岡山県内1281世帯仮設暮らし 西日本豪雨発生から2年

 岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした西日本豪雨は6日、発生から2年となった。県内の被災地では、仮設住宅を出て元の住居に戻る人が相次ぐ一方、今も1281世帯2992人が仮設での暮らしを強いられ、さらにその半数を超える711世帯は原則2年の入居期限内に退去できないとして延長を希望している。月日の経過とともに、生活再建への歩みに格差が広がっている。

 政府は昨年12月、西日本豪雨の被災者が暮らす仮設住宅の入居期限について1年の延長を閣議決定。だが、岡山県内ではその1年が経過した後も約30世帯は資金難などで退去できない見通しであることが県の調査で判明している。期限が何度も延長された2011年の東日本大震災では、仮設住宅での独居高齢者の孤独死が社会問題化しており、心身のケアや孤立を防ぐ取り組みも求められそうだ。


岡山県内の仮設住宅入居推移

 岡山県によると、6月末現在で自治体が民間住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」に1146世帯2706人、倉敷、総社市に整備された建設型仮設住宅(計312戸)に135世帯286人が入居。被害の大きかった真備町地区のある倉敷市が計1185世帯と9割余りを占める。既に仮設住宅を退去したのは2293世帯で、その8割が被災前の場所に自宅を再建したとみられる。

 一方、入居の延長を希望している711世帯のうち、6月末までに延長申請が認められたのは598世帯。申請の理由は「期限内に自宅を再建できない」が最多の349世帯、次いで「希望する公営住宅が建設、修繕中」が166世帯、「希望する条件の民間賃貸住宅が見つからない」が83世帯だった。新型コロナウイルスの影響で家屋の再建や修繕が進まず、延長を余儀なくされたケースは少なくとも50世帯に上る。

 西日本豪雨の他の被災地では、広島県で257世帯589人(今月1日現在)、愛媛県で285世帯611人(6月末現在)が依然として仮住まいで、広島県は100世帯弱、愛媛県は6~7割が期限内の退去は困難としている。

 総務省消防庁などによると、西日本豪雨の犠牲者は災害関連死を含めて14府県で計296人(今月5日現在)で、岡山県は89人(うち災害関連死28人)、広島県は149人(同40人)。岡山県で3人、広島県で5人の行方が分かっていない。


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西日本豪雨2年 「教訓未来へ」岡山・真備で追悼式

 災害関連死を含めて296人の死者を出した平成30年の西日本豪雨で、最初の大雨特別警報が出て2年となった6日、広島や岡山の被災地で追悼式が開かれ、参列者は犠牲者の冥福を祈った。

 岡山県倉敷市真備(まび)町の倉敷市真備支所で営まれた追悼式では、祖父の須増清四郎(すます・せいしろう)さん=当時(92)=を亡くした藍加(あいか)さん(33)=同市平田=が遺族代表としてあいさつ。「突然の別れから2年がたったが、年月を経ても心の傷が癒えることはない」とし、「災害は私たちの想像を超える力で襲ってくる。つらい経験を教訓として災害から命を守る備えを、未来へ引き継いでいきたい」と語った。

 また、伊東香織市長は式辞で、九州での豪雨に触れ「心からお見舞いを申し上げる」とし、熊本県人吉市に、土嚢(どのう)袋や給水袋などの物資を送ったと述べた。

 真備町地区は河川の堤防決壊による浸水被害があり、51人が死亡した。6月末現在で、約2800人が市内外の仮設住宅で生活している。

 式典は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、来賓の人数を制限するなど規模を縮小し、会議室で実施した。


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