西日本豪雨、広島や岡山で追悼式 「2年前に戻れたら」

 西日本豪雨から2年となるのを前に岡山県と広島県の各地で5日、遺族や住民らが犠牲者をしのんだ。岡山県倉敷市真備町地区にある坪田集落の追悼集会で、亡くなった守屋孝恵さん=当時(84)=の長女、松村好美さん(57)は「豪雨に見舞われる前の2年前の今日に戻れたら、母を助けられたのではないかと思う」と振り返った。

 坪田集落では5メートル以上浸水した場所もあり、4人が亡くなった。松村さんは「ずっと後悔していたが、いつも笑顔だった母の姿を思い出すことが増えた」とも語った。

 12人が死亡した広島市安芸区矢野地区では水害記念碑の除幕式があり、遺族ら約100人が参加した。


/////
岡山県内1281世帯仮設暮らし 西日本豪雨発生から2年

岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした西日本豪雨は6日、発生から2年となった。県内の被災地では、仮設住宅を出て元の住居に戻る人が相次ぐ一方、今も1281世帯2992人が仮設での暮らしを強いられ、さらにその半数を超える711世帯は原則2年の入居期限内に退去できないとして延長を希望している。月日の経過とともに、生活再建への歩みに格差が広がっている。

 政府は昨年12月、西日本豪雨の被災者が暮らす仮設住宅の入居期限について1年の延長を閣議決定。だが、岡山県内ではその1年が経過した後も約30世帯は資金難などで退去できない見通しであることが県の調査で判明している。期限が何度も延長された2011年の東日本大震災では、仮設住宅での独居高齢者の孤独死が社会問題化しており、心身のケアや孤立を防ぐ取り組みも求められそうだ。

 岡山県によると、6月末現在で自治体が民間住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」に1146世帯2706人、倉敷、総社市に整備された建設型仮設住宅(計312戸)に135世帯286人が入居。被害の大きかった真備町地区のある倉敷市が計1185世帯と9割余りを占める。既に仮設住宅を退去したのは2293世帯で、その8割が被災前の場所に自宅を再建したとみられる。

 一方、入居の延長を希望している711世帯のうち、6月末までに延長申請が認められたのは598世帯。申請の理由は「期限内に自宅を再建できない」が最多の349世帯、次いで「希望する公営住宅が建設、修繕中」が166世帯、「希望する条件の民間賃貸住宅が見つからない」が83世帯だった。新型コロナウイルスの影響で家屋の再建や修繕が進まず、延長を余儀なくされたケースは少なくとも50世帯に上る。

 西日本豪雨の他の被災地では、広島県で257世帯589人(今月1日現在)、愛媛県で285世帯611人(6月末現在)が依然として仮住まいで、広島県は100世帯弱、愛媛県は6〜7割が期限内の退去は困難としている。

 総務省消防庁などによると、西日本豪雨の犠牲者は災害関連死を含めて14府県で計296人(今月5日現在)で、岡山県は89人(うち災害関連死28人)、広島県は149人(同40人)。岡山県で3人、広島県で5人の行方が分かっていない。
/////

災害時の避難所 コロナ対策は… 県内自治体、半数以上増設見送り

新型コロナウイルスの収束が見通せない中、災害時の避難所での感染拡大を防ぐため、新たな避難所を確保済みか確保を予定している自治体は、岡山県内全27市町村のうち13市町にとどまることが、西日本豪雨の発生2年を前に山陽新聞社が実施したアンケートで分かった。国は密集状態を回避するため避難所の数を増やすよう求めているが、施設や運営スタッフの不足などを背景に、半数以上の自治体が増設を見送っている状況が浮かび上がった。

 内閣府は4月、避難所での感染症対策について、あらかじめ指定した施設に加え、可能な限り多くの避難所を開設して避難者に十分なスペースを確保するよう自治体に通知している。アンケートでは、井原、総社市、奈義町の3市町が新たな避難所を「確保した」と答え、岡山、津山、瀬戸市など10市町が「確保する予定」と回答した。

 増設する避難所の種別は、7市町が挙げた「公民館・集会所」が最も多く、内閣府が活用を推奨している「ホテル・旅館」が5市、「学校施設」が1市と続いた。他にも福祉施設や寺院、大型商業施設を検討している自治体があった。

 一方、倉敷、笠岡市など5市町村は避難所の増設以外の方法で密集を回避するなどとして、「確保しない」と回答。備前市、和気町など4市町は「確保できない」と答え、「避難所として活用できる施設が少なく、配備できる職員数にも限りがある」(新見市)といった理由を挙げた。

 阪神大震災を機に設立された研究機関「人と防災未来センター」(神戸市)の高岡誠子研究員(災害医療)は「多くの自治体は従来の避難所数のままだと感染症を防ぐことは難しい。車中避難や親戚・知人宅への避難など住民が多様な選択をできるよう準備を進めるべきだ」と指摘する。

 アンケートは6月下旬、各市町村の防災担当者を対象に実施した。

/////