国際情勢 米モデルナ、新型コロナワクチン 30日に緊急使用許可申請へ /次期財務長官にFRBイエレン前議長、バイデン氏発表/中国政府、米団体関係者ら4人への制裁発表


米モデルナ、新型コロナワクチン 30日に緊急使用許可申請へ


アメリカのバイオテクノロジー企業モデルナは、新型コロナウイルスのワクチン候補について、アメリカで11月30日に緊急使用許可を申請すると発表しました。

 モデルナによりますと新型コロナワクチン候補の最終段階の治験では有効性が94.1%で重大な安全上の懸念は確認されませんでした。
 これを受け、モデルナは11月30日にFDA=アメリカ食品医薬品局に緊急使用許可を申請すると発表。
FDAが17日の会合で許可するかどうかを話しあう見通しだとしていて、年内に国内で2000万回分の出荷を見込んでいます。
また、ヨーロッパでも条件付き製造販売承認を申請するとしています。
 日本政府はモデルナと来年前半から2500万人分のワクチンの供給を受ける契約をしています。

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次期財務長官にFRBイエレン前議長、バイデン氏発表

 
アメリカ大統領選挙で勝利を確実にした民主党のバイデン氏は次期政権の財務長官にFRB=連邦準備制度理事会の前議長ジャネット・イエレン氏を起用すると発表しました。

 74歳のイエレン氏は雇用政策などが専門の経済学者で、女性として初めての財務長官となります。
イエレン氏は11月30日ツイッターで「私たちはいま、国として大きな難題に直面している。
回復には、アメリカンドリームを取り戻さなければならない」と指摘。
そのうえで「全ての人の夢を再構築できるよう財務長官として毎日努力する」と強調しました。
 このほか、大統領経済諮問委員会の委員長にプリンストン大学の経済学者ラウズ氏、行政管理予算局の局長にはリベラル系シンクタンクのタンデン所長と、経済チームの主要メンバーに女性や黒人などが登用されていて多様性を反映した顔ぶれとなっています。
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中国政府、米団体関係者ら4人への制裁発表


中国政府は香港の国家安全維持法の施行に関連してアメリカが中国政府関係者4人を制裁対象としたことに対し強く反発したうえで、アメリカの非営利財団の関係者ら4人に制裁を科すと発表しました。

 「アメリカ側は香港事務に公然と介入し、中国の内政に乱暴に干渉し、国際法や国際関係のルールに著しく違反した。
中国はこれに断固反対する」(中国外務省 華春瑩報道官)  中国外務省の華春瑩報道官は30日の記者会見でこう述べたうえ、「香港の問題に関して悪辣な言動があった」として、アメリカの非営利財団で民主的制度の強化を目的として活動している関係者ら4人に制裁を科すと発表しました。
4人は中国、香港、マカオに入ることを禁じられます。
 アメリカのトランプ政権は今月9日、香港の国家安全維持法によって自治を脅かしたとして中国政府の出先機関の関係者ら4人を制裁対象としていて、今回の制裁はその対抗措置とみられます。

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中国報道官が豪兵士画像投稿、豪首相は謝罪要求

中国政府の報道官がツイッターにオーストラリアの兵士が子どもを刃物で殺害しようとしている画像を投稿しました。オーストラリアの首相は「フェイクだ」として中国政府に謝罪を要求していて両国の対立が深まっています。

 中国外務省の趙立堅報道官は先月30日、自らのツイッターに「オーストラリア兵によるアフガニスタンの市民らの殺害に衝撃を受けた」と投稿。
それとともに兵士が子どもの喉元に刃物を突き付け、殺害しようとしている画像を載せました。
 これに対し、オーストラリアのモリソン首相は「画像はフェイクだ」として中国政府に画像の削除と謝罪を要求しました。
 「オーストラリア政府は恥を知るべきだ。
国際社会に説明すべきだ。
しかも、永遠にこのような恐ろしい過ちを二度と犯さないよう厳粛に約束すべきだ」(華春瑩報道官)  一方、中国外務省の華春瑩報道官はこう述べた上で、画像の削除について「オーストラリア政府とツイッター社の間の問題だ」として、中国政府に削除の意思はないことを明らかにしました。
 オーストラリア軍は先月、アフガニスタンに派遣していた兵士が2005年から16年にかけて少なくとも39人の民間人や捕虜を殺害したとする調査結果を発表していました。

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日本製ステンレス棒鋼に対する韓国の反ダンピング課税延長は違反

韓国が日本製のステンレス棒鋼に課している反ダンピング課税の延長措置について、WTO=世界貿易機関は協定違反だと認定しました。

 自動車部品などに使われる日本製のステンレス棒鋼を巡っては、韓国が、2004年から反ダンピング課税を開始し、その後、課税措置を3回延長しています。
推計で、日本のメーカーはおよそ69億円の関税を追加で負担していて、日本は2018年、WTO協定違反だとして提訴していました。
 WTOの報告書では日本製ステンレス棒鋼は韓国製のものより価格が高く、競争関係にはないとする日本の主張をおおむね認めました。
韓国側が60日以内に二審にあたる上級委員会に上訴しなければ、確定することになります。

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中国「輸出管理法」を施行 日本企業への影響も懸念

中国は、安全保障に関わる製品などの輸出規制を強化する、「輸出管理法」を1日施行しました。中国企業に対するアメリカ政府からの圧力に対抗するねらいですが、日本企業への影響も懸念されています。

1日に施行された中国の「輸出管理法」は、国の安全や利益を脅かす可能性があると判断した場合に製品などの輸出規制を強化します。

対象となる品目の輸出を許可制にするほか、特定の外国企業などをリスト化して輸出を禁止したり制限したりします。

違反した場合には罰金を科すほか刑事責任を追及することもあるとしています。

アメリカ政府が中国の通信機器大手、ファーウェイなどをリスト化して輸出を規制していることに対抗するねらいで、法律には、外国政府による輸出規制が中国の安全や利益に危害を及ぼした場合には対抗措置を取ると明記されています。

規制の対象は、軍事用品や軍事転用が可能な製品に加えて、技術やサービス、それにデータも含まれるとしていますが、現時点では、具体的な品目は明らかにされていません。

また、中国から輸出された素材などを使って加工し、その後、ほかの国に製品を輸出する場合も規制の対象になるとしていて、中国政府の運用しだいでは日本企業に影響が出ることも懸念されています。

懸念される影響は
輸出管理法は、対象となる品目や具体的な運用の在り方が明らかにされていないことから、日本企業も注視しています。

関心を集めているのが、希少な資源、レアアースが対象になるかどうかです。

レアアースは電気自動車のモーターのほか、家電の精密部品などの生産に欠かせず、日本は、全体のおよそ6割を中国から輸入しています。

対象になった場合、これまでどおり入手できるのか、新たにどのような手続きが必要になるのか、懸念されています。

また、「再輸出」と呼ばれる規定も影響が懸念されています。

これは、中国で生産された素材を輸入し、日本国内で加工してアメリカなど、ほかの国に輸出した場合も規制の対象になるという内容です。

輸出した製品を最終的に使用する企業が問題視された場合、中国からの素材の輸入に影響が出かねないと見られています。

また、直接、中国から素材を輸入していない場合でも、自社が購入する部品などに使われている中国の素材の割合によっては規制の対象になる可能性も指摘されています。

このほかの懸念の1つに「みなし輸出」という規定があります。

これは、中国国内であっても、中国人から外国の企業や外国人に対して製品や情報などを提供すると規制の対象になる場合があるというものです。

現地の中国人スタッフと日本人駐在員とのやり取りが当局への申請や許可の対象となれば、日常的な業務に支障が出ると心配されています。
日本企業も高い関心
輸出管理法の施行を前に、JETRO=日本貿易振興機構の北京事務所は、先週、法律の内容についてオンラインでセミナーを開きました。

日本企業の現地法人の社員や日本の本社の担当者など、募集定員の2倍にあたるおよそ300人が参加し、関心の高さをうかがわせました。

セミナーでは講師の中国人弁護士が、違反した場合の処罰が厳しいことや、規制に対応するための社内の態勢づくりの必要性などを説明しました。

参加者からは、規制対象となる品目のリストがいつ出てくるのかや、当局に対する輸出許可の申請はどのように行うのかといった質問が寄せられました。

これに対して弁護士は、今の時点で対象品目が明らかになる時期や申請方法は不明なため、まず自分の会社で扱っている品目をリスト化しておき、具体的な内容がわかった時に対応できるにようにすることや今後、関連する法令の整備などが想定されるので情報収集が重要だと答えていました。

JETRO北京事務所の日向裕弥副所長は「中国が、国際競争力の向上やほかの国への報復のために法律を恣意(しい)的に運用するのではないかという心配の声が寄せられている。今後は米中双方の輸出規制に注意が必要だが、自社の製品が対象外なら過度に気にすることもないので萎縮しすぎず情報収集を行ってほしい」と話していました。
経産省「日本企業は厳しい局面に直面」
1日に施行された中国の「輸出管理法」について、経済産業省経済安全保障室の香山弘文室長は「具体的な規制の運用について不明な点が多い。規制の目的が中国の安全と利益と書いてあり、かなり幅広い形で運用される可能性があるのではないか」と述べ、中国政府の運用しだいで日本企業に影響が出ることに懸念を示しました。

特に中国から輸出された素材を日本国内で加工してほかの国に輸出する再輸出も規制の対象になるおそれがあるとして「突然の他国の決定で、企業が使っているサプライチェーンが、すべてその国の規制当局にお伺いを立てなければならないものに変わってしまう可能性があり、明らかな経営リスクだ」と指摘しています。

一方、アメリカ政府も中国の通信機器大手、ファーウェイなどへの輸出を規制していることから「日本企業は、安全保障に関わる技術を管理しようとする主権国家のはざまに追い込まれ、厳しい局面に直面するのは間違いない」と述べ、米中双方の企業と取り引きをしている日本企業が板挟みになるおそれがあるとしています。

各国が規制の強化を急ぐ背景にはAI=人工知能などの高度な技術が軍事転用されるなど安全保障上の懸念があるとされていて「安全保障を切り口に特定の方向性を持った産業政策を進めていくのが世界的なトレンドだ。安全保障の観点から技術を見る視点、そこへの関心をいかに高められるか、これが日本の企業にとって最も求められることの1つだ」としています。

今後の政府の対応について、香山室長は「法律の施行を受けて今後、具体的な運用の方針が対外的に公表されると思うので、中国の政府当局とは密接な協議をさせていただきたい。日本企業に対し、コンプライアンスの問題を超えた不当な働きかけがあった場合には、日本政府が前面に立って調整にあたっていく」と述べました。


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