コロナ感染者1万人超え 東京の「重症者」過去最多 / 政府のコロナ対策「次の一手」は?宣言下の知事から要望も (基本に帰れ「検査、隔離(保護)、治癒、ワウチン、移動」)


 新型コロナウイルスについて、10日も全国で新たに1万人を超える感染者が発表されています。

 東京都が10日発表した新たな感染者は2612人でした。また、現在入院している感染者のうち都の基準で「重症者」とされる人は9日から一気に19人増えて176人となり、第3波の1月20日を超えて過去最多となりました。

 入院している「重症者」の数は全国でも9日から40人増えて1230人となっています。また、新たな死者については、これまでに19人発表されています。


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宣言「出口」見通せず 大規模休業必要論も デルタ株に手詰まり感・政府

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、今月末を期限とする緊急事態宣言の解除が見通せなくなってきた。

ワクチンを「接種しないつもり」と答えた人の割合(6月)

 「出口戦略」を描こうとした政府の思惑は崩れつつあり、関係自治体からは、大規模商業施設への休業要請など人出の抑制につながる強力な対策を求める声が相次いだ。デルタ株の猛威に感染がピークアウトする兆しは見えず、政府内には手詰まり感が漂う。

 西村康稔経済再生担当相は10日の記者会見で「これまで経験したことのない桁違いの感染が継続している」と危機感を表明。40~50歳代や若年層の重症者が増加しているのを念頭に「救える命を救えない状況になりかねない」と強調した。

 宣言発令中の6都府県は感染が急拡大している。1日当たりの東京都の新規感染者が8月半ばには1万人を超えるとの予測も都モニタリング会議で示され、政府関係者は「宣言解除は無理かもしれない」との見方を示した。内閣官房資料によると、全国の重症者は1230人(9日時点)で、7月中旬の約3倍に跳ね上がった。

 菅義偉首相はかねて「国民の4割がワクチン接種を1回終えると感染者が減少する」との見方を周囲に示してきた。ただ、4割超となった現在でも感染拡大が収まる気配は見られない。国民の多くが抗体を持ち流行が収束する「集団免疫」の達成も「当面は困難」との見方が政府内では強まっている。

 政府はワクチン接種の進展に合わせ、宣言発令・解除の判断に当たり、重症者数や病床使用率といった新規感染者数以外の指標に軸足を移したい意向だった。感染症法上の位置付けも、季節性インフルエンザなどと同じ5類に変更すべきだとの意見が出ていたが、想定を超える変異株の猛威を踏まえ、感染症専門家は「まずは現在の第5波と真剣に向かい合うべきだ」と楽観的な見通しを戒める。

 一方、宣言対象都府県の知事からは、飲食店への要請を中心とする感染対策の限界を指摘する声が上がる。大阪府の吉村洋文知事は9日、西村氏とのテレビ会議で「今まで通りのやり方でいいのか」と疑問を呈し、神奈川県の黒岩祐治知事は旅客機や電車の乗客数制限を提案。千葉県の熊谷俊人知事は会議後、記者団に首都圏全体で大規模施設の休業要請を検討すべきだとの考えを示した。

 西村氏は10日の会見で感染対策強化に関し、「(自治体間の)考えに差がある。国としてよく調整し、対応していきたい」と述べるにとどめた。 


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政府のコロナ対策「次の一手」は?宣言下の知事から要望も


新型コロナの感染拡大が続く中、政府の対策、「次の一手」はあるのか?緊急事態宣言が出ている都府県の知事からは様々な要望も出ています。


【解説】政府のコロナ対策「次の一手」は?宣言下の知事から要望も【Nスタ】

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「事故に遭ったよう」 東京出張後にコロナ発症の男性 「特別なことしなくてもうつる」と警鐘/兵庫・丹波市

 新型コロナウイルスの第5波の感染が拡大する中、同ウイルスに感染し、兵庫県丹波地域の病院に2週間入院、8月5日に退院した同県丹波市内の30代会社員男性に、発症から退院までの様子を聞いた。男性は、社用の東京出張から戻った後、調子を崩した。「都内では外食せず、用心していた。どこでもらったのか分からず、事故に遭ったようなもの。首都圏では重症者以外は入院できないと言われている中、軽症で入院できたのは幸運だったが、2週間病室にいるのはつらかった」と話している。

 東京で立ち寄ったのは、ホテル、コンビニ、ファストフード店。人がいるところでマスクを外したのは、客のまばらなファストフード店と、新幹線の車内の喫煙コーナー(定員2人)ぐらいだった。

 7月19日に東京から戻り、22日午後に咳が出始め、微熱を感じた。念のため保健所に電話をすると、検査受診を指示され、翌23日に病院で鼻の粘膜をぬぐう検査を受け、陽性が分かると、そのまま別の病院で入院した。

 入院2日目に39度の熱が出て、味覚と嗅覚がなくなった。「ごはんもおかずも、お茶も味がしない。固形物を飲み込むのがしんどくなり、うどんや雑炊に変えてもらい、流し込んだ」。治療は最初の数日間は点滴、その後は食後の飲み薬と、午後9時の腕への注射(ステロイド系抗炎症剤「デキサメタゾン」)が退院の前日まで続いた。

 7月27日には熱と咳が収まり、体調は戻ったと感じた。血中酸素濃度が上がらず、その日から数日、指に血中酸素濃度を測る装置を付け、鼻から高濃度酸素をもらい、24時間モニターされた。呼吸はもともと苦しくなく、酸素の管でベッドにつながれているのがうっとうしかった。

 体は元気なのにすることがなく、仕事のことを考えると、焦りが募った。味覚と嗅覚がないので食欲はなかったが、お腹は空いた。再び、固形物に変えてもらい、腹を満たした。

 同室にもう1人、また同じフロアにコロナ患者が自分を含め男女4、5人いたことは、夕食を取りに行く配膳台の膳の数から分かった。重症者がいるようには感じなかった。高齢の患者も見かけなかった。

 看護師が日に数回、清掃スタッフも毎日、掃除に来てくれた。感染防護服で全身を包んでいた。

 検査は、退院当日の朝に1回したのみ。だ液で検査し、陰性。そのまま退院になった。薬は出なかった。

 「自宅療養だったら、家族にうつしていたかもしれず、入院できたのは助かった。高熱も、病院にいたから不安はなかった。肉体的につらくはなくても、精神的につらい。特別なことをしなくてもうつるので、感染流行地域との行き来は危ない」と警鐘を鳴らした。

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都の街中PCR、予兆つかめず コロナ「第5波」



新型コロナウイルスの感染拡大の予兆をつかむため、東京都が実施するモニタリング検査で「第5波」の爆発的な感染拡大を捕捉できなかったことが明らかになり、検査の在り方が問われている。6、7月の1週間ごとの検査数は約2万4千~6千件で、陽性者の確認も最大20人程度にとどまる。専門家は「東京の人口規模を考えると検査数が少なく、予兆の把握という目的は現実的ではない」と指摘し、感染対策としての有効性に疑問を投げかける。

都は4月以降、有症状者らの感染を確認する行政検査とは別に、国と連携して繁華街などで無症状者のPCR検査を続けている。都の公表データによると、週ごとの検査件数と陽性者数から算出した陽性率は、7月第1週が0・05%で、その後0・10%、0・14%、0・27%と上昇。ただ、行政検査の新規感染者数や陽性率も同様に増加し、都の担当者は「モニタリング検査に、顕著な傾向は確認できなかった」と分析する。

4月下旬から5月上旬にかけて、1日当たり約1千人超の新規感染者が確認された第4波でも、陽性率にばらつきがあった。市中で無症状陽性者の割合が増える兆しがあれば、先手の対策を講じることも視野に入るが、「効果的な活用は難しい」(都担当者)。

課題となっているのが、検査件数の少なさだ。モニタリング検査で最多だったのは6月第4週の週約2万4千件で、7月は週約6千~9千件にとどまった。陽性者数は6月第5週と7月第4週の20人が最多で、3人ということもあった。

発熱などの症状のない人に検査に協力してもらう必要があるが、感染の有無を確認するためだけに不特定多数の人が集まれば、検査地点ごとの傾向の正確性が揺らぎかねない。このため、都は実施場所を「繁華街、飲食店、事業所や駅前、空港など」として、具体的に示していない。

今月は実施場所の確保で検査数が増える見込みで、都は検査結果と第5波の推移を分析する考えだ。

市民の協力が得られない状況は、国のモニタリング検査でも浮き彫りになっている。国は夏休み中の感染防止対策として、羽田など主要空港から北海道と沖縄に向かう航空便の搭乗者に、無料のPCR検査や抗原検査を実施しているが、今月1日までの2週間の搭乗者約28万人のうち、検査を受けたのは約1万人(陽性17人)だった。

田村憲久厚生労働相は5日の参院厚労委員会で「感染の判明で生活に影響が出ることもあり、応じてもらうのが難しい。検査が根付く文化を作らなければならない」と述べた。

国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「無症状者の検査は『自分を守り、他人にうつさない』という目的であれば理にかなうが、地域の流行の兆候をつかむためとなるとコストを踏まえれば現実的ではない」と指摘。航空便利用者の検査も「陽性時のキャンセル料の補償などがなければ増えていかないだろう」との見方を示した。

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患者女性「死の覚悟」東京重症者が過去最多

「身近に感染した人がいない。もしかしたら(自分は)感染しないんじゃないかという思いがありました」

病室でこう語るのは、新型コロナウイルスに感染し、現在入院中の埼玉県の女性(55)。

「いざ自分が感染してみて、死を覚悟するような病気だということも実感しました」

女性は先月30日、職場の同僚の感染が確認されたため、翌日に検査を受けたところ、今月1日に感染が判明。発熱や関節の痛みなどの症状がありましたが、保健所の判断で、しばらく自宅療養が続いていました。入院できたのは感染確認から1週間がたった8日のことでした。

血液中の酸素飽和度が91%まで下がったため、保健所に連絡。病院で中等症と診断されたということです。

「すぐに入院できなかったときの気持ちとしては、『もう私はこのまま死ぬのかもしれない』という死を覚悟しました。もし、(入院できずに)自宅療養のままだったら、今こうやって話していることは、まだできなかったかもしれないです」

すぐに入院できないワケ、それはいま全国的に起きている感染拡大です。

10日、都内の新規感染者は2612人。1週間前(3日)と、きのう(9日)を、それぞれを下回りましたが、その一方で、重症者は176人で、過去最多となりました。

また、感染力の強いデルタ株の感染が確認された人は3364人で、過去最多でした。

8日連続で、1万人を超えた全国の新規感染者数。また、9日時点の全国の重症者は1230人で、8日から40人増加しました。

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千葉県内で中等症患者の対応にあたる国際医療福祉大学成田病院。ホテル療養中に症状が悪化した患者が運ばれてきましたが、重症化し、人工呼吸器での管理が必要になったため、5日ほどで、さらに別の病院に移されたということです。副院長の津島健司氏は警鐘を鳴らします。

「きのうなんて断っている。夜中のうちに5件きました。でもわれわれとれません。覚悟が必要ですよ。僕らのところに来たらなんとかできるけど、僕らのところに来ない前は、なんともできないので、自分で自分の命をもうちょっと考えないと危ないなと」


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