岡山市 ハザードマップ全面改訂 小学区単位に分割、全戸配布


  岡山市は、2018年の西日本豪雨の経験を踏まえて洪水・土砂災害ハザードマップを全面改訂した。1枚の用紙に市全域の情報を載せた従来の方式を改め、市内の89小学校区単位にマップを分割して地域ごとの災害リスクや避難所の場所などを分かりやすく紹介する。市内全戸に居住地に応じたマップを配布し、迅速で的確な避難行動に役立ててもらう。

 新たなマップは災害時に市が設ける避難所を黄色の太字で表記し、これまで別表を見る必要があった洪水、土砂災害、地震ごとの開設の可否をマップ上に「◯」と「×」で明示した。洪水時に想定される浸水の深さは5段階から4段階に簡略化し、「0・5メートル未満」は緑色、「0・5〜2メートル未満」は水色、「2〜5メートル未満」は青色、「5メートル以上」は紫色とした。避難場所や緊急連絡先を記すメモ欄も新たに設けた。A3判カラー。

 旧マップは市全体を網羅する一方、西日本豪雨では「近くの避難所の場所が分かりにくかった」といった声が寄せられたという。

 市は約35万部を作製し、3月から各戸に郵送している。マップの活用方法も同封し、地域にどんな危険があるのか各家庭で事前に把握することの大切さを訴えている。避難所や自宅からの経路、緊急連絡先を平時から家族同士で話し合い、メモ欄に書き込むようにも呼び掛けている。

 市危機管理室は「近年は災害が多発しており、日頃の備えの重要さが増している。緊急時に速やかに避難できるよう活用してほしい」としている。

 ハザードマップ 災害による被害の想定範囲を示した地図。洪水や土砂災害、地震などの種類があり、市町村に作成と周知の義務がある。西日本豪雨で被害が出た倉敷、総社、高梁市、矢掛町の約7千世帯を対象に行った県調査では、地域のハザードマップの内容を事前に把握していたのは22・7%にとどまり、住民への周知が課題となっている。