「フォートナイト」、Appleを提訴 課金独占を問題視 


 【シリコンバレー】人気ゲーム「フォートナイト」を手がける米エピックゲームズが13日、米アップルのスマートフォンのアプリを通じた課金システムが独占にあたるとして同社を提訴した。フォートナイトは世界で3億5000万人超のプレーヤーを抱えており、有力アプリ開発企業による問題提起は波紋を広げそうだ。

 アップルの有名CM「1984」になぞらえ、「アップストア」の反競争的行為を批判する動画を公開した(エピックゲームズの公式ツイッター)

カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所で訴えを起こした。エピックはアップルが同社のスマートフォンやタブレットで使うアプリの配信とアプリを通じた課金システムを独占していることを問題視し、公正な競争の実現に向けて差し止め命令を出すことを求めた。

エピックはフォートナイトを家庭用ゲーム機やスマホなど向けに提供し、アップルの「アップストア」を通じた配信も手がけていた。同日にアップルの仕組みを回避する独自の課金システムを導入すると公表し、アップルはこれが規約に違反するとして配信を停止した。エピックは直後に訴状を公表した。

アップルの今回の措置により、iPhoneなどの利用者は現在、フォートナイトのダウンロードができない。エピックは提訴にあわせてアップルが1984年に放映した、米IBMによるIT(情報技術)業界の支配を批判したテレビCMに似せた動画を公開し、ユーザーに「2020年が『1984』になることを止める戦いに加わってほしい」と理解を求めた。

アップルのスマホの世界シェアは20%未満にとどまるが、アプリの配信やアプリを通じた課金に自社のシステムを使うことを求めている。同社が安全の確保などを理由として挙げる一方、開発者の間では「手数料が高い」といった不満の声が上がっていた。7月下旬の米議会の反トラスト法(独占禁止法)をめぐる公聴会でも、アプリ配信が論点のひとつになった。

IT大手による独占・寡占への関心が高まるなか、多くのプレーヤーを抱える有力アプリ開発企業が反旗を翻したことで逆風が強まるおそれがある。アップルは同日の声明で、エピックによる独自の課金サービスについて「アップストアのガイドラインに違反する不幸なステップ」と指摘し、「違反状態を解消してアップストアで再び配信するためにエピックと協力する」と説明した。