3Dプリンターで人工呼吸器代用装置、データ無償提供 広島大などのチームが新型コロナ受け




   新型コロナウイルスの感染拡大で人工呼吸器が世界的に不足する中、広島大などの研究チームは27日、3Dプリンターで代用装置を作れる製図データを世界に無償提供するプロジェクトを始めたと発表した。簡易的な人工呼吸器だが、日本を含めて医療機器として認証する国はまだない。無償提供して各国に認証手続きを急いでもらい、早期の実用化を目指す。

 この装置は、原料の樹脂があれば一般的な3Dプリンターでも約8時間で作ることができる。手のひらサイズで約50グラム。酸素ボンベなどにつなぎ、1度患者の肺に空気を送り込めば自動で動き、空気の出入りを助ける仕組み。電気制御の必要はない。

 開発者は、国立病院機構新潟病院(新潟県柏崎市)の石北直之医師。もともと宇宙空間での利用を目指し、米航空宇宙局(NASA)との共同研究で2017年1月に原型を完成させていた。

 新型コロナウイルス感染症の重症患者が増え、世界各国で人工呼吸器の不足が深刻化する中、今月中旬に実用化を加速するチームを発足。広島大トランスレーショナルリサーチセンター(広島市南区)で医療技術開発に取り組む木阪智彦准教授(循環器内科)が共同代表に就いた。

 重症者が急増しているイタリアや米国などから問い合わせが殺到しており、既にデータを送信している。装置を普及させる人材と、認証手続きや製品の品質管理を進めるための資金が不足しているとしてクラウドファンディングなどで支援を募る。

 広島大霞キャンパス(南区)でこの日、記者会見した木阪准教授は「一日も早く認証を受け、危機的状況にある医療現場を助けたい」と強調した。