岡山県内施設や観光地 再開へ準備進む 復活期待も客足に不安


 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国で解除され、6月1日から再開する岡山県内の主要施設や観光地で利用者や客を迎える準備が進んでいる。にぎわい復活への期待がかかるものの、3密(密閉、密集、密接)を防ぐ対策が不可欠で「元通りには当分ならないだろう」との声も多い。

 4月20日から休園している岡山市の後楽園では6月1日の開園に向け、造園業者が生け垣を刈り込んでいる。4月の入園者は前年同月比の12%まで落ち込んだだけに「待ちに待った再開です」と信江幸雄所長。消毒液を置くなど感染防止対策を徹底する。

 隣接する岡山城は、天守閣内の壁や床に、観覧時の移動を一方通行とし、人と人の間隔を2メートル以上空けるよう促す張り紙をした。

 屋内施設では県総合グラウンド(同市)のジップアリーナ岡山、陸上競技場内のトレーニングルームなどで利用が再開される。感染防止対策として、更衣室のロッカー使用は当面中止し、トレーニング器具の使用時には小まめな消毒を求める。

 営業や利用再開への期待の一方、6月以降のイベント中止を既に決定した施設は多く、再開後も影響が長引くとの見方が強い。

 国史跡・津山城跡がある鶴山公園(津山市)は園内のイベントを当面見送る。JR津山駅構内にある総合学習施設「津山まなびの鉄道館」(同市)は再開するが、館内でのイベントは中止。公園と鉄道館を管理・運営する同市観光協会の高務雅彦専務理事は「一気に回復するのは到底難しい」と漏らす。

 「ひるぜんジャージーランド」(真庭市)はレストランの座席数を4割減らして営業を再開する。人気のある搾乳体験も取りやめ、施設を運営する蒜山酪農農業協同組合の上原哲也参事は「どれだけ客足が戻るかは不透明」と打ち明ける。

 倉敷市・美観地区のホテル「倉敷アイビースクエア」の高橋亮輔総務部長は「多くの人が観光やレジャーを楽しもうという気持ちになるまでには時間がかかる」と分析。後楽園の信江所長も「昨年度14万人いた外国人の来園が当分望めず、状況は厳しい」と言う。

 湯原温泉(真庭市)では約20ある旅館の大半が6月1日から営業を再開するが、予約はまだ少ないという。湯原町旅館協同組合の高橋忠孝代表理事は「どうすれば安心して利用してもらえるか、接客などのサービスの在り方も含めて対策を考えたい」と話す。