国際情勢 英首相「人類は16歳 大人になる時」 国連で気候変動対策強化訴え/中国当局「地方政府に恒大の破綻に備え準備を指示」とWSJ/ アフガン全土2300の医療機関「わずか2割が機能」WHOが警告


英首相「人類は16歳 大人になる時」 国連で気候変動対策強化訴え


 イギリスのジョンソン首相は、国連総会のハイレベルウイークで登壇。気候変動問題に絞った演説で「人類は大人になり、責任をとるべきだ」と訴えました。

イギリス ジョンソン首相
 「みなさん、人類にとっての少年・少女時代は終わりつつあります。人類は大人になる時が来たのです」

 ジョンソン首相は「哺乳類の種が生まれて絶滅するまでの平均はおよそ100万年で、人の一生に例えれば人類は今、16歳ぐらいだ」「大人になり、責任をとるべき時が来た」として、気候変動に対する自分たちの責任を認めて将来のために対策を強化するよう訴えました。

 その中で重点分野の一つとして石炭火力発電からの脱却を挙げ、「私が子どもの頃は電力の8割を石炭で賄っていたが、今や2%以下だ」とイギリスの成果を強調。その上で、中国の習近平国家主席が演説で国外での新たな石炭火力発電計画の支援を止めると表明したことを評価しつつ、中国も国内での石炭の使用を段階的に廃止するよう呼びかけました。

 イギリスは、スコットランドのグラスゴーで開催する気候変動に関する国連の会議、COP26を成功させるために、各国に温室効果ガスの排出量削減や途上国支援などで具体的な数字を伴う気候変動対策の表明を求めています。
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中国当局「地方政府に恒大の破綻に備え準備を指示」とWSJ


 経営危機に陥っている中国不動産大手「恒大集団」について、中国当局が地方政府に対し破綻に備えるよう求めたと、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えました。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは23日、「恒大集団が秩序ある経営ができない土壇場の状況でのみ、地方政府と国有企業が介入するよう中国当局が指示した」と伝えました。地方政府には▼地域の恒大の事業の財務状況を調べ、国有企業や民間の不動産会社と協議の上、事業を引き継ぐ準備をすることや、▼抗議活動を監視する法執行チームを設置すること、などが求められているということです。

 また、ブルームバーグ通信は、北京の金融規制当局が「恒大集団」に対し、「ドル建て債券の債務不履行を回避して、未完成の物件の建設と個人投資家への返済に集中するよう指示した」と伝えています。


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英国防省アフガン通訳の個人情報漏洩再び・・・今回は55人


イギリス軍の通訳などとして働いていたアフガニスタン人55人の個人情報が漏洩したとして、イギリス国防省が謝罪しました。国防省は20日、250人以上の個人情報が漏洩したことについて謝罪したばかりでした。

 イギリスBBCによりますと、国防省の職員が今月初めに電子メールを送信した際、宛先だった55人のアフガニスタン人のメールアドレスや一部の人の名前が閲覧可能な状態だったということです。いずれもイギリス軍の通訳などとして働いていたことがあり、イギリスへの移住資格を取得できる可能性があるアフガニスタン人で、イスラム主義組織タリバンからの迫害を恐れ身を隠して生活しているものとみられます。

 国防省は既に調査を開始したとしていますが、20日には同様のアフガニスタン人250人分の個人情報が漏洩したことについて謝罪したばかりで、批判が集まっています。

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アフガン全土2300の医療機関「わずか2割が機能」 WHOが警告

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、アフガニスタンにある2300の医療機関について「2割しか機能していない」などとして、破滅的な人道危機の目前だと警告しました。

WHO テドロス事務局長 
 「今すぐ行動を起こさなければ、アフガニスタンは破滅的な人道危機に見舞われる」

 アフガニスタンの首都カブールを訪れていたテドロス事務局長は23日、ジュネーブで会見を行いました。この中で、アフガン全土にある2300の医療機関のうち機能を維持できているのは僅か17%で、3分の2は基本的な医薬品が底をついていると明らかにしたうえで、「破滅的な人道危機に見舞われる」と警告しました。

 WHOは「国の指導部が変わったとしても、我々の支援を必要としている無実の人々が危機にさらされていることに変わりはない」と強調していて、緊急の支援を呼びかけています。

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台湾防空識別圏に中国軍機24機進入 TPP加入申請に反発か


 台湾当局は23日、台湾の防空識別圏に中国軍機延べ24機が進入したと発表しました。台湾のTPP=環太平洋パートナーシップ協定への加入申請に中国が反発したものとみられます。

 台湾国防部によりますと、23日午前、中国軍の戦闘機や爆撃機など19機が台湾南西沖の防空識別圏に進入し、一部は台湾の南東沖まで進んだ後、同じルートを引き返しました。さらに午後にも戦闘機など5機が台湾の防空識別圏に進入したということです。1日で延べ24機が防空識別圏に進入したのは、去年9月以降で3番目の多さだということです。

 台湾は22日にTPPへの加入を正式に申請したことから、「一つの中国」の原則を掲げる中国が反発したとみられます。
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EU スマホの充電器端子「USBタイプC」に規格統一へ


 EU=ヨーロッパ連合は域内で販売されるスマートフォンなどの充電器の端子について廃棄物を減らすため「USBタイプC」と呼ばれる規格に統一する方針を発表しました。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は23日、域内で販売されるスマートフォンやタブレット、デジタルカメラ、それにヘッドホンといった電子機器に差し込む充電器の端子の規格を「USBタイプC」に統一することを盛り込んだ法案を発表しました。

統一することで電子機器のメーカーにかかわりなく同じ充電器が使えるようになるとしています。

また、消費者は電子機器を購入するときに充電器を一緒に買わない選択もできるようになるということです。

EUは規格の統一によって年間2億5000万ユーロ、日本円で320億円余りを節約でき、年間およそ1000トンの廃棄物の削減につながるとしています。

法案が成立すれば業界が対応できるよう2年間の移行期間が設けられます。

ただ、アメリカのアップルはスマートフォンのiPhoneなどで異なる規格を採用していることから商品戦略の変更を迫られる可能性があり、「1種類のみを義務づける厳格な規制は、技術革新を抑制し、ヨーロッパや世界中の消費者に害を及ぼす」として反発しています。

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名古屋入管スリランカ人女性死亡 「入管の対応で苦痛」妹が帰国

名古屋市の入管施設に収容されていたスリランカ人の女性が死亡した問題で、真相究明のため来日していた遺族の1人がきのう、帰国しました。入管側の対応によって精神的苦痛を受け、体調を崩したことが原因だということです。

 今年3月、名古屋入管に収容されていたスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが入管施設内で体調を崩し死亡した問題をめぐっては、ウィシュマさんの妹2人が今年5月に来日し、出入国在留管理庁に対し、真相究明を求めてきました。しかし、妹の1人のワヨミさんが「入管側のこれまでの対応により、精神的な苦痛が重なり体調を崩した」として、きのう、スリランカに帰国しました。

ウィシュマさんの妹 ワヨミさん
 「死因を明らかにして入管のミスを認めてください。こんなに長い時間をかけずに本当のことを公表してください」

 入管庁は、ウィシュマさんの収容時の様子を写した監視カメラ2週間分の映像をおよそ2時間に編集し、遺族に開示しましたが、遺族側は全ての映像を開示するよう求めていて、「引き続きビデオの開示や死因の究明を求めていく」としています。

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