国際情勢 キム委員長「遠からず 新たな戦略兵器を目撃することに」 / トランプ大統領 “米中貿易交渉 15日署名” 北京訪問の考えも
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(GSOMIA)を破棄

 北朝鮮の国営メディアは、重要政策を決定する朝鮮労働党の中央委員会総会が31日まで開かれ、キム・ジョンウン(金正恩)委員長が、演説の中で、「今後のアメリカの立場によっては、核抑止力を強化する」と述べたと伝えました。そのうえで、「遠からず、新たな戦略兵器を目撃することになるだろう」と述べ、アメリカをけん制しました。

北朝鮮の国営メディアは、キム・ジョンウン委員長が出席して、重要政策を決定する党の中央委員会総会がきのうまでの4日間、開催されたと伝えました。

総会での演説で、キム委員長は、アメリカとの非核化交渉について、「アメリカの核の脅威を制圧し、安全を担保するため、今後のアメリカの立場によっては、われわれは核抑止力を強化する」と述べました。

そのうえで、「アメリカによる敵対的行為と核の脅威が増大している。遠からず、わが国が保有することになる新たな戦略兵器を目撃することになるだろう」と述べ、アメリカをけん制しました。

その一方で、キム委員長は、アメリカとの交渉について、「長期化するだろう」とも述べています。北朝鮮としては、アメリカに対して制裁の解除など敵視政策の撤回を求めて譲歩しない姿勢を強調した形です。

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北朝鮮 キム委員長 あす1月1日に新たな方針を表明か

北朝鮮で重要政策を決定する朝鮮労働党の中央委員会総会は、30日、3日目が開かれ、キム・ジョンウン(金正恩)委員長が、「政治外交、および、軍事的な対応措置の準備に言及した」と伝えました。総会は大みそかの31日も開かれる見通しで、1月1日、キム委員長の新年の演説を通してアメリカとの非核化交渉やミサイル開発について新たな方針を示す可能性があります。

31日付けの朝鮮労働党機関紙、「労働新聞」は、キム・ジョンウン委員長が出席して、重要政策を決定する党の中央委員会総会の3日目が30日開催されたと伝えました。

この中でキム委員長は、「国の自主権と安全を保障するための積極的で攻撃的な政治外交、および、軍事的な対応措置の準備に言及した」としています。

そのうえで、キム委員長は、「最後の勝利のために、苦しく長い闘争を決心した」と述べ、総会での7時間に及ぶ演説を終えたと伝えました。そして、議案の決定書の内容を議論するため、総会は引き続き開かれるとしています。

北朝鮮がアメリカとの非核化交渉の期限を一方的に年末と定めるなか、総会は大みそかの31日も開かれる見通しで、年末に4日連続の総会開催は、異例です。

キム委員長は毎年、1年間の国政運営の方針を示す新年の演説を行って、元日に国営テレビで放送しています。1日の元日、新年の演説が放送されれば、アメリカとの交渉やミサイル開発について、新たな方針が示される可能性があります。

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トランプ大統領 “米中貿易交渉 15日署名” 北京訪問の考えも

アメリカのトランプ大統領は、第1段階の合意に達した米中の貿易交渉について、今月15日にワシントンで正式な文書に署名すると発表しました。そのうえで、第2段階の交渉を始めるため後日、北京を訪問する考えを明らかにし、両国の対立の緩和につながるのか注目されます。

米中両政府は先月中旬、貿易交渉について、中国がアメリカ産の農産品を大量に購入することや、知的財産権の保護に取り組むことなど、第1段階の合意に達したと発表しました。

これについてトランプ大統領は31日、ツイッターに「中国との非常に大きく、包括的な第1段階の合意に1月15日に署名する」と投稿し、今月15日にホワイトハウスで正式な文書に署名すると発表しました。

署名式には中国からハイレベルの代表団が出席するとしています。

そのうえでトランプ大統領は、第2段階の交渉を始めるため後日、北京を訪問する考えを明らかにしました。

中国訪問が実現すれば、2017年11月以来となり、両国の対立の緩和につながるのか注目されます。

ことし11月に大統領選挙をひかえるトランプ大統領としては、支持基盤である国内の農家などに対して貿易交渉が進展しているとアピールするねらいがあるとみられます。

ただ、アメリカは、中国政府の国有企業に対する保護などを問題視しているほか、香港やウイグル族をめぐる問題でも中国に批判的な姿勢を崩しておらず、関係改善の先行きは依然として不透明です。

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「拘束された金正恩」写真を公開した米国の真意


 米軍が11月に韓国軍と合同で金正恩委員長ら政権首脳を急襲する作戦演習を実施し、その内容を12月下旬に公表した。金委員長に扮したとみられる人物を拘束して連行する写真も明らかにしており、北朝鮮首脳部への抑止の意図があると目される。



「金正恩」拘束をシミュレーション?
 ロイター通信は、この米韓合同の特別作戦演習の内容を12月22日に詳しく報じた。報道は米国国防総省の非公式な発表に基づいており、演習の写真なども同時に公表された。

 同報道によると、この演習は米軍および韓国軍の特殊部隊によって、2019年11月12日に、韓国中西部にある群山米空軍基地で実施された。特殊部隊が北朝鮮の心臓部に奇襲攻撃をかけ、金正恩委員長はじめ労働党や人民軍の最高幹部を襲い、首脳陣を抹殺あるいは拘束する、という作戦の演習だった。

 12月下旬、米軍当局はこの演習内容の一部を、メディアにリークする形で映像とともに開示した。映像のなかには米韓軍部隊に捕獲され、後ろ手に手錠をかけられて連行される北側の最高指導者らしい人物の姿も含まれていた。


韓国・群山米空軍基地で実施された米韓合同の特別作戦演習(出所:米空軍)


 韓国軍当局者はこの演習について「反テロと人質奪取を目的とする定期的な訓練であり、今回だけの特別な意味はない」と述べた。だがロイター通信は、この演習は明らかに北朝鮮首脳の拠点を標的として急襲し、首脳部の要員を拘束するという目的の特殊な作戦の訓練であると報じている。北朝鮮の首脳に焦点を合わせたこうした攻撃は、米国が年来保持しているとされる、北朝鮮首脳部に対する「斬首作戦」の一種だとも言える。

 さらにロイター通信は、この演習の写真が米国防総省機関の「防衛視覚情報配布サービス」から選別的に配布されたと述べ、米国によるこの時期のリークは、北朝鮮への戦略的なメッセージの意図が込められていると解説していた。

強力な軍事手段を知らしめるため?
 米国は北朝鮮に一貫して非核化を要求し、それに対して北朝鮮側は米国に経済制裁の緩和を求めている。12月上旬に北朝鮮は、トランプ政権が経済制裁を緩和しない場合には「クリスマスプレゼント」として長距離弾道ミサイル発射など軍事手段に訴えることも示唆していた。

 トランプ政権は、北朝鮮のそうした挑発的な軍事行動を抑止するために、1カ月前に行われた「北首脳急襲作戦」の演習情報をあえて公表したとみられる。米国側にも強力な軍事手段があることを北朝鮮側に知らしめようという狙いである。

 トランプ大統領は12月上旬、北朝鮮側の威嚇に対して「米国には、北朝鮮に対して軍事力を行使する権利がある」と述べていた。米太平洋空軍のチャールズ・ブラウン司令官も「わが軍は必要に応じて軍事力を使う態勢にある」と語っている。さらに12月中旬には、米軍がRC135W、RQ4など最新鋭の偵察機、爆撃機などを北朝鮮上空に飛ばしたことが伝えられていた。

 米国のこうした軍事活動について、在韓米軍勤務歴の長い軍事専門家、デービッド・マックスウェル氏は、「米軍が高度の偵察能力や強大な攻撃能力を示すことは、北朝鮮に危険な軍事行動を思いとどまらせる効果がある。北朝鮮がクリスマスになんの行動もとらなかったのは、その結果かもしれない」と論評した。

 現在、全世界の注視を集める米国と北朝鮮との非核化交渉には、こうした軍事的な要素も複雑に絡み合っているのである。

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2030年の世界地図帳 落合陽一

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