(メモ) NHKスペシャル、新型コロナ全論文解読〜 AIで迫るいま知りたいこと~ (再放送は11(水)午前0時30分〜(火曜深夜)[総合])

//
再放送は11(水)午前0時30分〜(火曜深夜)[総合]です。

番組は NHKプラス で見逃し配信中。視聴にはID登録が必要です。


//
NHKスペシャル、新型コロナ全論文解読〜 AIで迫るいま知りたいことをリアルタイムでみました。

番組は今まで出た様々なコロナ関連論文をAIが分析して、

1 この冬日本の感染者が急増する?
2 収束はいつ?決定打は?
3 風邪とは大違い! 新型コロナ“真の脅威”
4 見えた“究極”のウイルス対策

という疑問を3人の専門家、そして海外の専門家が解説するという構成でした。
////
番組で興味深かった内容を書いておきます。

・気温と湿度がウイルスの生存に寄与すると言うトピックが上位
 夏場は2時間しか生存できないが、冬場は15時間も生存できる
→日本でも感染者増加が懸念される

・死亡率が低い理由と関係がある論文(キーワード急上昇0
→交差免疫(別のウイルスにも反応する)、特に季節性のコロナウイルスへの感染歴(5年以内)があると重症化する割合が低いと言う結果がある
→日本でコロナ患者50人を調べると、75%に交差免疫があることが分かり、重症化リスクの低減に関係している

・マスクと免疫の関係
→マスクにより微量感染を繰り返し、免疫を獲得すると考えられている。

・新型コロナに関連する症状が100以上あると報告され、その中で脳の霧(Brain fog)と呼ばれる症状が注目されている。
→認知機能が低下する患者の脳で炎症が起きている。脳の中心部(脈絡叢)にもウイルスが結合するACE2があり、ここで感染が広がり、炎症が長く続くと考えられている(倦怠感、思考力低下などが起きる)
→ACE2は全身に分布しているため、多くの部位で影響が起きる

・ウイルス対策(上位5つ:消毒技術、紫外線、不活化、温度?、加湿)
→加湿により気道の奥の線毛がウイルスを外に出す力を引き出せる(40〜60%がいい)。また、飛沫が遠くに飛びづらくなる。
→紫外線(UV-C/222nm)がコロナウイルスに影響があるが、この紫外線は甚大に悪影響がないとされる波長。10秒で無害化できる。

この番組で紹介されていることはある意味知っていることも多かったけれども、それでもそうした自分の知識が裏打ちされるというのは大切で、しっかりとしたエビデンスを研究者の方々が積み上げていて、その科学的知見を私たちはしっかりと利用していくことがこの新型コロナでは求められていると思います。手洗い、マスク、三密を避けるといった基本行動とともに、新しい知見を生活に組み入れて、より安心・安全に暮らしていきたいなぁと思うばかりです。

そして、最後に論文分析のいいところは、全体を見た上で個別のトレンドを見極めら得ると言う点があります。個人が持つ先入観をなるべく排除して、どのような傾向にあるのかを見極める作業になります。その先に、個人の持つ知識・経験をおり重ねて新しい仮説を立て、実証する。これがサイエンスの変わらないやり方だと私は思っています。

そして忘れてはならないのは、こうしたAI分析は凄いのだけれど、やはりその向こうに研究をしている研究者という人がいることを忘れてはいけないと思います。
////

NHKの『AIで迫るコロナ論文』は本当か??という「視線」

   筆者がNHKの番組にケチを付けるのは初めてではないが、今回は昨日AIに関する記事を書いたばかりなので、違和感を感じたことを書きたい。番組の内容は有益であったにしろ、そのほとんど全てが筆者の事前予想と同じものであり、その意味で新規なものは無かったと言えよう。その事も併せて書きたい。
 
  NHKの番組はテレビの番組表によると『NHKスペシャル「全論文AI解読から新型コロナ いま知るべき真実」』と題するものである。筆者にすれば今頃知ったのか、という違和感がある。だが問題はタイトルにあった。果たしてこの調査はAIで行われたのか、あるいは単にスパコンで行われたのか、という問題である。何を言いたいのかというと、番組で見た範囲では、医学論文の中から20万件の新型コロナウイルス関連の研究を探し出し、それの相互関連性を調べ、キーワードを基にランキングを行ったということだが、それはAIでなくてもプログラミングで可能なことである。そもそもキーワードを与えること自体がAIの本質とは相容れないことであり、この作業はAIによるものではないと筆者は判断した。単にスパコンを使って高度な検索を行ったに過ぎないと思っている。
 
  筆者の理解によれば、AIというものは自立型の判断を下す。それには判断すべき項目なり問いを人間側が与えなければならないだろう。囲碁や将棋の場合は、勝利することを目指すという目標を与え、AI同士やAIと人間が勝負して勝つことを競う。だがより複雑な問題の解を探す場合は、「勝つ」と同様の目標をAIに与えなければAIも思考のしようが無い。だが番組の説明によると、論文の文字情報を読み込ませて、論文同士の関連性を把握したり、どのようなキーワードが多いか調べただけのことのようだ。つまりAIは何ら自己判断をしていない。個々の論文の引用件数からその価値を判断しているだけで、その論文の中身の評価はしていない。本来なら論文の全てを読み込むだけでなく、各国の社会性・医療体制・治療法・文化などを全てAIが把握した上で、AIが現在の知見で最も合理性のありそうなもの・最適な治療法の予想などを自己判断するというのが当然であろう。勿論その結論には将棋ソフトにあったような「最適性ポイント」のランキングがあり、単に1つの結論を導き出すのではない。だが今回は「冬場」・「感染拡大」というようなキーワードを与えて検索を行っている。それは従来の手法と何ら変わりない。またスパコンに記憶させた文字データから最近増えてきたキーワードを検索させている。これは多少はAI的要素を含んだ作業かもしれない。
 
  番組では結局、重要だと思われる論文を書いた当の著者にインタヴューしてその主張を聞くというスタイルをとっており、AIが導き出した結論をAIに語らせているわけではない。つまりAIの思考という部分が全く見当たらず、単にビッグデータから検索を行っただけのようなのである。
 
  もう一つの問題を取り上げよう。それは番組で述べられた医学的知見のほとんどが筆者が予見・予想してきたことであったことである。つまり新しい知識・知見は与えてくれたが、なんら新しい知恵をあたえてはくれていないというところに問題を感じた。番組が語った新しい知見については【時事通信】《コロナ》10.8記事に要点だけを書いておいたが、ここに再録する。
 
  ①ビタミンDが免疫力を高める
  ②交差免疫により普通の風邪に罹っていると新型コロナ予防に大きく寄与している。
   日本では70%に交差免疫があるとする研究がある
  ③気温と湿度が大きく関係し、外部では冬の方がウイルスの生存率がかなり長くなる
  ④マスクにより多くの人が免疫を得やすい。マスク無しでは20%しか無症状がない。マスクありでは
   90%以上が無症状。しかも抗体が増えて免疫力を増す
  ⑤後遺症に脱毛・ブレインフォグという症状がある
  ⑥脳のACE2という細胞の端末を通して脳にもウイルスが侵入する
  ⑦後遺症は女性が8割を占めるが、女性に多い過剰免疫(自己免疫疾患)が原因かもしれない
  ⑧222nmの波長の紫外線は人体に無害でウイルスには10秒で85%以上駆除できる
  ⑨低濃度オゾンも有効
  ⑩室内は湿度40~60%に保つと良い
  ⑪鼻の温度が33℃に下がるとウイルスの増殖を促進する
 
  以上が要点であるが書き洩らしもあるかもしれない。まず①についてであるが、筆者は以前からビタミン有効説を採っており、今回はビタミンDにその有効性が認められたということは初めて知った。だからと言ってビタミン有効説の有意性が揺らいだわけではない。②の交差免疫説も従来から採用しており、家族にも風邪には大いに罹りなさい、その際にはできるだけ薬は飲まず、発熱で治しなさい、と勧めてきた。これは免疫力を高めることが新型コロナにも有効であると考えてきたからである。③も従来からインフルエンザ禍で言われてきたことである。④は初めて知ったが、マスクの有用性は7月頃から信じてきた。それは保湿による体内への侵入を減らす効果があるからである。気道が保湿されれば、ウイルスは奥深くまで侵入しにくくなり、それは少ないウイスルとの戦いになることを意味し、人間にとっては優位に立てる。つまり免疫を付ける余裕が与えられるのである。結果的に番組が示した結論と同じことになる。⑤の脳への影響も当然と考えてきた。これまでのウイルスと違うのは強力な細胞への侵入力にあり、今回「ACE2」というレセプターのことを初めて知ったが、知らなくても同じであった。⑥も同様である。⑦も従来から言われてきたことであり、女性は胎子を守るために免疫力が強く、それは時に自己免疫と呼ばれる過剰反応をもたらすということは7月頃から言われていた。⑧の紫外線の効用は初めてメディアが言ったことであり、筆者は以前から戸外での感染リスクは極めて低いことを主張してきた。なのに海外では当初保健所などが道路などを消毒して回っているニュースが見られたが、日本でそれが無かったことは、日本の衛生知識の方が上回っていたことの証左であろう。筆者も戸外ではマスクの必要はないと考えており、自転車に乗りながら、ジョギングをしながら、散歩をしながらのマスクは必ずしも必要ではないと考えてきた。勿論しないよりは大いに自分のためには良いが、他者に感染させる恐れはほとんどないであろう。番組では紫外線により新型コロナウイルスは10秒で不活化されると説明していた。⑨も当然の効果である。常識でも分かることである。⑩も従来から言われてきたことである。⑪だけは初めて知ったことであるが、これもマスクの効用を裏付ける事例にはなるが、常識を改めて確認したに過ぎない。
 
  以上のことから分かるように、大方のことは常識で判断可能なことを医学論文で裏付けられたということが番組の内容であった。NHKはAIが問題を解決してくれるかのような大袈裟な誇張をしており、まるでそれを番組にして国民に知らせることを手柄にしているような傲慢さがそこにはあった。むしろもっと冷静に科学的裏付けが取れましたと言う方が謙虚な態度であっただろう。最初に述べたように、AIの能力はこんな幼稚なレベルのものではない。それこそ何年も、何十年も掛けて人類が得た知識・積み上げてきた文化などを学習して、AI同士が議論をして検証をしていくことにより、本当のAIの知恵が我々に見えてくるのである。その意味で今回のNHKの番組はAIの本当の価値を愚弄したかのように思えた。あるいはNHKのスタッフの知的レベルがまだ幼稚であることを示唆しているのかもしれない。

////
宮坂先生を免疫学のレジェンド、高山先生を臨床最前線のファイター、長谷川先生をワクチン開発のトップランナーという少し脚色された紹介も、一般にわかりやすく伝える方法として私としては好意を持っています。

宮坂先生によれば2時間の収録を45分に編集されているそうです。対象が非専門家でNHKというテレビ媒体、そして司会が(少なくともむやみやたらなPCR検査はそこまでいらないことを知っているとはいえ)爆笑問題でしたので、AIによる新型コロナ研究のヒットチャート解析という構成になっていたのはある程度仕方がないと思われましたが、素人コメンテーターではない3人の専門家がしっかり解説されていたことがこの番組の一番良かったところでしょう。

その中で一番のポイントは

世界のトップ研究者が予想するコロナ収束の時期がバラバラだったこと。
(インフルエンザワクチンの自然免疫によるコロナ予防も宮坂先生と長谷川先生で別れていました。)

まだ出てきてから1年のこの新型コロナウイルス、ワクチンの絶対必要性!?も含めてまだまだ研究が基礎面、臨床面共に必要なことを理解しましょう。

交差免疫、マスクにより微量感染からの無症候感染者誘導からの免疫誘導、全身の臓器に存在するACE2からくるブレインフォグを含めた後遺症の説明などは、この一年今までだいたいブログで書いてきたものです。

そして4の内容、加湿器の必要性(風邪予防で昔から知られていること)、222nmの紫外線の予防効果などの紹介をエンターテイメント的に行う要素は仕方ないでしょう。

太田さんの怖がりすぎたという発言、宮坂先生や高山先生の新規技術に頼りすぎず、3密予防、手洗い、マスクといった基本を大切にすればこのコロナウイルス感染はそこまで心配しなくていいという発言は本当大切なことです。

この番組に感化され加湿器が売れ(カビ防止のため掃除の必要性まで覚えてくれているか)、紫外線の機械の問い合わせが増え、インフルエンザワクチンを病院にうちに行く人が増えるでしょうが、冬に向けてそこまで悪い話ではないと感じました。だって今でも空間除菌がいいとかいっている知事がいるんですから。

少し緩んでいる今だからこそ、いい番組だったと思います。

//////
新型コロナの症状100種類以上 AIで世界の論文を解析した結果 
2020年11月8日 NHK

世界中の新型コロナウイルスに関係する論文、およそ20万本をNHKがAI=人工知能を使って解析したところ、新型コロナウイルスの感染で、これまでに少なくとも100種類以上の症状が報告されていることが分かりました。

NHKは、今月初めまでに世界中で公表された新型コロナウイルスに関する英語の論文、およそ20万本をAIに学習させて分析するプロジェクトを進めてきました。

その結果、新型コロナウイルスに感染した際の症状は、肺炎や発熱などのほかにも味覚障害やドライアイ、それにじんましんなど、全身で少なくとも116種類が報告されていることが分かりました。

中でも、論文での報告が多かったのはめまいや記憶障害、それに幻覚など脳や神経に関する症状で、30種類余りありました。

このうちイギリスのグループの論文では、重症患者の脳の画像を分析した結果、呼吸や睡眠などをつかさどる「脳幹」という部分に炎症が起きていたと報告されていました。

国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの長谷川秀樹センター長は「感染症の二次的な症状で、これほど種類が多いのはあまり聞いたことがない。ウイルスが原因で起こるのか精査が必要だと思うが、今後、研究が進むことで全体像が明らかになることを期待している」と話しています。

詳しくは、8日夜9時から放送のNHKスペシャル「新型コロナ全論文解読~AIで迫るいま知りたいこと~」でお伝えします。
//////