国際情勢 WHO事務局長「パンデミックに備える必要」「ウイルスの変異みられない」/韓国も新型コロナ、影響広がる/トランプ大統領が訪印、10万人に演説/新型コロナが中東で拡大、イラン経由か


 WHO=世界保健機関は感染拡大を続ける新型コロナウイルスについて、パンデミック=世界的大流行に備える必要があると警戒をよびかけました。

 WHOのテドロス事務局長は24日、新型コロナウイルスについて現時点では収拾がつかないほどの感染拡大や死亡者数には至っていないとしながらも、「パンデミックになるだけの可能性を秘めている」として、世界的な流行に備えるよう各国に呼びかけました。

 その上で、パンデミックと呼ぶかどうかはウイルスの地理的な広がりや社会的な影響などを考慮して判断することになるとしています。

 WHOは中国に入った専門家チームが、先月23日から今月2日までにピークを迎えて以降、中国での新たな感染者は減少していることを確認したとしていますが、イタリアやイラン、韓国の急激な感染拡大に懸念を示し、状況を注視しているとしています。 

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WHOと中国合同調査団「ウイルスの変異みられない」

 新型コロナウイルスによる肺炎について、WHO=世界保健機関と中国の専門家調査団が北京で会見を行い「ウイルスの重大な変異はみられなかった」と明らかにしました。

 国営の中央テレビによりますと、中国で状況が最も深刻な湖北省の武漢市などを視察したWHOと中国の衛生当局の合同専門家調査団が24日、会見を行い、中国側の団長が「これまでのところ、ウイルスの重大な変異はみられなかった」と述べました。

 また、中国では病院内での医療従事者による感染が深刻な問題となっていて、調査団は、湖北省を中心に3300人以上の医療従事者が感染した事を明らかにしました。

 さらに感染ルートとして、コウモリからセンザンコウを介してウイルスが広がった可能性があるとも指摘しました。
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韓国も新型コロナ、影響広がる

 韓国では新型コロナウイルスの感染者がここのところ急増していて、市民の生活に様々な影響が出ています。

 新型コロナウイルスの集団感染が発生している南東部・大邱(テグ)では、24日、マスクを買い求める人が数百メートルの行列を作りました。韓国では、これまでに833人の感染が確認されていて8人が死亡しています。

 このうち大邱の新興宗教団体「新天地イエス教会」の関係者が半分以上を占めていて、ソウルにある支部は閉鎖されていました。となりの建物の玄関には信者の出入りを禁止すると書かれた紙が貼られるなど不安が広がっています。

 「大規模な集会の舞台となってきたソウル中心部の広場には、集会を禁止すると書かれた看板がたくさん設置されています」(記者)

 韓国政府は感染拡大を防ぐため多くの人が集まる行事を自粛するよう呼びかけていますが、22日には保守系の団体が集会を強行する騒ぎもありました。観光地では4か国語で客にマスク着用を呼びかける店も。

 「お客さんだけでなくて、店員も一緒に守る意味で貼りました」(明洞にある店の店主)

 韓国では感染者が訪れたことが確認された国会が閉鎖。プロサッカーリーグの開幕が延期となったほか、国立博物館などが休館を決めるなど、影響が広がっています。
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トランプ大統領が訪印、10万人に演説

 アメリカのトランプ大統領は就任後初めて訪れたインドで10万人以上を前に演説し、両国の親密な関係をアピールしました。

 「アメリカはインドを愛し、尊敬しています。アメリカはこれからも常に、インドの皆さんの忠実な友人です」(アメリカ トランプ大統領)

 トランプ大統領は24日、インドのモディ首相の出身地グジャラート州にある世界最大規模のクリケット場で10万人以上を前に演説しました。

 アメリカはインド洋周辺地域での影響力を強める中国に対抗するため、インドとの関係強化を図っていて、トランプ大統領はモディ首相を「特別なリーダーだ」と持ち上げ、親密な関係をアピールしました。

 また、トランプ大統領はインドへの防衛装備品などの輸出の拡大も目指していて、11月の大統領選挙に向けた実績にしたい考えです。


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新型コロナが中東で拡大、イラン経由か

 新型コロナウイルスの感染がイラクやクウェートなど中東各国で初めて確認されました。いずれも感染が拡大しているイランを経由しているものとみられています。

 新型コロナウイルスの感染がイランでも拡大する中、AP通信によりますとイラク、クウェート、バーレーン、オマーンの保健当局が24日、国内で初めて感染者が確認されたと発表しました。いずれもイランから到着した人だということです。

 すでにクウェート航空とイラク航空はイランとの便の運航を停止していて、イラク、アフガニスタン、アルメニアはイランとの国境を封鎖したということです。

 イラン保健省はこれまでに61人が感染し12人が死亡したと発表していますが、感染して治療を受けているイランの国会議員は地元メディアに対し、すでに50人の死者が出ていると主張。政府はコロナウイルスの感染拡大の対策に失敗した、と批判を展開しています。

 政府はこの議員の話を否定していますが、イランで政府に対する批判がメディアに載ることは珍しく、今後さらに感染が拡大すれば、指導部の求心力低下につながる可能性も出てきています。
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“正念場”「これから1~2週間が瀬戸際」専門家会議

 新型コロナウイルスの感染者が国内で増え続けていることを受け、政府の専門家会議が、「これから1~2週間が急速な拡大に向かうか収束できるかの瀬戸際」とする独自の見解を公表しました。

 「この1、2週が感染があっという間にどんどん拡大のスピードが増すか、感染拡大のスピードをある程度、抑制できるのか瀬戸際。実は一人一人の感染を阻止することは、この病気はできない。感染の拡大を完全にストップできないので、最大の目標は感染拡大のスピードをどれだけ抑制するか。闘いは今まさに正念場」(専門家会議 尾身茂副座長)

 24日夜、政府の専門家会議が記者会見を行い、国内感染の状況について、「複数の地域からいつ、どこで、誰から感染したかわからない例が報告されてきており、国内の感染が急速に拡大しかねない状況にある」との分析を公表しました。

 また、集団感染が連鎖的に起きることを防ぐことが重要とし、多くの人が対面で一定時間、会話するような環境は集団感染が起きやすいとして、そうした場への参加を国民に控えるよう求めました。

 「一番大事なメッセージは、熱があったら外出せずに自宅療養してほしい。症状がない人にも、実は2つお願い。例えば立食パーティーや飲み会とかこういうところはなるべく行かないでほしい。(もう1つは)誰でもかかりえる病気だから、心配だからといって病院やクリニックに行くことは今は避けてほしい」(専門家会議 尾身茂副座長)

 専門家会議の提言を受けて、政府は、新型コロナウイルスに関する基本方針を25日、発表する予定です。

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