「iPhone 12」シリーズの4モデルは、どれを選ぶのが“正解”なのか?


 アップルの「iPhone」の最新モデルとなる「iPhone 12」シリーズには、これまで以上に多くの選択肢が用意されている。選択肢が多ければ、それだけ戸惑いも大きくなる。いったい、どのiPhone 12を選べばいいのか──。そう感じたなら(もしくは単に興味をもったなら)、ぜひ読んでみてほしい。

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1.そもそも本当に最新のiPhoneが必要なのか?
最新のiPhoneを必ずしも必要としない人もいることだろう。2019年モデルの「iPhone 11」や「iPhone 11 Pro」をおもちなら、デヴァイスに深刻な問題がない限り(そしてアップルに修理できないものでない限り)、新機種は必要ないと言っていい。iPhone 12シリーズには新たなテクノロジーがいくつも導入されているが、使用体験を大きく変えるものではない。18年モデルの「iPhone XS」や「iPhone XR」についても同様だ。

古いiPhoneなら、バッテリーのもちが悪くなるのが最大の問題となる可能性が高い。そんなときはバッテリー交換を考えてみよう。交換後は新品同様に感じられるかもしれない。

2.どのiPhoneを選ぶべき?
今回の新モデルは、「iPhone 12 mini」「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」の4つの選択肢がある。アップルは、すべてのモデルのディスプレイを有機ELの「Super Retina XDR」とし、「Pro」以外では解像度を向上させた。全機種が強力な「A14 Bionic」プロセッサーを搭載し、「セラミックシールド」ガラスでディスプレイを保護している。さらに顔認証の「Face ID」や新しいワイヤレス充電システム「MagSafe」に対応し、防水防塵の等級はIP68(水深6mで30分まで浸水しない)となっている。

次世代通信規格である5Gへの対応は新型iPhoneの大きな訴求ポイントだが、これを大げさにとらえるべきではない。米国ではまだ5Gを利用できるエリアは少ないし、(いまのところ)4G LTEを大きく上回るものでもない。

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iPhone 12: 4機種のなかではいちばん「買い」のモデルと言っていい。ディスプレイはiPhone 12 Proと同じ6.1インチで同じ解像度になっている。有機ELなので、iPhone 11の液晶より色表現は鮮やかで、黒も深みがある。

カメラは広角カメラと超広角カメラがあり、「ナイトモード」(夜景モード)では暗い環境でも明るい写真を撮れる。また、動画は毎秒30フレームの「4K HDR」で撮影可能で、多彩な色に仕上がる。充電は通常なら丸一日もつが、それ以上は難しいだろう。価格は829ドル(日本では税別85,800円)から。

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iPhone 12 mini: そこまで大きなスマートフォンは欲しくないという人には、「iPhone 12 mini」がいいだろう。5.4インチのディスプレイで、本体はアップルが今年はじめに発売した「iPhone SE」よりも小さい。それにもかかわらず、アップルはiPhone 12の全機能をこのモデルに詰め込んでいる。不明な点はバッテリーのもち具合だけだ(まだレヴュー用の端末が届いていない)。11月6日に予約が開始され、13日に出荷が始まる。価格は729ドル(同74,800円)から。

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iPhone 12 Pro: 基本モデルと比べて、iPhone 12 Proの性能は昨年までほど優れているわけではない。だが、写真や動画をたくさん撮るユーザーがそそられる機能がいくつかあり、特に「iPhone 12 Pro Max」のような大きなスマートフォンをもちたくない人にはお薦めだ。

まず、光学2倍ズームのカメラが追加されており、撮影の幅がさらに広がっている。次におそらく最重要のポイントとして、レーザー光を用いた「LiDAR(ライダー)」スキャナーが搭載されている。これにより、ナイトモードでも高速なオートフォーカスを実現した。アップルの新しい画像フォーマット「Apple ProRAW」に対応し、RAWフォーマットで写真撮影して画像の調節もできる。動画撮影は毎秒最大60フレームのHDR動画に対応する。

iPhone 12とiPhone 12 miniはストレージ容量が64GBからだが、iPhone 12 Proは128GBからになっている。ボディはステンレススティール製で、iPhone 12のアルミボディより上質な印象だ。バッテリーはiPhone 12とほぼ同じ容量で、丸一日もつ。価格は999ドル(同10万6,800円)から。

iPhone 12 Pro Max: アップル最高峰のカメラを真剣に求めているなら、「iPhone 12 Pro Max」を買おう。スペックはほとんどProと同じだが、画面はひと回り大きい6.7インチで、バッテリー容量も多くなっている。

メインカメラの画像センサーは面積がほかのモデルと比べて47パーセント増で、さらに性能がアップしている。アップルいわく、光の少ない環境での画質が87パーセント向上するという。新たにセンサーシフト式の手ぶれ補正機能が採用され、より安定した写真や映像を撮れる。ズームカメラもiPhone 12 Proと差異化されており、光学ズームが2.5倍になっている。大きなボディや画面を好むユーザーや、写真好きに向いているモデルと言えるだろう。11月6日から予約開始となる。価格は1,099ドル(同11万7,800円)から。

その他のiPhone: アップルが販売しているiPhoneには、これら4機種のほかにもある。今年4月に発売された「iPhone SE」(日本では税別44,800円から)のほか、値下げされたiPhone 11(同64,800円から)、iPhone XR(同54,800円から)は引き続き販売される。

3.注意すべきこと
有線イヤフォン「EarPods」や充電アダプターは同梱されていないので注意が必要だ。新しいiPhoneには、「USB-C to Lightningケーブル」が付属しているので、USB-Cに対応したACアダプターをもっていなければ、別途購入が必要になる。

ケースに関していえば、ほとんどのケースメーカー(OtterBox以外)は、アップルのMagSafeワイヤレス充電器に対応したケースをまだ発売していない。それでも、こうしたケースでも問題なく充電できるだろう。ただし、MagSafe対応ケースと比べるとマグネットの安定性は落ちることになる。

アップルのMagSafe対応ウォレットも、大半のMagSafe非対応ケースにはうまくくっつかない。MagSafe対応のアクセサリーを買う予定があるなら、もっとたくさんのケースが市場に出回るまで待つほうがいい。または、現時点ではアップル純正品を購入する手もある。