今後の推移に注目したい。
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名簿廃棄、橋下氏「独裁国家ですよ」

 政府が「桜を見る会」の招待者名簿を廃棄し、データ復元もできないと説明していることについて、橋下徹元大阪市長はBS-TBSの番組で、「国家権力がそういうことをやるのは独裁国家だ」などと政府の対応を批判しました。

 「データとか記録の廃棄とかなくなるということについては、国家権力がそういうことをやるというのは本当に怖い。それは共産国家、独裁国家ですよ」(橋下徹 元大阪市長)

 橋下氏は、12日に出演したBS-TBSの「報道1930」の中で、安倍政権の基本政策は支持すると表明しました。一方で、公的行事の招待名簿を廃棄したとしていることについては、旧ソ連の資料隠蔽などを例に挙げて、公文書は適切に保存され開示されるべきものだとして、政府の姿勢を批判しました。

 また、橋下氏は「シュレッダーの前にみんな押しかけて『何秒です』とか、しようもないことをやるから国民の支持が(野党に)行かない」などと述べ、野党による問題追及も不十分だと指摘しました。

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